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「JAMPの視線」No.58(2021年2月7日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④お知らせ・ニュースリリース
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年2月7日

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従来型リテール金融業界が転換期を迎え、既存の証券会社や資産運用会社が事業モデルの転換を迫られるなか、地域銀行の証券子会社や資産運用子会社はさらにその存続は危ういだろうという意見を耳にします。ただ、個人的には全く別の意見を持っており、新時代のリテール金融業界において、地域銀行のそれら証券・資産運用子会社は新たな役割を担い、地域銀行のリテール金融事業モデルの重要な成長エンジンとなるであろうことを予想しています。
確かに、これまで少なくない数の地域銀行が証券・資産運用子会社を設立したり、既存地場会社を買収したりしていますが、地域銀行グループの事業ポートフォリオを構成する主要事業として成功している事例はあまり聞かないように思います。また、それら証券・資産運用子会社は、大手証券会社や資産運用会社と比べ、品揃えや商品組成機能で劣後していることは厳然たる事実としてあり、金融商品付加価値がコモディティ化し、事業利潤が消失するなか、より強く事業存続性を懸念される状況にあることは否定できないようにも思われます。
一方、リテール金融業界が最後のフロンティアである資産運用アドバイス事業領域に移行しつつあるなか、顧客との接点や信頼関係を有する地域金融機関が新時代の主役であることも間違いないと確信しています。その際、これら地域銀行の証券・資産運用子会社は、コモディティ化する商品付加価値の創造主体として捉えられるべきではなく、あくまで地域銀行が担う資産運用アドバイス付加価値の提供というプロセスのなかで位置づけられるべきであると考えます。この点が本来的な商品付加価値の創造を担う大手証券会社や資産運用会社とは異なるところです。
即ち、地域銀行の証券・資産運用子会社は、その金融商品取引業者としてのライセンスや機能を活用し、資産運用アドバイスという付加価値を提供するための投資一任運用(ラップ)スキームを運営するための「機能ハブ」、つまり、商業的な表現でいうと、「収益化(マネタイズ)ポイント」となるという重要な役割を担うことになると考えています。これは従来の商品付加価値の創造主体としての役割に引きずられざるを得ない大手証券・資産運用会社には難しく、資産運用アドバイス付加価値の提供主体である地域銀行のグループ会社でこその役割です。
具体的には、証券・資産運用子会社は、投資一任運用主体として、資産運用アドバイス付加価値の事業化に必要な投資一任運用スキームの運営を担い、親会社地域銀行やグループ兄弟会社、親密顧客接点チャネルにその投資一任運用機能を提供することで、より機動的かつ厚い収益化を期待することが可能となります。また、投資一任運用のうち重要な構成要素であるアセットアロケーションについても、証券・資産運用子会社が自ら担うのではなく、外部の資産運用会社のポートフォリオ運用の目利き機能を発揮することで、コモディティ化が避けられない商品付加価値の限界から逃れ、よりメタレベルかつ生産性の高い付加価値要素を資産運用アドバイス領域において担うことが可能となります。
リテール金融業界が大きな転換期を迎えるなか、地域銀行やその証券・資産運用子会社も難しい局面にあることはその通りであると思います。ただ、主戦場を従来型リテール金融事業領域ではなく、新たな資産運用アドバイス領域に見据えることで、全く別の景色や競争環境が現れてくるでしょう。地域銀行の経営陣には、既存の証券・資産運用子会社の活用や、新たに具備すること等、戦略的な打ち手を提言申し上げたいと考えています。

News Picks ダイジェスト(2021年2月1日~2021年2月7日)

2021年2月3日
【地方銀行、統合か単独か 選択迫る政府・日銀】
大原コメント→
地域銀行の「再編」といった場合、その数を減らす合併・経営統合を意味する「再編A」ありきで議論されることに違和感を感じています。
確かに人口減少・過疎化等で地方の資金需要が乏しくなっていく環境化、より規模の経済を働かせた効率的な経営が可能となる「再編A」の効果が小さくないことは否定しません。
ただ、地域銀行同士が合併しても出来上がるのはやはりより規模の大きな地域銀行に過ぎず、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5587119?ref=user_121187

2021年2月4日
【大手証券 株式売買手数料が大幅増加 コロナ禍でも取り引き活発】
大原コメント→
証券売買委託等手数料や投信の信託報酬等が大きく低下するなか、証券会社は従来型事業モデルの転換の必要性に迫られていますが、昨年からの株式市場の活況を受け、売買委託手数料収入は足もと増加しており、「これまでの事業モデルでもいけるじゃないか」と、事業モデル転換の抵抗に一部でなっているようにも見受けられます。
一方、先月1月15日に公表された「顧客本位の業務運営の原則」改訂や監督指針改正等を受け、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5590093?ref=user_121187

2021年2月5日
【ロビンフッド、全株の取引制限を撤廃】
大原コメント→
記事の趣旨とは異なりますが、新しい金融事業の立ち上げご支援等をしているので、昨年頭くらいから日本でもロビンフッドの認知度が高まっているなか、同様の事業モデルを日本でも立ち上げたいというご相談を多く頂きます。
ただ、株式取引市場が複数存在し、そこへの注文回送でキックバック収入を得られること等、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5594174?ref=user_121187

メディア掲載情報

■メディア掲載:「ニッキン投信」への匿名コラム寄稿
代表の大原が「ニッキン投信」の「提言」コーナーに匿名コラムを寄稿しました。
「ロボアドバイザーサービスの事業的価値とは」
https://www.jamplatform.com/news/2021/02/01/1899/

■メディア掲載:「Investment Japan」への英文コラム寄稿
ディレクターの石尾が「Investment Japan」に英文コラムを寄稿しました。
「Importance of Compliance Manual and Compliance Program」
https://www.jamplatform.com/news/2021/02/04/1907/

お知らせ・ニュースリリース

■セミナー登壇:東京都「Tokyo 独立開業道場」セミナーへの登壇
弊社代表の大原が東京都主催の新興運用会社立上げセミナーに登壇します(次回は最終回2月25日)。
「Tokyo 独立開業道場『目指せ!独立系資産運用会社』」
https://www.kaigyo-dojo.com/

■セミナー登壇:リフィニティブ社のWebセミナーへの登壇
弊社代表の大原がリフィニティブ社主催の全3回のリテール金融業界セミナーに登壇します。
第1回(2月17日(水)):「なぜ今、IFAが注目されるのか」
第2回(2月24日(水)):「なぜ地域連合、銀証連合が生まれるのか」
第3回(3月3日(水)):「日本でプラットフォーマーになるのは誰か~ネット証券か、運用会社か、テクノロジー会社か~」
https://solutions.refinitiv.com/japanifalp

インフォメーション

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https://www.jamplatform.com/consultation/

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