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ニューヨークひとりぼっち③〜初めてのブロードウェイ・ミュージカル後編〜

前編はこちら

さて、ニューヨークはミュージック・ボックス・シアターで『ディア・エヴァン・ハンセン』を観に会場に入った私。
案内されたドアの向こうには、スーツ姿の素敵なジェントルマンが座席の位置を観客に教えて回っていた。

「おー、ようこそようこそ。どれどれ、チケット見せてみ。はいはい、君の席は、この通路を進んで、前から3つ目だな。楽しんでなー。」(意訳)

案内された席からの景色が、これ。

まさかの、前から3列目。
しかもど真ん中。

確かにtktsで販売されている座席は、当日出たキャンセル席などが回ってくることが多いらしく、ひとりで行っている自分は尚更、良い席が回ってくる確率は高かったのかも知れない。

それにしてもラッキーすぎる。
流石にこんな良い席にいるのに英語力のせいでストーリーが追えないのは勿体なさすぎるので、急いでWikipediaであらすじを調べた。

そして、幕が上がった。

役者と私の距離は、怖いくらいに近かった。
目の潤み、眉の動き、その呼吸、全てが見えた。
声の揺れ、楽器の波、静寂と緊張、そして時に訪れる会場を包む笑い。

あまりにも、鮮やかなエンターテインメントだった。
カーテンコールが終わった後、半ば放心状態で外へ出た。

ニューヨークの夜。
蒸した熱気とマリファナの匂いがする路地、公演を観終わった多くの人が通りを行き交っている。昼間は好きになれなかったタイムズ・スクエアの人混みも、なぜかこの時は愛おしく思えた。

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