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「JAMPの視線」No.57(2021年1月31日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④お知らせ・ニュースリリース
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年1月31日

2020年8月の金融審議会・市場WGの報告書における提言を踏まえ、今月15日付で「顧客本位の業務運営の原則」の改訂と「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の改正が公表されました。今回の改訂・改正については、金融商品の販売を担う金融機関に求められる「重要情報シート」の導入等に注目が集まっていますが、短期的に金融機関の負担が増えることもさることながら、中長期的には販売金融機関や資産運用会社の事業モデルの転換に拍車をかけるものになると個人的に考えています。
まず、金融商品の販売を担う金融機関には、適合性の原則に留まらず、更に踏み込んだ受託者責任的義務を満たすような態勢整備や行動等がより明確に求められることになり、このことが従来の投資信託ビジネスの利潤消失の動きを早めることになると考えられます。これまでは販売金融機関が対峙する顧客の属性等に適合する金融商品か否かということが重要であったところ、今後は市場に流通する類似商品も広範に比較し、手数料水準等も含め、顧客にとってより適切な金融商品を取り扱い、提示する「最良商品方針(ベストプロダクトポリシー)」の遵守が求められる力学が働きます。結果、販売金融機関は、資産運用会社から商品を仕入れる際にも、顧客に提案する際にも、類似の投資信託商品であれば、より手数料の安いものを能動的に選定しなければならなくなり、市場全体として投資信託の信託報酬の水準はこれまで以上に大きな低下圧力を受けることが予想されます。
また、「顧客本位の業務運営の原則」において、金融商品販売後に「フォローアップ」を行なうことが明確に求められたことにより、上述の投資信託ビジネスからの利潤消失とあいまって、投資信託から投資一任運用へのスキーム移行が加速度的に進むことも間違いないと思われます。金融業界関係者から寄せられたパブリックコメントでも指摘が見られましたが、投資信託はそもそもその商品特性上、顧客のライフプランの実現をサポートするようなフォローアップの実施を想定しておらず、それに見合う手数料も設定されていません。従って、金融庁が求めるような「フォローアップ」を真剣に行なうとすると、投資一任運用サービスを導入し、その顧客との投資一任契約の中でフォローアップの内容や頻度、程度等を定め、それに見合う手数料を設定する必要があります。金融機関が今回の「顧客本位の業務運営の原則」を遵守しようとすると、投資一任運用へのスキーム移行以外には現実的な選択肢が見当たりません(「フォローアップ」を無料で行なうというのであれば別ですが)。
従来型証券・資産運用ビジネスが終焉する流れのなか、昨年半ばから地域銀行等で個人向け投資一任(ラップ)サービスの導入への関心が高まっており、複数の大手資産運用会社がラップサービス事業への参入に踏み出し、既に少なくない数の地域銀行が新年度からの導入を決定していますが、今回の改正・改定がその動きの業界全体への拡大を加速させることは間違いありません。

News Picks ダイジェスト(2021年1月25日~2021年1月31日)

2021年1月23日
【上場の値決め、慎重すぎ? 初値上昇率15年ぶり高水準】
大原コメント→
記事内でも言及されている「IPOディスカウント」については、慣行的に設定されていると説明されることが多いものの、個人的に疑問を感じています。
投資家の需要を喚起するため、新規上場銘柄に関する情報不足が存在するため、IPOプロセスにおける期間リスクに対応するため等、色々な理由は説明されるものの、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5559131?ref=user_121187

2021年1月24日
【【阿部修平×森永康平】拡大し続ける格差。生き抜くために何をすべきか】
大原コメント→
全体としては物価下落が進む一方、最低限の生活コストは逆に上昇するという歪んだ物価動向がすすむなか、コロナ禍とそれに対する緊急事態宣言等の諸対応によって、日本においても社会の分断が進んでいるという分析は説得力があり、改めて現在の状況に強い危機感を覚えました。
https://newspicks.com/news/5545655?ref=user_121187

2021年1月26日
【新生銀行、マネックスと包括提携へ 銀証連携が加速】
大原コメント→
対面顧客接点を有する金融機関と金融商品プラットフォーマーが連携し、金融商品管理口座とそのシステムをプラットフォーマー側に寄せるという「販・販」分離スキームは、2019年8月26日に公表された野村證券と山陰合同銀行グループの提携が代表的なものですが、従来型リテール金融ビジネスの構造が崩れつつあるなか、今後も増えていくと予想しています。
ただ、新生銀行は筆頭株主が昨年末にSBIホールディングスになっており、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5567136?ref=user_121187

2021年1月26日
【スマホ専業証券のスマートプラス、ラップの商品化支援】
大原コメント→
金融庁「顧客本位の業務運営の原則」にフォローアップが盛り込まれる等、リテール金融のサービス付加価値が資産運用アドバイスに移行する動きが進んでいますが、それを事業モデルとして成立させるためには投資一任契約等の投資顧問スキームが必要となります。
ただ、中小規模のIFA事業者等がこの投資一任機能を自前で具備・運営するのは現実的ではなく、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5567028?ref=user_121187

2021年1月27日
【お金のデザインの蹉跌、消えたマネフォとの合併案】
大原コメント→
お金のデザイン社が1月19日付で公表した情報では、同社の第一種金融商品取引業にかかる事業を会社分割でSMBC日興証券に承継するとなっており、サービス・事業の主要部分である投資運用業(THEO等)は引き続き独立したエンティティで運営するという理解です(事実上は「『大手証券会社の1サービス』になる」という本記事の表現にあたる可能性も否定しきれませんが)。
いずれにせよ、Nikkei Financialならではの割れ目倍満級の読み応えある記事であり、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5568168?ref=user_121187

メディア掲載情報

■メディア掲載:「財界」での書籍紹介文の掲載
代表の大原が総合ビジネス誌「財界」に「IFAとは何者か」の紹介文を寄稿しました。
https://www.jamplatform.com/news/2021/01/29/1894/

お知らせ・ニュースリリース

■セミナー登壇:東京都「Tokyo 独立開業道場」セミナーへの登壇
弊社代表の大原が東京都主催の新興運用会社立上げセミナーに登壇します(次回は最終回2月25日)。
「Tokyo 独立開業道場『目指せ!独立系資産運用会社』」
https://www.kaigyo-dojo.com/

インフォメーション

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https://www.jamplatform.com/consultation/

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