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点と点の間で

 不思議な出来事があった。

 僕は、電子書籍をつくる仕事を始めて、間もなく三年になる。

 本は言葉の集まりだけど、どこかで人の心と心を繋いでいる。そんなことを考えながら、これまで過ごしてきた。

 今日、ある出会いがあった。

 くわしくは書けないけれど、あれは偶然じゃない気がした。

 日常って、実はとても繊細な糸で編まれているのかもしれない。僕たちは普段、その糸の存在に気づかないまま、それぞれの時を重ねている。

 朝、コーヒーを淹れる時の気持ち。
 仕事を始める時の心の準備。
 メールの文章の向こうにある声に、耳を傾ける時の静けさ。

 そういった何気ない時間の重なりが、見えない糸となって、誰かの人生とそっと結ばれる。

 この歳になっても、まだこんな驚きと出会える。それが嬉しい。

 文章を通じて自己表現をする。

 そんな仕事に関わってきた僕にとって、日常の中にある出来事の不思議さが、心をあたためる。

 それは確かに、僕の中で、 新しい物語の始まりを感じさせる何かだった。


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けーすけ
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