「JAMPの視線」No.261(2024年12月29日配信)
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②JAMPメンバーの採用情報
③NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
④お知らせ・ニュースリリース
⑤メディア掲載情報
⑥インフォメーション
年内最後の土曜日である昨日は、小学校4年生の長男が所属する野球チームの忘年会&クリスマスパーティーでした。私は野球経験がなく、普段の練習でも球拾いくらいした役に立てないため、今回の会の取りまとめに立候補し、オードブルやピザ、飲み物の手配等を諸々お手伝いさせて頂きました。大人と子ども合わせて50人以上が参加する会でしたので、なかなか準備は大変でしたが、野球チームのメンバーやご家族とのコミュニケーションが深まったように感じ、とても楽しかったです。どんなコミュニティでも自分なりにお役に立てることがあるのはいいなと感じました。
さて、昨年12月に「資産運用立国実現プラン」が策定・公表され、今年頭から新NISA制度が開始する等、今年2024年はまさに我が国の金融・資産運用業界が「資産運用立国」に向けて具体的な取り組みをスタートした1年でしたが、私たち日本資産運用基盤が提供している「基盤」ソリューションを通じても、その大きな変化を感じる1年だったように思います。
まず、ゴールベース型資産運用支援については、特に地域銀行の皆さまのゴールベース型ラップサービス導入に向けての動きが本格的に加速していることを感じます。昨年もゴールベース型サービスの必要性についての理解が進んではいるものの、新NISAの準備に頭も手もいっぱいで何も考える余裕が無いという状況のように見受けられましたが、今年に入ってからはその状況が落ち着き、具体的な検討ができるようになったことがひとつあるように思います。実際に新NISAが無事にスタートしたはいいけれど、ふたを開けてみると、手数料の低い投資信託商品の積立てが中心であり、システムコスト等の負担を考えると、収益性がほとんど無いに等しく、お客様への付加価値提供と自行の収益性の両立を満たすサービスを真剣に考えなければならないという問題意識が強まったということもあるでしょう。
先週半ばに年末のご挨拶をさせて頂いた某大手アセットマネジメント会社の役員の方が、「金融庁に怒られないような対応をしなければならないという後ろ向きな理由も含め、全ての動きがここにきてバチっとはまりはじめた」と仰っていました。金利復活によって収益性が改善し、これまで手が付けられなかったシステム開発等の投資ができるようになった地域銀行も増えてきているということで、「JAMPが想像している以上のスピードでこれからはゴールベース型ラップサービスがスタンダードになっていくと思いますよ」というコメントも頂きましたが、私もまったく同じ見通しを持っています。私個人としては、2015年に日本に帰国してからずっとゴールベース型ラップサービスの普及に取り組んでいますが、今年ほど大きな変化を感じたことはありませんでした。来年2025年は日本にゴールベース型ラップサービスが定着する大きな転換点になるように予想しています。
また、投信ビジネス支援についても、業界全体として必要性が高まっていることを感じます。昨年秋に提供を開始した日本版ファンド・マネジメント・カンパニーソリューションについては、今年は推進準備ということもあって新たなご利用案件は増えていませんが、「資産運用立国」構想で外資系や新興資産運用会社の日本市場参入の意欲が高まっていることに加え、投信手数料の低減の流れを受け、既存の投信委託会社の事業効率化に対する問題意識も強まっており、同ソリューションへのお問い合わせが増えています。
特に後半の既存の投信委託会社の事業効率化については、10月に公表されたPayPayアセットの投信事業撤退の事案もあり、これからは中堅投信委託会社の事業撤退や事業転換等の案件も本格的に増えていくように思います。「資産運用立国」の旗印の下で進められる資産運用会社の競争の活性化のひとつの帰結として事業効率化・高度化への取り組み強化があるのは当然のことであり、来年2025年は日本版ファンド・マネジメント・カンパニーソリューションが日本でも広がっていくことは間違いないように感じます。
日本資産運用基盤グループにとっての2025年は、新しいコーポレートアイデンティティーのもと、金融・資産運用業界における私たちの存在への信頼感をより大きくする1年にしたいと考えています。来年3月からは新オフィスへの移転も予定していますが、よりしっかりとした体制で金融機関の皆さまとより良い資産運用サービス・ビジネスを構築していけるよう、引き続き全力を尽くしてまいる所存です。来年もご指導を頂きますようよろしくお願いいたします。
■日本資産運用基盤グループでは、事業拡大に伴い一緒に働くメンバーを募集しています。
弊社にご興味のある方、ぜひ働きたいという方はこちらからお申し込みください。
まずはお話だけでも、という方も大歓迎です!
