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ケーススタディ・オフグリッド・ハウス|CSOH No.05|まほろの家

東京都町田市にある「まほろの家」は、東日本大震災で停電を経験したことをきっかけに、オフグリッドに関心を持ち、母屋に隣接する離れとして実験的に建てられました。高密な都心に建てられたオフグリッドハウスは日照面での不利が予測されますが、設計者のコンセプトだけでは無く、建設会社の取締役(妻)とグラフィックデザイナー(夫)のご夫妻であるお施主さんが協働しながら、建築計画・意匠と設備・環境のバランスについてどのように考えつくられたのか、お伺いしました。



建築概要

地域|東京都町田市
竣工年|2016年
設計|abanba/ 番場俊宏
構造|RC造
階数|2階
敷地面積|70.29㎡
建築面積|27.73㎡
延床面積|55.45㎡


気象条件

□気温
 東京都の気温を平均(2022年)で見ると、最低で5.4度(1月)、最高で26.9度(8月)となる。冬期(1月)の最低・最高気温で見ると、1.2度〜9.8度の幅があった。夏期(8月)の最低・最高気温で見ると、23.5度〜31.3度の幅があった。
 WHO(世界保健機関,World Health Organization)が「住まいと健康に関するガイドライン,WHO HOUSING AND HEALTH GUIDELINES」で定める寒さによる健康被害から居住者を守るための室内温度である18℃以上の勧告値に対して、5月初旬〜10月上旬以外の季節(10月中旬〜4月下旬、5.5ヶ月間)は勧告値を外れる地域となる。

□日照時間
 東京都の日照時間は年間計で2018h(2022年)となる。
 気象庁気象官署別日照時間(1995,2000,2005,2009,2010,2011,2012,2013年より平均を算出、総務省統計局)で見ると、全国56官署(56官署の平均で1890h)のうち東京(8カ年の平均で1992h)は25番目と全国的に見て約100時間、日照に恵まれた地域であることがわかる。

□風速
 東京都の平均風速(2022年)を見ると、2.2m/s(11,12月)〜3.2m/s(8月)までの幅があった。最大風速で見ると、7.0m/s(2月)〜9.5m/s(5,9月)となり、夏期と冬期で風速に大きな違いは無い地域であることがわかる。

□風配図
 東京都では、冬期には北西からの風、夏期には南南東からの風が吹く地域であることがわかる。

東京都の環境特性(気温、日照時間、風速、風配図)

外観および内観

前面道路から東面外観を見る
東側前面道路から南側外観を見る


母屋との間に設けられた中庭側北面外観を見る
南面西角に設置されたプロパンボンベ
西面の下屋にまとめた設備スペース
下屋に納めた蓄電池とインバーター
インバーター、ソーラー充電コントローラーほか
下屋下部の鉛蓄電池
井戸水利用システム
1階南側開口を見る
1階北側開口を見る
ペレットストーブ
ペレットストップ上部のペレット投入口
ペレットは1日に一袋消費する
1階デスク前に設置された設備モニター(貯湯槽温度、内外温湿度、蓄電池容量、ガス給湯器)
消費電力を表示するワイヤレス電力モニター
蓄電池容量や商用電力切り替え時刻を記録したノート
建物建設のきっかけとなった田中優氏の著書
2階。手前右手に茶室、奥にキッチン
2階茶室を見る
2階茶室から北を見る。上部にトップライト
2階茶室東面の床を見る
内窓として太鼓張りの障子を掛ける納まり
ポツ窓から屋上へ向かうメンテナンス用階段を見る
2階収納上部に設けた換気設備
施主の岡野祐三氏(左奥)と岡野美紀子氏(左前)と共に

一般図


広域見取図
中域見取り図
配置図兼1階平面図
2階平面図
屋根伏せ図
断面図

空間構成および設備概要

空間構成+設備概要アクソメ図


アクソメ図 南東から俯瞰


アクソメ図 北西から俯瞰

外皮および設備の仕様・性能


システム概要(夏季・冬季システム図)

全体システム図
夏季システム図
冬季システム図

謝辞 
 本リサーチは、(公財)建築技術教育普及センター 令和5 年度 建築技術の調査研究又は普及活動を応援する助成「オフグリッド住宅の性能および居住者評価からみたエンヴァイロンメント・デザイン手法に関する研究」(代表:脇坂圭一)の助成を得て進められた。対象事例の設計者、施工者、所有者各位にはヒアリングおいて多大なご協力を得ました。ここに記して感謝申し上げます。

参加メンバー
 本リサーチは、静岡理工科大学 脇坂圭一研究室に所属する戸塚俊汰(当時・学部4年)、伊藤勢来(当時・学部3年)、梅田怜緒(当時・学部3年)、築地颯(当時・M2)の参画の元、推進されました。また、作図においては、上記に加え、大石蒼佳(当時・学部3年)、ヒアリング文字起こしにおいては、小島千怜(当時・学部1年)も参画しました。





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