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仕事の記録、クルマのハーマン | カー・オーディオ Part 1 | レクサスで極上の音楽を奏でる、マークレビンソンのサウンドシステム。

これも以前の仕事だが、見つけたのでここにも置いておく。(Macを調べたら2014年に原稿を書いていた)


カーステレオのエンジニアの方にインタビューをするまで気づかなかったが、カーステレオってのは、だれもステレオの中央に座っていないし、スピーカーは複数あるし、箱が狭くて反響もあるし、さらにノイジーなので、ほんとに状況がわるいリスニング空間なのだった。

ただし防音とか気にしなくていい、大声で歌っていいってがメリットなのでクルマの中でいい音で音楽を聴くと言うことは音楽の醍醐味の1つなんだなと思うのだった。子どもが日曜日の夜中にレンタカー借りて首都高でグルグルしながら音楽を聴くのが楽しいってのがよくわかる。以下本文より。

クルマという過酷なリスニングルーム
Q:どのブランドもホームオーディオの世界ではHi-Fiオーディオとして高い評価を得ています。そのサウンドを、カーオーディオで実現するのは、大変なのではないでしょうか。

辻:カーオーディオというリスニング環境には、ホームオーディオとは全く異なる特殊な要件がたくさんあります。まず第一にクルマは小さな閉鎖空間であるということ。第二に左右非対象、つまり聴く人がスピーカーの正面では聴けないということ、そして三つ目はスピーカーを設置する場所などのセッティングを一切変えられないことです。

Q:かなり過酷なリスニング環境のようですね。すこし詳しくご説明いただけますか。

辻:ご存じのようにクルマは非常に小さな密閉空間であり、シートなどのよく吸音する素材とガラスのように反射率が極端に高い素材が混在しています。また、ご家庭でオーディオを聴く時のように、スピーカーの正面で音楽を聴くことができません。お客さまは運転席、助手席、後席など、バラバラな場所で音楽を聴くわけです。これは音響的には非常に厳しい環境です。しかも音が聞こえにくいからといって、スピーカーの向きや位置をお客様が調整するといったこともできません。

Q:たしかにドライバーも助手席も、真正面からズレた場所に座りますね。これはどうやって補正するのでしょうか。

辻:DSP(デジタルシグナルプロセッサー)を使い、主に位相、ディレイ、イコライザーなどをチューニングします。ディレイはタイム(時間)、フェーズは位相、イコライザーは再生帯域を調整します。またスピーカーの設置場所と角度も重要です。耳の高さに設置できないスピーカーも多いので、車内のガラスの反射角度までも吟味しながら搭載設計を行います。

運転席に設置された音響測定用のマイクロホン。背の高さ、シート位置ごとに3対のペア、計6本のマイクを使用する。

Q:それらによって、運転席の位置でも正確なステレオ感が再現できるのでしょうか。
辻:できます。スピーカーがリスナーに近い環境をオーディオの世界では「ニアフィールド」といいますが、ニアフィールドでの再生は、設定が少しズレるだけで、音が敏感に変わってしまいます。クルマの中の音のチューニングは、非常に緻密な作業となります。例えば運転席は前後にスライドできますから、それで耳の位置は変わりますよね。もちろん身長によっても耳の位置は変わります。そのため車内の音響測定では背の高い方から低い方まで対応できるように、耳の幅でワンペアとした測定用マイクロホンを3対6本設置してデータを記録します。またドライバー席だけで完全なチューニングしてしまうと助手席側では ステレオ感が偏ってしまうということがありますので、助手席側でも同じように測定してバランスをとります。そのバランスの加減もノウハウが必要であり、難しいところです。


クルマは非常にノイジーな部屋です。しかしレクサスというクルマに関しては類い希な静粛性を実現しています。実はマークレビンソンがカーオーディオを手がけることになったのもレクサスの静粛性がきっかけでした。
もともとHi-Fiオーディオのハイエンドとして知られているマークレビンソンですが、初めてカーオーディオへの進出を検討した際、当時のCEOがプレミアムカーと言われるさまざまなクルマに乗ってみました。しかしクルマという環境はマークレビンソンのサウンドを再生するにはあまりに雑音が大きすぎる中、レクサスは突出して静粛性が高かった。あともう一点、レクサスは車両の組み付けのバラツキが極めて少なかったのも大きいです。カーオーディオの場合、ミリ単位で設計された位置にスピーカーを設置しますので、工場での組み付け精度にバラつきがあると、我々がチューニングで目指した音を出すことができません。その点レクサスは量産でのばらつきが極めて少ないクルマでした。それでマークレビンソンとレクサスのコラボレーションがはじまったのです。
レクサスとマークレビンソンのコラボが始まってすでに10年以上が経ちます。最近では他のクルマメーカーがいろんなブランドオーディオを採用していますが、プレミアムカーがハイエンドオーディオブランドとコラボするという流れは、おそらくレクサスとマークレビンソンから始まったのではないか、と思います。

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