代表の大原とのカジュアル面談でもいいかな、という方ももっとウェルカムです!!
【「貯蓄から投資」の加速に向け、金融庁に「資産運用課」新設へ】
大原のコメント→
資産運用立国の実現に向けた重要なステップだと考えます。
ただ、「仏作って魂いれず」の言葉通り、金融庁に銀行・証券・保険に並ぶ「資産運用課」が新しく設置され、そこの人員体制や予算が増強されたとしても、その人材やそこで行われる議論に「魂」が入っていないと意味がないのはいうまでもありません。
金融庁を始めとする中央官庁で働かれている官僚の方々が優秀で勉強熱心であることは間違いないとは思うものの、資産運用業界の現場でどのようなビジネスが行われており、どのような課題や矛盾等に直面しているかというのは、実際にその現場でビジネスをしていないとわからないということもまた間違いないと思います。金融庁の幹部でも資産運用会社の取締役会や経営会議等が実際にどのように運営され、どのような議論が行われているのか等をご存じの方は殆どいないのではないでしょうか。
金融庁出身の方々が民間の金融機関に再就職されたり、民間の金融機関の方々が金融庁に中途で転じられたりというケースは増えてきているとは耳にするものの、やはりまだ資産運用業界の現場でビジネスをされていた方が金融庁や内閣府の関係省庁に転職されるということは少ないように思います。米国では「リボルビングドア」と呼ばれる官民の人材の行き来が活発に行われているというのは以前から有名な話ですが、まさにいま日本が国策として「資産運用立国」の実現に向けて総力を尽くすのであれば、「魂」を入れる具体的施策として資産運用業界に特化した日本版「リボルビングドア」を促進するような取り組みも必要になってくるのではないかと考えています。
【元芸人の井村俊哉氏、東大投資サークルOBと公募投信立ち上げ】
大原のコメント→
成功報酬を含む手数料水準が高い等の意見もSNS上では散見されますが、値段の高い安いは実際に利用されるお客様が判断されれば良いと思います(私個人の利用者目線としては高いなと思いますが)。
それよりもお客様に対してしっかりと付加価値を提供しようとする新しい資産運用商品が増えることは望ましいことですし、新興企業との連携スキームを用いてそれが実現したということは「資産運用立国」の理念に沿うものであり、今後もこのような前向きな取り組みが増えると良いなと感じます。
【地銀、終身保険のニーズ変化 円建て比率が上昇】
長澤のコメント→
本来円建てを望むも、金利がほとんどつかない、若しくは商品として成立せず販売停止になっているなどの消去法的な理由でやむなく為替リスクをとっていた顧客も相当いたのではないかと思われます。このような表面的はニーズをもって外貨建て保険にニーズがあるとして積極的に販売するなど潜在的なニーズを見余ると、中長期的な顧客の満足度向上には繋がりにくいのではないかと思われます。
【2024年の投資信託10大ニュース 1位は「新NISA開始」 投信ランキング】
長澤のコメント→
私も兼務先のQUICK資産運用研究所で1票投じました。今年も色々ありましたが、資産運用業界の隅に身を置くものとして、NISAの抜本的改革、特に非課税期間の無期限化は、のちに一般生活者に資産形成・資産運用が広く浸透する大きなきっかけだったと言われるのではないかという意味でやはり1位ではないかと思われます。また、2位のブラックマンデーと日経平均株価高値更新ですが、個人的には昭和のブラックマンデーは金融機関で仕事を始めたところ、バブル期の高値は市場関連の仕事を始めたころですが、三十数年かけてやっと相場が戻ったかと思うと自分のキャリアと重ね合わせて感慨深いものがあります。2025年は景気のいいニュースで埋め尽くされるといいのですが。
■JAMPゴールベース型資産運用支援サービスの支援残高が300億円到達
弊社・日本資産運用基盤が証券会社・資産運用会社等のプラットフォーム金融機関向けに提供する「ゴールベース型資産運用支援サービス」のご支援残高が、2024年9月の200億円から3ヶ月で300億円に到達しました。
■メディア掲載:JIJI Financial Solutions
「JIJI Financial Solutions」で弊社が提供する「ゴールベース型資産運用支援サービス」が累計300億円に到達したことについてご紹介頂きました。
「ゴールベース運用・支援サービス、300億円に到達=地域金融機関の取扱いが増加-JAMP」
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