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「JAMPの視線」No.264(2025年1月19日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②JAMPメンバーの採用情報
③NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2025年1月19日

 今週のNewsPicksダイジェストでもコメントさせて頂きましたが、自宅の最寄り駅にある「ぎょうざの満州」というチェーン店が我が家のお気に入りで、少なくとも月に2回は家族で晩ご飯を食べに行きます。お子様メニューにはリンゴジュースとプリンorゼリーがついているので、子どもたちにも好評です。近所のパパ友達の集まりでも使ったことがありますが、餃子をほおばりながら生ビールをぐびぐび飲むときほど幸せな瞬間はありませんね。弊社オフィスがある兜町界隈にもそのうち進出してくれるといいなあと密かに期待する今日この頃です。

 さて、数年前にIFA(金融商品仲介業者)に関する書籍の執筆をご一緒させて頂いたご縁でフィンウェル研究所の野尻所長と時々お話させて頂いており、先週も久しぶりの情報交換ということでランチをご一緒させて頂きました。野尻さんは以前から「アキュムレーション(資産形成)」と対になる考え方である「デキュムレーション(資産活用)」の重要性についての情報発信等を積極的にされていますが、ランチの際にもデキュムレーションに関するお話を色々とお聞かせ頂くことができました。ゴールベース型資産運用サービスの広まりに取り組んでいる私にとって、強く共感するところや「なるほど」と勉強になるところが多く、今日はそれぞれについて簡単に紹介させて頂きたいと思います。なお、以下は野尻さんのお話をうかがって私が感じたところを述べさせて頂くものであり、私の勉強不足や勘違い、筆力不足等で野尻さんのお考えを正確にお伝えできていない可能性があることについてはご承知おき頂ければ幸いです。

 まず、強く共感したところとして、「デキュムレーションはアキュムレーション以上に難しく、アドバイザーのサポートの必要性が高く、金融機関の事業という観点でも成長可能性が大きい」ということがあります。

 私が取り組んでいるゴールベースアプローチの考え方は、アキュムレーションにおいてもデキュムレーションにおいても基礎とすべき普遍的なものですが、その実行難易度はデキュムレーションの方が圧倒的に高いと私もいつも感じています。例えば、住宅購入資金や子どもの将来の教育資金を形成するというゴールを実現するためのマネープランを策定する場合、ゴールとする必要資金額を設定するのは容易とまで言い切ることはできないかもしれませんが、そこまで困難ではないと言っていいのではないでしょうか。一方、老後の生活資金を用意するというデキュムレーションの期間を含むマネープランを策定しようとすると、そもそも第1歩目となる必要資金額の設定からしてかなり困難です。後述する安心感の問題も含め、人生の最後まで安心・安全に暮らすために必要な資金額というのは、夫婦ふたりがいつまで健康で暮らせるのかということも明確に見積もることは容易ではありません。仮に必要資金額の設定を含むマネープランの策定を無事にできたとしても、デキュムレーションの期間のアクションは「買い」ではなく、「売り」が中心になるため、運用リスク水準の逓減や課税への考慮等、「買い」中心のアキュムレーションの期間とは異なる検討や技術が必要となるため、生活者自身がひとりで実行することも困難であり、そこでは専門的知識を有するアドバイザーのサポートの必要性は高いと考えています。

 それゆえ、このデキュムレーションの期間を含むマネープランの策定・実行へのサポートサービスの付加価値は非常に大きいと言えますし、金融機関の事業という観点でも成長可能性は非常に大きいと思われます。アドバイザーが継続的に丁寧なサポートを行うということは、ポートフォリオ付加価値とは異なってコモディティ化しにくいものであり、その高い付加価値の対価として相応に厚い手数料水準を設定することは十分に可能です。また、アキュムレーションの支援に注力するオンライン証券会社や、デキュムレーションの考え方があまり必要とされない富裕層向けサービスの提供に注力する大手証券会社等の狭間に取り残される形で、シニア向けのデキュムレーションサポートは提供しようとする金融機関がいまはまだ少ないため、競争もそこまで激しくないという大きなメリットがあります。私が地域銀行の今後の戦略のひとつとして主にシニア生活者向けのゴールベース型資産運用サービスの提供に注力すべきであると主張しているのは、このような理由があります。

  次に、野尻さんのお話をお聞きして、「なるほど、それはまさにその通りですね」と大変勉強になったこととして、「デキュムレーション期間のマネープランには生活者の安心感への配慮が必要」ということがあります。

