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「JAMPの視線」No.246(2024年9月15日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年9月15日

 今日はロンドン駐在時代の駐在員仲間の集まりでつくばまで出かけてBBQをしてきました。30歳前後で異国の地に独身で赴任していると、会社の垣根を越えて同年代の駐在員同士が仲良くなるもので、帰国して10年ほどが経ついまでも家族ぐるみで仲良く付き合えるのはありがたいです。そういえば日本資産運用基盤がいまのFinGATE BASEという平和不動産が運営する金融スタートアップ向けシェアオフィスに入居させて頂いたり、平和不動産から出資をして頂いたり、東京都の国際金融都市構想がらみのお仕事を手伝わせて頂いたりしたのも、もともとのきっかけは東京証券取引所からロンドンに赴任していた駐在員仲間のご縁があってのものだったなあとご縁の大切さを改めてしみじみと感じながらビールをぐびぐび飲んでいました。

  さて、そんなつくばへの行き帰りも含め、週末のお楽しみということで最近入手した「投資信託の諸問題」というレポートを読んでいます。これはなんと1951年(昭和26年)の投信法施行直前に野村證券の企画部が取りまとめたもので、今となっては国会図書館にも所蔵されていない貴重な歴史的資料なのですが、資産運用業界実務家インフルエンサーである「アクチブインデックス」さんがたまたま入手され、電子スキャンしたデータをSNS上で共有されていたのを頂いたものになります。「アクチブインデックス」さん、本当にありがとうございます。感謝です。

(ご参考)「アクチブインデックス」さんによる「投資信託の諸問題」共有 

 内容としては、昭和16年に日本で初めての投資信託を野村證券が委託者として設定してから終戦で中断するまでの過去経緯を振り返るところから始まり、米国と英国の投資信託制度の比較等を行いながら、投資信託という制度の社会的意義や日本の投資信託制度の特徴等を整理したもので、執筆から約75年後の現在を生きる資産運用業界の実務家である私としては既知のところも多くあるものの、例えば、第二次大戦中にも投資信託が設定・募集されていたことや、国民貯蓄が激増した戦争中の期間において、銀行の定期預金の増加額の30%程度もの資金を投資信託が集めたこと等、これまで知らなかった初期の投資信託に係るエピソードも盛りだくさんで、読みごたえがありました。

 ただ、この歴史的資料を読みながら私が特に強く感銘を受けたのは、その内容もさることながら、執筆者である野村證券企画部の方々の「自分たちが日本の資産運用ビジネスの最前線を切り拓いているんだ」という気概や使命感が資料の各所にあふれ出ていることです。まさに当時は投信法施行直前ということもあり、政策当局である大蔵省や実務の最前線にあった野村證券等の大手金融機関が連携し、日本の投資信託制度のあるべき姿について喧々諤々と議論をしていたのだと推察しますが、投資信託という「合理的大衆投資方法」(文中表現より)が日本の金融市場や家計の資産形成・運用にとって有益であると確信し、投信法に基づいて改めてスタートをするのであれば、より良いものにすべしという意気込みを読みながら強く感じました。

  翻って現在の我が国の資産運用業界の現状をみると、約75年前の当時と同じように、まさに大きな転換点を迎えていると感じています。一般個人のお客様の小口資金で効率的な投資運用を実現できる投資信託の存在意義は今なお変わらないものの、その投資信託という「商品」の枠を超えたアドバイス付加価値の提供の必要性・重要性に対する認識が高まっているなか、一般個人のお客様と直接に投資顧問契約を結ぶという新たなスキームが広がりつつあります。特に、効率的な投資運用等の投資信託のメリットを最大限活用しつつ、投資顧問契約を通じたアドバイス付加価値の提供をも企図し得るファンドラップサービスが、投資信託という画期的な制度を土台にしつつ、新たな時代の資産運用スキームとして期待を集めています。

  弊社・日本資産運用基盤は、その大きな時代の流れのなか、投資信託のメリットを最大活用したゴールベース型投資一任運用サービスの支援ソリューションを提供していますが、約75年前の当時の野村證券企画部の方々と同様に、日本の資産運用業界がより良いサービスの提供者となるよう、使命感をもって取り組んでいるつもりです。これからまた75年が経過した遠い将来において、その頃にはゴールベース型投資一任運用サービスが資産形成・運用のスダンダートとして定着しているであろうことを確信していますが、その時から振り返って、業界の転換点の最前線を切り拓いていたプレイヤーの1社として日本資産運用基盤が歴史に記録される、そんな良い仕事をしたいなと感じます。私たちの取り組みもまだ端緒についたばかり、これからも全力を尽くしてまいりますので、引き続きご指導をよろしくお願いいたします。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【りそな銀、対面で金融相談の新型店開設 岩永省一社長インタビュー 資産立国へ教育後押し】
大原のコメント→
 どのようなアドバイスを提供するのか、どのようなサービス(ビジネス)スキームでするのか等、資産形成・運用アドバイスの事業化には様々な論点が存在しますが、単なる金融商品の選定のみならず、将来の備えを総合的にサポートするには非対面ではなく、対面もしくはハイブリッドのチャネルで人が介在する必要性は高いと考えます。
 財務的なニーズの種類が比較的シンプルで資産額もキャッシュフロー額もそこまで大きくない資産形成世代に対しては非対面で効率的なポートフォリオ運用を提供する商品ベースの提案・提供で足りるかもしれませんが、親世代の介護や相続、自らの終活、不動産・税務相談等、財務的なニーズの種類が多岐にわたるようになるシニア世代になると、やはり専門人材介在の必要性は高まっていくと考えています。

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【やさしいニュース解説 プロダクトガバナンスって何? “製販”で最善利益めざす 投信の品質管理確立へ】
長澤のコメント→
 プロダクトガバナンスについては、金融庁が2020年から「資産運用業高度化プログレスレポート」等において指摘してきた課題に対して、EUの第二次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)のプロダクトガバナンス規制を参考にして、今回、原則の改訂案として取り纏めがなされたものです。
 原則の改訂案には、「金融商品の組成及び想定顧客層の特定に当たっては、(中略)潜在的なニーズも含む顧客の資産形成等に係る真のニーズを捉え~」とあります。真のニーズとなると、一般的な生活者であれば、A国株式の投資信託が欲しいとかではなく、例えば老後はどのような暮らしがしたいので、そのためにはいくら必要で、それを準備するためのアドバイスをして欲しいというのが金融機関に対する期待、真のニーズではないかと思われます。またそういったニーズは本人も自覚しておらず、潜在的なものになっていることが多いと思われます。顧客本位というと金融機関が自らの収益を削り、安い手数料の商品を提供しなくてはならないのかという誤解があるかもしれませんが、上記のようなニーズを満たし顧客とWin-Winとなる持続性のあるビジネスを構築していくことが求められていると思います。

【りそな銀、対面で金融相談の新型店開設 岩永省一社長インタビュー 資産立国へ教育後押し】
長澤のコメント→
 りそな銀行は以前、東京や大阪などの都市部で移動型店舗によるローンや資産運用の相談を始めるという記事を読んだことがありますが、色々面白い取組みを行っている銀行だと思いました。
 金融庁が7月に公表した顧客意識調査でも、投資未経験者に対する質問で、対面での資産運用のアドバイスがあれば投資を始めたいとする人が4割弱いて、これは動画やロボアドバイザーなどの非対面よりも高い数値となっていました。ある程度まとまった資金を保有するマスアフルエント層を中心に今後対面での資産運用アドバイスニーズはますます高まっていくと思われ、今後こうした動きは広まっていくのではないかと思います。

インフォメーション

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