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【後半編】タイ〜バンコク&チャンタブリ〜2年半ぶり宝石買い付け紀行
2年半ぶりのタイ・バンコク&チャンタブリ宝石買い付けの旅、ついついブログにも力が入り、長くなってしまいましたが、後半編です。前半編はこちらから。猫カットでお馴染みのタイ在住宝石商 NOBUさんのオフィスにお邪魔した話や、再びバンコクでの買い付け、そしてGIAバンコクに訪問の話などを綴っていきたいと思います。
6日目 再びバンコクへ
チャンタブリからバンコクに戻り、1日オフを挟んで、再度バンコクで買い付けを行います。この日はマダガスカル・ケニア・モザンビーク・タンザニアなど東アフリカ産出の宝石をテーマに買い付けを行いました。
東アフリカと言えば…ベキリーブルーガーネット 、アンデシンラブラドライト、タンザナイト、ルビー、パライバトルマリン、グランディディエライト、ツァボライトなど魅惑の宝石達の宝庫です。
さらに、この日はこの10ct のタンザニア産のカラーチェンジスピネルも買い付けしました。このカラーチェンジスピネル、実は前半のブログにも登場したもので、値段が折り合わず、一度断念したあの宝石です。チャンタブリ滞在中も忘れられず、バンコクに戻り再交渉し、他の宝石とのロット買いを条件に、なんとか交渉の末に手に入れることが出来たのです。写真よりも、実物の方が更に透明感と輝きがあり、美しいです。
7日目 猫カットのNOBUさんを訪ねて
NOBUさんのバンコクオフィスへ訪問しました。NOBUさんは、タイで研磨工場を運営する日本人で、カラッツストアでも常に人気の猫カットを手がけていらっしゃる方です。猫カットは一つ一つ手作業で研磨するため、猫の輪郭や耳の形がそれぞれ異なり、唯一無二の愛らしい魅力が溢れる仕上がりです。今回は新作カットの打ち合わせと、カラッツGemMagazineの取材を兼ねて、オフィス内を見学させていただきました。
こちらは前回の上野イベントで初お披露目したパンダカットです。プレフォームから面取、研磨の段階です。パンダカットも、手作業の温かみと可愛らしいフォルムにNOBUさんらしさが滲み出ています。
以前NOBUさんとカラッツのコラボで製作したチェリーキャンディカット。こちらの写真のものは、その中でカラー・クラリティ・カットのいずれかが基準を満たしていないため、世に出回らないルースです。海外との取引で、問題となりやすい品質や検品基準等も、NOBUさんでしたら安心してお任せできます。
NOBUさんは、宝石研磨工場を経営する傍ら、宝石鑑別教室も開催していらっしゃいます。多くの方に宝石を知って欲しいという思いが込められており、約3万円という非常に良心的な価格設定です。バンコクは世界が誇る宝石の集積地の為、題材となる宝石も多く、仕入れのノウハウなども内容に含まれています。ぜひ興味がある方は、一度NOBUさんのホームページを覗いてみてはいかがでしょうか?
8日目 買い付け最終日&GIAバンコクへ
買い付け最終日となるこの日は、早朝から比較的お手頃で、買いやすい価格の綺麗な宝石をテーマに買い付けしました。写真は左上から時計回りにブラックモアサナイト&プリンセスカットモアサナイト、バイカラートルマリン、サファイア、デマントイドガーネットです。
こちらは、目にも涼しいパステルカラーの宝石達。シェイプも種類も様々なサファイア、バイカラートルマリン、アクアアマリンです。
買い付けの締めくくりはロシア人宝石商と商談です。最後の最後に素晴らしいものに出逢えました。そのうちの一つがこちら、ロシア産デマントイドガーネットの原石です。宝石品質の原石の殆どがロシアで研磨されるので原石の入手は極めて困難です。今回は事前にお願いしていた為、僅かですが買う事が出来ました。透明感もありホーステールも楽しめます。
もう一つはこのロシア産アレキサンドライトです。人気の高まりで価格が高騰しているのですが、どうしてもカラッツのお客様にご覧いただきたい気持ちが強く、今回買い付けしました。最後まで交渉に熱がこもり、なかなか大変ではありましたが、良い品揃えになったと思います。
そして、最後の買い付けを終えた後は、GIAバンコクの教育部門に向かいました。
昔はタイのGIA G.G.を取得するには費用が50万円ほどでしたが、インフレと円安もあり、今では220万円近くまで高騰しているようです。なかなかハードルは高いですが、宝石の集積地でもあり、業界内での人脈形成などを考えても良いかと思います。最近ではミャンマーやカンボジアから、宝石を生業としている方々の子供達が沢山やってくるそうです。今後宝石業界をリードするであろう彼らと知り合うきっかけにもなるので、これからGIA G.G.を目指す方は、GIAバンコクでの取得は一考の価値があると思います。
さて、長くなりましたが、これで2年半ぶりのタイ 買い付けの旅は終了となります。
2年半ぶりの海外でしたが、コロナでの一時的な失速を挽回しようという現地の方々の熱気をひしひしと感じ、私も良い刺激を受けました。世界は広く、魅力的な宝石で溢れている事を再認識できた旅でもありました。
一筋縄ではいかない海外での宝石買い付けは、非常に大変ですが、それ以上に面白さや素敵な出会いがあります。買い付けた宝石たちの三分の二以上は、バンコクで再研磨や鑑別を依頼します。残りのものはそのまま持ち帰り、帰国後に日本で検品し、随時カラッツストアやインスタライブやポップアップストアでご紹介する予定です。
次の海外買い付けはどこの国に行くか、今から私も楽しみです。