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「JAMPの視線」No.202(2023年11月12日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年11月12日

 先週の平日夜に研究所時代の大先輩にお声がけ頂き、立教大学の社会人大学院の金融論の講座でスタートアップ企業の資本政策等についての体験談をお話させて頂く機会がありました。資本政策に関する高度な話はあまりできないこともあり、どちらかというとスタートアップ企業の起業や経営にまつわる様々なハードシングスをお話させて頂くということが中心でしたが、改めて整理してお話をさせて頂くことを通じて客観的に振り返る機会にもなって良かったです。また、会計士や弁護士、上場企業のIRご担当、経営者等の様々なキャリアの方がお忙しい仕事の傍らに週3‐4回も大学院で学ばれている様子をお聞きし、とても刺激を受けました。
 さて、その大学院の講座に出席させて頂いたあとの打ち上げのディナーに参加させて頂いた際、「株主優待」の話が盛り上がりました。例えば、日清食品グループの株主優待では、カップラーメンの詰め合わせが届くことがとても嬉しく、いつもそれを楽しみにしている等、私自身は個別株式の投資はしていないこともあり、楽しくお話を聞かせて頂きました。
 株主優待については、機関投資家や海外投資家から平等性やメリット等についての疑義が呈されていることもあり、最近は取りやめる企業も増えているということのようです。ただ、確かに機関投資家等にとっては直接のメリットはあまり無いのかもしれませんが、企業が自社の理念やビジョン、商品やサービス等の個人のファンを増やすことは、商品やサービスの売上げの向上という直接的な効果のみならず、株価の下支え等の間接的な効果も小さくないような印象があります。以前に「ファンベース」という考え方で企業のマーケティング等をご支援しているファンベースカンパニーの津田社長とお話をさせて頂いたことがあるのですが、株主優待についても同様の観点での効果やメリットがあるように感じます。
 改めて家に帰ってからインターネットで株主優待を巡る議論を調べてみたのですが、確かに株主間の平等性や機関投資家や海外投資家にとってのメリット等についてのネガティブな意見もある一方、最近の研究では株主優待は「株価の下支えになっている」「株価パフォーマンスを良くしている」等のメリットがあるということも実証されてきているようで、必ずしも廃止する方向ばかりではないことも知り、少しほっとしました。
 これまでもしばしばお話させて頂いている通り、インターネットの普及と購買行動等のオンライン化等によって、過去20年強の間に全ての商品・サービスがコモディティ化する流れが急速に進む中、金融商品や個別株式銘柄等もその流れには抗しきれなくなってきているように思われます。そのようななかでファンミーティングや株主優待等を通じ、ヒューマンタッチな接点を顧客や株主と持とうとする取り組みは改めて見直されていくのではないでしょうか。これは金融商品の販売においても同じような方向性を予想しています。

(ご参考)
対談連載【金融ビジネス/最前線の変革者達 No.18】
株式会社ファンベースカンパニー 代表取締役社長/CEO 津田匡保氏 「ファンと共に成長する、ファンベースという考え方」

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年11月7日
【楽天投信、ファンド手数料引き下げ 単独で業界最低に】
大原のコメント→
 新NISAへの移行を前に資産運用会社各社による投信運用報酬の引き下げチキンレースは激化するばかりですが、新たな付加価値を創出することなく手数料引き下げにやっきになる行動には事業継続性が見出せないことを懸念します。
 一般生活者のお客様の長期の資産形成・活用を支える資産運用サービスを提供するからには、自らも利潤を獲得できるようなWinWinの事業モデル構築・運営を実現すべきであり、・・・(続きを読む)

2023年11月8日
【ETF躍進の「黒子」 ニッチ市場にゴールドマン参入: NIKKEI Financial】
大原のコメント→
 弊社・日本資産運用基盤が三菱UFJ信託銀行とともに運営する日本版ファンド・マネジメント・カンパニーソリューションは、将来的な展開として、この記事にあるようなホワイトラベルETF事業者として海外のETFプロバイダーのETF商品の東京市場への上場の支援プラットフォームの役割を担うことも目指していきたいと考えています。

2023年11月9日
【みずほ、楽天証券に900億円追加出資へ 年内上場困難で】
大原のコメント→
 経緯や理由は様々あれど、SBI証券と楽天証券が主導する証券業界の手数料無料化への移行からわずか1か月強でオンライン証券業界の絵姿が大きく変わりつつあります。
 本来であれば新NISAへの移行によって「岩盤」と表現される巨額の個人金融資産が投資や資産運用に動くことが期待されるなか、証券・資産運用会社はその果実を享受できる主体であるにも関わらず、その最前線にあるオンライン証券会社のオーナーがその持分を手放す意味合いは軽くないと考えます。
 即ち従来型の証券・資産運用事業モデルではもはや儲からなくなっていることを証券・資産運用業界関係者は共通認識として持っていることに他ならず、・・・(続きを読む)

2023年11月8日
【PayPay証が投信10倍の200本に拡充、新NISAで数年内黒字化も】
大原のコメント→
 株式売買委託手数料の無料化に表れているように従来型証券事業モデルから利潤が消失しているのと同様、投資信託の信託報酬の引き下げチキンレースも激化しており、従来型資産運用事業モデルももはや儲からなくなってきているのは自明です。
 投資信託の取り扱いをどれだけ拡充したとしてもそこに事業モデルの新規性はなく、限られた利潤を様々なリテール金融機関が奪い合うレッドオーシャンの領域に飛び込むことに勝算があるとは思えず、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年11月10日
【金融庁、仕組み債監視 機動的に 日証協と連携しデータ集約】
長澤のコメント→
 金融庁が日証協と連携して、仕組み債のデータを集約・分析するとのことです。金融庁では定期的に仕組み債、外貨建て保険、投資信託などのリスク性金融商品の販売状況を主要な銀行・証券会社に対してヒアリングを行っておりますが、それ以外にも金融商品仲介業者等を経由して仕組み債の販売も行われており、全体像を把握するため、組成・卸しを行っている証券会社のデータを収集することにしたものと思われます。
 仕組み債販売を契機に、想定顧客層の特定や販売商品のリスク・リターン・コスト分析などのプロダクトガバナンスに注目が集まっています。仕組み債以外にも、投資信託の商品ラインアップの選定・見直し作業における分析をどのよう行えばいいのか、・・・(続きを読む)

メディア掲載情報

■メディア寄稿:「ニッキンレポート」への論考寄稿
主任研究員の長澤が「ニッキンレポート」にコメントを寄稿しました。
「指標の変化の要因、分析結果の開示も更なる「見える化」に期待」

■メディア掲載:ニッキンOnlineでの連載コラムの掲載
「ニッキンONLINE」で転換期の有価証券運用をテーマにした連載の第2回が公開されました。
第2回目は、投資運用ソリューション部門の白瀧ディレクターの寄稿です。
「転換期の有価証券運用 第2回 迫る環境変化に備えを」

■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第37回目の記事を公開しました。
「「金融商品取引法の一部を改正する法律案」について(シリーズ6・最終章)」

インフォメーション

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