見出し画像

「JAMPの視線」No.26(2020年6月28日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2020年6月28日

今月19日に金融庁から「資産運用業高度化プログレスレポート2020」が公表されました。
資産運用事業を営む資産運用会社の現状について、パッシブ化による運用報酬低下の傾向や小規模投信の乱立等の現状を整理するとともに、課題に対する解の方向性として、主に資産運用会社のガバナンス面を中心に経営・業務執行体制の強化等を主張している充実した内容のレポートとなっています。日本の資産運用業界の現状を資産運用会社という切り口から概観するひとつの材料として有用な定点観測資料であると思われます。
一方、このレポートの前半で整理されている資産運用業界の現状については違和感ないものの、それら事実からの問題抽出とそれらに基づく課題設定については少し整理が不十分もしくは論理の飛躍があるような印象を持ちました。
つまり、日本のアクティブ投信のパフォーマンスが比較的低調であるという事実と、小規模投信が乱立しているという事実は、もちろん後者が前者に影響しているところはあるにしても、基本的には別の問題であり、前者は資産運用技術(投資対象市場選定等の商品設計技術も含む)の巧拙の問題である一方、後者は資産運用会社経営の効率性の問題であり、それらが混じった問題整理になっているような印象を受けました。それら問題から導かれる課題として、資産運用会社のガバナンスや経営・業務執行体制の強化があげられていますが、これらはそれぞれ別の問題であり、原因も異なるように思われるため、そこから集約した課題を設定するのはやや乱暴なように感じます。
また、この課題設定を是としたとしても、ガバナンスを強化することが資産運用技術の向上(高度化)につながるというのは論理に飛躍があるように思われますし、経営・業務執行体制の強化は確かに事業効率性の向上につながるかもしれないものの、小規模ファンドの乱立は主に販売会社主導の業界構造に起因するところが大きいと考えており、総じて資産運用会社のガバナンスや経営・業務執行体制の強化が現状の問題解決につながるというのは、やや論理に飛躍があるように感じました。
そもそも、「資産運用業高度化」という表現や本レポートの冒頭に掲げられた資産運用会社の経営が競争激化の難しい状況にある現状の指摘等から拝察するに、「資産運用の高度化(パフォーマンスの向上等)が資産運用業界の活性化や資産運用会社の経営安定につながる」というテーゼが暗にあるように感じられますが、資産運用サービスがそもそも投資運用付加価値のみを提供するものではなく、資産運用アドバイス等の他の付加価値も本来的に伴うものである以上、資産運用パフォーマンスを向上させることが現状ある問題の解決にストレートにつながるというとは個人的には考えていません。
弊社が関わっている「国際金融都市・東京」構想に関する議論でも時々感じることですが、「資産運用業」という表現が意味する事業や機能範囲が非常に大きいため、議論をする主体や視点によって抽出される問題や設定される課題の振れ幅も大きくなりがちであり、どのような視点で何を目的とした議論であるのかを明確にしたうえで、問題整理や課題設定を行わなければ、問題に対する解の方向性がずれたもしくは効果的でないものになってしまうように考えています。

News Picks ダイジェスト(2020年6月22日~2020年6月28日)

2020年6月23日
【「今はコロナ特需」既存産業と組んで実現するデジタルトランスフォーメーションの本質・LayerX福島氏】
大原コメント→
大手企業との積極的な連携を矢継ぎ早に打ち出すLayerXについては、ブロックチェーン技術を活用した先進的な取り組みもさることながら、大手企業の戦略資産を活用し、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5003586?ref=user_121187

2020年6月24日
【セゾン投信、中野氏が会長に 「保有者損益を重視」】
大原コメント→
私がマネックス・セゾン・バンガード投資顧問を創業・経営していた際、同じ事業会社に主要株主になって頂いていたことや共にバンガードを重要な事業パートナーとしていたこともあり、中野社長には色々なご助言を頂きました。
2017年秋に私が代表取締役を退任し、失意のどん底にあった時も、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5014113?ref=user_121187

2020年6月24日
【東海東京FH、ブロックチェーン会社に出資】
大原コメント→
東海東京FHが新たに出資をするハッシュダッシュHDという会社は、東海東京FHが既に出資しているスマホ証券・One Tap Buyの創業者である林和人氏が新たに創業した会社のようですが、従前からの強い人間関係から共同事業ということになったのでしょうか。
東海東京FHはグレート・プラットフォーム・システムという戦略を掲げ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5014135?ref=user_121187

2020年6月25日
【【3分解説】熱狂を生みだす投資アプリ「ロビンフッド」】
大原コメント→
米国ロビンフッドやチャールズシュワブの株式売買委託等手数料無料化に触発されたところもあり、昨年後半から日本でもオンライン証券会社を中心に各種手数料無料化の動きが進んでいます。
ただ、売買委託等役務のコモディティ化と手数料無料化はオンライン証券が登場した約20年前から運命付けられていたとはいえ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5015410?ref=user_121187

2020年6月26日
【地銀の「外部運用」巡る争奪戦激化、新興企業がSBIの対抗馬に名乗り】
大原コメント→
地域銀行の有価証券運用事業については、リスクアピタイトフレームワークに基づく適切なリスク量配賦を行う取締役会やその配賦リスク量に基づく投資運用戦略を策定するALM委員会等のレベルに専門人材がいない、もしくはそれらが適切に機能していないところに問題があるという考えを持っています。
一方、具体的な運用プロダクトを持つ資産運用会社等がこうした問題に対してソリューションを提供しようとすると、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5020002?ref=user_121187

メディア掲載情報  

■メディア出演
弊社代表の大原が「Tokyo Financial Street」に出演しました。
https://www.jamplatform.com/news/2020/06/20/1333/

インフォメーション

■個別無料相談会
個別のご質問・ご相談会を無料で定期的に開いています。お気軽にお申し込みください。
https://www.jamplatform.com/consultation/

■メールマガジン登録
毎週日曜日22時にJAMPメールマガジン「JAMPの視線」を発信しています。
ご興味のある方は是非こちらから登録をお願い致します。
https://www.jamplatform.com/mailmag/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?