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高校時代の同級生、金子鉄心が参加するみたトシ鉄心の高円寺ライブに行って、ニッチトップの素晴らしさを痛感したのだった。

金子は高校の同級生でブラスバンドの仲間であり、また二人とも高校卒業後に京都の大学に進学し、下宿も近くだったので、俺は一年で京都生活を辞めてしまったが、本当に世話になった友人でもある。

金子はサックスが高校時代から抜群に上手かった。
そして大学ではかねてつおかげさまブラザースというバンドをやって、そのバンドはプロになりメジャーデビューを果たした。そこではサックスをやっていた。

サックスといえばモダンジャズ、と相場は決まっているんだが、金子はジャズ方面にはすすまず、ロックバンド、コミックバンドに行った。
そしてそのバンドが終わった頃から、サックスだけでなく、ティンホイッスル、そしてイーリアンパイプというバグパイプを吹いていた(以前から吹いていて、俺は知らなかっただけかもしれない)。

とにかく笛という笛なら、もうなんでも上手に吹ける金子だが、イーリアンパイプは最難関のようで、いつも「難しい、手に負えない」とぼやいていたが、笛の超達人にとっては、このくらい手応えがある楽器のほうが夢中になれるのではないか、と、はたにいる俺には思えたのだった。
ちなみにバグパイプはもはや吹かない。空気を入れた鞴式のバッグで空気を送り込むのだ。もはや吹かない笛、にまで到達した、とも言えるだろう。

そして結果的に、おそらくだがイーリアンパイプ奏者としては重鎮(ライブのMCでそう言われていた)のようだ。もちろん日本で、ということだろうが。もちろん音色も素晴らしいし、フレーズも素晴らしい。

さらに思ったのが、俺も金子も還暦の年だが、この年になって実現したことが、金子はイーリアンパイプというニッチのトップであって、おれはただのライターのおっさん、ということで、やっぱり日本に何人かしかいないニッチでトップになるのは、戦略としては成功なんだな、という思いだ。

しかも、金子の場合、それは戦略ではなく、ただ単に面白いからやってきた、ということなのだろう。それはもっと強い。
戦略よりも、得意であることが強いし、得意であることより、好きなことであることが強い。なにより「好き」ということには戦略を越えた強さがあるし、その強さと才能ががなければトップにはなれないだろう。

いやー、すごいわ、金子。


みわトシ鉄心
@miwatoshitessin
みわトシ鉄心
マジカルボーカル・ほりおみわ。首振りバウロン・トシバウロン。レジェンドパイパー・金子鉄心の3名からなる、新時代に切り込むケルトミュージックバンド。
ケルト圏のバラッド、マウスミュージック、ウォーキングソングにオリジナルの日本語詞を乗せながら縦横無尽に駆け巡る。トラッドに敬意を。トラッドで遊べ。





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