 例えば、老後の生活資金の確保として、95歳までの生活費に充てるためにそれまで資産を取り崩すマネープランを策定し、そのプランを問題なく実行したとしても、そのお客様が想定通りに95歳にお亡くなりになるかどうかはわかりません。言うまでもないことですが、想定よりも健康に長生きすること以上に素晴らしいことはありません。ただ、本来であれば嬉しく受け止めるべき想定以上の長生きだとしても、マネープランの観点からは想定外の事象であり、余裕を持たないプランしかない場合には、95歳以降の生活を支える原資がなくなってしまうことになります。人生の終盤で徐々に減っていく資産を見ながら、一方でより長い健康的な人生を望みつつ、もう一方で資産が最後まで持つのかを心配するというのは、マネープラン策定時に目指していた「安心・安全な老後の生活」というところからかけ離れてしまうのではないだろうかというのが野尻さんに教えて頂いた問題意識です。このような問題に対してあるべき対応としては、デキュムレーション期間を含むマネープランの策定にはアキュムレーション期間のマネープラン以上に余裕をもったマネープランを策定すべきでしょうし、デキュムレーションに入った後のアドバイザーのサポートもその辺りの安心感に配慮した早め早めの調整やサポートが必要なのではないでしょうか。

 弊社・日本資産運用基盤グループがご支援しているゴールベース型ラップサービスは老後の生活資金のサポートにも対応できるような定期取崩し機能も備えておりますが、アキュムレーション期間とは異なったサポートが必要なデキュムレーション期間の特徴も踏まえ、よりきめ細やかなアドバイスサービスを金融機関と連携して提供できるような機能開発や研修等の研究をする必要があることを改めて感じました。ゴールベース型資産運用サービスの広がりと定着にはまだまだやらなければならないことが盛りだくさんです。頑張ります!

 (ご参考)フィンウェル研究所の野尻所長のブログ 

JAMPメンバーの採用情報

■日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!

代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!

keiichi.ohara@jamplatform.com

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【埼玉・ぎょうざの満洲、「3割うまい!!」バランス経営の妙味】
大原のコメント→
 「ぎょうざの満洲」は自宅の最寄駅にも店舗があるのですが、かなりの頻度で家族で利用させて頂いています。
 味が美味しいのはもちろん、記事にもあるとおり食材にこだわられているので健康的なところが大好きです(子ども向けメニューについているデザートも健康に配慮されています)。
 時々「フェアメニュー」として期間限定で提供される天津飯が常時メニュー化されると良いな!といつも思っています。

【【預金獲得新時代】(下)限られたパイ 争奪戦に】
大原のコメント→
 日銀の金融政策方針変更による「金利のある世界」の再来を受け、地域銀行にとって今年の最大のテーマは預金獲得競争であることは間違いありません。
 ただ、各所で主張させて頂いていますが、金利ビジネスが復権したからといって、地域銀行が預かり資産ビジネスを始めとする手数料ビジネスの優先度や位置づけを低くすることはあってはならないと考えています。
 金利というのは金融サービスのなかでもコモディティ化が最も進んだ商品のひとつであり、地域銀行が今後の生き残りをそこに見出すというのは、地域における存在意義(パーパス)の観点のみならず、収益性・戦略性の観点からも悪手でしかありません。
 高金利や利便性で個人の預金資金を集めにかかっているオンライン金融機関や地域をまたがった相続資金の取り込みを強みとする大手金融機関に立ち向かうためには、地域銀行ならではのお客様との関係性を主軸に事業モデルを組み立てなければ、銀行の金利ビジネスの原材料である預金量の維持すらままなりません。
 金利が復活した今だからこそ、金利ビジネスに依存しない新たな事業モデルの構築が急務であると考えます。

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【加藤勝信金融相、貸金庫サービスのあり方「金融庁も検討」】
長澤のコメント→
 今までの報道を見ていると、どうやって盗んだのかとか金融機関の再発防止策を含む今後の対応に関するものが多かったように見受けますが、ここにきて貸金庫がマネロンに悪用される可能性が指摘されており、金融庁においても貸金庫サービスのあり方を検討するとの報道が出てきました。
 マネロンについては詳しくありませんし、また、海外の金融機関が貸金庫サービスをどの程度提供しているのかも知りませんが、マネロンに対しては海外の目も厳しいので、今回の事件がパンドラの箱を開けてしまい、貸金庫サービスのあり方が新たなステージに入ったように思われます。

メディア掲載情報

■メディア寄稿:ニッキンOnline
 3週にわたって弊社・日本資産運用基盤がニッキンOnlineに「資産運用立国2年目の論点」と題する短期連載コラムを寄稿させて頂いています。
 第2回は、弊社執行役員の直井が今後の個人向け資産運用サービス事業の大きなテーマである「顧客本位と安定収益の両立」について、私たちの考えを述べさせて頂いています。

 「資産運用立国2年目の論点 第2回 顧客本位と安定収益、両立できるか」

■メディア寄稿:ニッキン投信
 執行役員・金融機関コンサルティング部門長の直井が「ニッキン投信情報」に寄稿しました。

「新NISA1年、見えてきた課題 金融機関はNISA推進にどう取り組んでいけばよいのか」

インフォメーション

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