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うたたねベアー

 午後三時、原稿を書きながら考えた。
 もしかしたら僕は、クマの親戚なのかもしれない。

 眠り続けることこそが僕の本来の姿で、この激しい眠気は血が騒ぐ季節の声なのだと。

 そうに違いない。

 祖先を八代くらいさかのぼれば、どこかでクマと血が混ざっているはずだ。

 考えてみれば、納得できる証拠はいくつもある。

 冷蔵庫に常備しているハチミツ。穴の中に籠ったり、木に登ったりするのが大好きなこと。そして何より、この抗いがたい眠気。

 ご先祖様は、きっと白神山地あたりで、堂々と冬眠していたに違いない。

 そういえば、数か月前まで「いないいないばー」をしている熊の絵が描かれたTシャツを着ていた。あれは今の僕に対する警告だったのかもしれない。

 目を覚ませば仕事、目を閉じれば眠り。

 今日もまた、僕は「いないいないベアー」になっていく。


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けーすけ
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