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「いいね」が消えた夜に、ムダに本気出した僕

 SNSを見ていたら、A子が「いいね」を押してくれなくなっていることに気づいた。B男からのコメントも途絶えた。
 C美は相変わらず気まぐれで反応してくる。

 最初は気にしないふりをした。 でも、ベッドに横になりながらスマホでYouTubeを観ていると、ふと「明日は散歩中の出来事でも書こうか」なんて考えている自分に出くわした。

 せめて誰かに読んでもらいたくて、受けそうな話を探している――なんとも情けない。

 そんなとき、ある言葉が目に留まった。

「自分の道を進むってさ、いちいち周りに承認を求めないことなんだって」

 そのときは「へえ」で済ませたけれど、これが思いの外、後からズシッと効いてきた。

 ちょうどその夜、野球中継を見ていたら、解説者が言っていた。

「ヒットを打つためには、空振りも必要なんです」

 何気ない言葉なのに、どこか腑に落ちた。

 人生だって、きっと同じだ。
 プラスを望めば、必ずマイナスもついてくる。
 コインの裏表のように。

 それなのに僕たちときたら、都合の悪いことは誰かや何かのせいにしたがる。まるで、空振りさえなければ、ヒットが打てるとでも思っているみたいに。

 そう考えていた矢先、意外な出来事があった。
「普段から投稿を読んでますよ」と声をかけられたのだ。
 ああ、僕の言葉が届いているんだな、と思った。

 そのとき、気づいたことがある。
 僕には、まだまだ、承認欲求があったんだなって。

 誰かや何かに認められたいと思っているうちは、塩辛いものを食べた後みたいに、その渇きは癒えない。

 もっと認めて。もっとわかって。
 もっと、もっとと。
 
 でも、待てよ。と、思った。
 そんな自分になりたいわけじゃない。
 
 だから、「もっと」の前に、自分と向き合ってみることにした。

 自分のことは、まず自分で認める。満たす。
 以上。
 

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けーすけ
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