結局、歌だろ。そして「とにかく音色が全て」
複数の楽器を演奏することのメリット(とデメリット)をいくつか書いてきたわけだが、結局は歌に収斂するということが、自分で言ってみて本当に腑に落ちたので再度書いておく。
楽器にはそれぞれ特徴がある。和音が出せるギターやキーボード、またそれぞれ違うボイスを持っている、ギター、トランペット。そして役割も違うものベースやドラムなど。
合奏、バンド、アンサンブルってのはみんなで荷物を持つこと(荷物を持って踊ること?)と外山明さんが言ったけど、ほんとうにそうで、合奏においては楽器特有の役割は当然ある。
ボイスと役割が違う楽器がある。でもそこで何をするかは、自分の歌を歌うこと。それぞれの楽器の役目とボイスにおいて。
複数の楽器をやると、これがよくわかると思う。楽器特有の難しさとか、楽器特有の「できると偉い(と同業者に思われること)」、たとえばトランペットの高音、ギターの速弾き、などは、自分の歌を歌うときに、手法の1つとしてはあっても、それをやればプラスになるわけではない。ということに早く気づく。
そしてもう一つ先のこと、「すべてはその人の歌」と並んでの僕の持論だが「とにかく音色が全て」ということ。音色が素晴らしいと言うことは(自分の美意識において)全てに優先すると思う。
マイルスのミュートの一発、BBキングのハイトーンのビブラートのトーン一発、全部、音色で持っていかれる。
いわゆる楽器を操る技術とは別の次元で、その楽器で自分が一番良いと思う音色が出せるか。ここが最終到達点だと思う。
さらにその先を言えばその人の音楽を聴いた人が「この音はサンタナだな」「この音はマイルス」「この音はコルトレーン」「この音はウィントン」「この音はクラプトン」「これはジェフ・ベック」と分かるまでの音色を、楽器の属性から放たれて得ることができるのか。
これが僕は楽器演奏の最終到達点だと思う。
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