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逆噴射小説大賞2021 セルフライナーノーツ
逆噴射小説大賞2021に2発の銃弾を放ったので、その振り返りをしたいと思います。参加3回目にして、残弾を残しておわるのは初めてなのですが、悔いはありません。なぜならば、会心の一撃を連射することができたからです!
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ジビエのレシピは信じない
人間じゃないから人権がない。だから迫害されている。そういった設定にゾクゾクするような魅力を感じるんですよね。『東京喰種』や『亜人』の序盤ってそういう感じじゃないですか。すごいポテンシャルを秘めているのに、社会のなかでは隠れて生きなければいけなかったり、逃げなければいけなかったり。
なのでこの主人公たちは学校に通って人間として生活しています。バレて、追われることになってしまったことからストーリーが始まります。で、緑色の瞳をした同類の少年と出会うわけです。ふだんは隠している身体能力を、主人公を守るためについ発揮してしまう。
いつかボーイ・ミーツ・ガール作品を書きたいと思っていたら、いつのまにかその構造になっていました。ガール・ミーツ・ボーイ!
ちなみにこの合成獣、誕生当時は多様な種がいたんですが、いまではほとんどが食肉用の養殖です。肉牛とか鮭みたいに、じゃんじゃん繁殖させられて、じゃんじゃん出荷されてます。教育とかも施されないので、言語も理解できません。形状ももちょっと違います。
生き残るために人間のフリをした種の子孫が主人公たちです。知性があり、社会性があります。人間との性行為はできますが、交配はできません。合成獣たちからするとまったく快感がなく、苦痛です。むしろ、人間のフリをするために恋を演じてたりする感じです。
今回はとにかくスピード感。場面を動かすこと。そして逆噴射ワークショップでご指摘いただいた、序盤で設定を開陳してしまうのではなく、小出しにして興味を引かせること、なんかを意識しました。
ちなみに、農道を歩きながら考えてたら降ってきました。散歩は偉大なり!
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俳優アントニオ・マルティネスについての記憶
子どもたちを寝かしつけするじゃないですか。妹のほうは寝つきがよくて結構すぐスヤスヤなんですけど、姉のほうはしばらく時間かかるんですよ。でも、こっちが寝てる空気を出さないと、お喋りしたくなるみたいで余計に目が冴えちゃうじゃないですか。だから寝てる感じを装うんですよね。
娘と手を繋いだまま、寝たフリをして、脳だけは逆噴射小説大賞のことを考えているわけですよ。
そしたらこれが降りてきたんです。一体どういうことですか?
夏に観た『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の影響があることは素直に認めます。あのふたりの関係性、楽しくてホッとしてどことなく寂しい感じが好きなんですよね。リック・ダルトンのスタントのクリフは、仕事がないとき屋根のアンテナを直したりしてましたけど、そうでなくて副業をしてたらどうなのかな。それが他人に言えない裏稼業だったら面白いな、と思ったのが着想です。
カリモーチョ。というカクテルが登場するのですが、飲んだことなかったので作ってみました。赤ワインとコーラで。美味しかったです。アルコールのまわりが早いのに驚きました。
アクションがないにもかかわらず、ドミノ倒しのようにカセに縛られていくのが心地よい出来になりました。主人公はどう行動するのでしょうか。作者自身が楽しみなので、これは続きを書く可能性がありますよ!
まとめ
ということで今回は二発を放っただけですが、渾身の作品が書けたので満足しています。ふだん悩みの種になっているタイトルもそれなりに気に入っています。二作目は「ダブル・スタントダブル」という題名だったのですが、改題後のほうが明らかに良いですね。
さまざまなパルプスリンガーからお褒めのシェアをいただいておりまして、実にありがたい。今後も頑張って書いていこうと思います。まずは「簒奪者の守りびと」を完結に導くこと。「無数の銃弾」を順調に発行すること。これに集中していこうと思います。
選考を通過するかどうかは、SOICHIROのみぞ知る……。
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