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「JAMPの視線」No.121(2022年4月24日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③金融専門人材募集情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2022年4月24日

今週のNewsPicksダイジェストでもコメントさせて頂きましたが、過去20年間で証券・資産運用サービスの提供チャネルとしてオンライン金融機関の存在感が大きく高まる一方、ここ最近は大手オンライン金融機関に買収・統合される証券・資産運用スタートアップ企業やオンライン金融機関事業から撤退する対面証券会社が散見される状況が見受けられます。
この背景として、個人の身近なサービス提供チャネルの存在感を争う競争に雌雄が決し、概ね複数の大手金融機関に勝者が絞られ、その限られた大手金融機関が顧客基盤のシェアを分け合う状況が固まりつつあることに加え、私が以前より繰り返し申し上げている通り、従来型の証券・資産運用事業モデルから利潤が消失し、全く儲からなくなってしまったということが大きな要因としてあると考えています。仮に事業利潤が一定程度見込めるのであれば、顧客基盤のシェアを大きく獲れなくても、ニッチな存在感を示す金融機関として生き残ることは可能だったかもしれませんが、3-4年前から進む無料化を目指す手数料引き下げ競争においては、相応のシェアを持って周辺事業領域で事業性を見出すこと無しには、生き残りすらままならないという状況にまで業界が追いやられてしまっています。
このような状況にまず最初に耐え切れなくなったのは、金融業界における「炭鉱のカナリヤ」こと、証券・資産運用スタートアップです。2014年頃からスマホ証券や資産運用ロボアドバイザー等の領域でスタートアップ企業の立上げが多く見られましたが、殆どの事業者は大手金融機関に比べて財務状況が脆弱であるため、あたかも酸素が無くなった炭鉱でカナリヤが最初に意識を失うように、事業利潤が消失した従来型事業領域においては単独での生き残りを断念せざるを得なくなってしまいました。そこでは提供するサービスの革新性やUI/UXの素晴らしさ等は効果を持ちえず、単純に「酸素」が無い状況でどこまで耐えきれるかという財務基盤の頑健性の勝負になってしまいます。大手の非金融事業者等もその顧客接点の優位性を活かしたスマホ証券事業へ参入し、先行投資として巨額の赤字を正当化する戦略ストーリーも時おり耳にしますが、その財務基盤や覚悟等という意味での「酸素ボンベ」の大きさには感服するものの、「酸素」が失われつつあるなかで将来的にどこで事業性や成長性を見出そうとしているのかはやや疑問に感じます。
一方、対面証券会社のオンライン金融機関事業からの撤退については、ネガティブに捉える意見も存在しますが、私は足もとの経営環境や将来の戦略を見据えた経営判断だと前向きに評価しています。情報通信技術の発展と金融機能・プロダクトのコモディティ化が進んだ結果、非常に面白いことに、情報通信技術が効率化しえない業務工程や人の感情的な要素を評価・値付けする逆方向の動きが出てきているなか、対面証券会社や地域金融機関のそこでの優位性が新たな「酸素」として現れてきているように思います。この考え方はこれまでの情報通信技術を絶対視するものとは異なるため、なかなか考え方を切り替えるのが困難ではありますが、そこで勝負をするんだという腹をくくった経営判断が少しずつ見られるようになってきているように感じます(もしかすると、単に「これ以上は赤字垂れ流しは耐えられない」という後ろ向きな理由によるものも混じっているかもしれませんが)。
証券・資産運用業界が大きな転換期にあるなか、様々な金融機関が現在の経営・事業環境を正確に把握し、それぞれの強みを最大活用し、持続可能な事業成長を期待できる戦略を企画・推進できるようリソース配賦を行なうことが求められます。その結果、我が国の金融業界全体として最適化が進み、お客様や社会全体の効用が高まることを期待しています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2022年4月21日
【地銀特化ファンド、北国FHDの中計策定支援 株主目線で】
大原のコメント→
地域銀行は斜陽業態であるという見方もありますが、プロダクトやサービスのコモディティ化が進むなか、地元に根差した関係性を基礎に金融サービスを提供する主体としての可能性は非常に大きいと考えています。
一方、地方ではなかなか保持しにくい経営リソース、例えば特定領域の高度金融専門人材等が存在するのも事実であり、自前主義にとらわれることなく、柔軟かつ戦略的に外部のパートナーと連携することが今後の地域銀行経営には求められます。
本記事で紹介されている地銀特化ファンドであるありあけキャピタルは、そのような考えに基づき、地域銀行の可能性に賭けている投資ファンドですが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6927823?ref=user_121187

2022年4月21日
【鹿児島銀、勘定系クラウドを検証 テスト用システム移行】
大原のコメント→
昨年の北國銀行の勘定系システムのクラウド移行に続き、地域銀行業界でもクラウド移行の動きが少しずつ進みつつあり、全体としてのスピードは決して速くはないものの、前向きに評価したいと思います。
地域銀行とひとくくりに語られることが多いですが、困難ではあるものの、中長期的には重要であるこのような経営判断をしっかりと行なうことができる地域銀行は、サービス面でも、ビジネス面でも、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6971496?ref=user_121187

2022年4月22日
【丸三証券、ネットチャネル売却】
大原のコメント→
証券・資産運用ビジネスは過去20年ほどかけてオンライン販売チャネルへの大きな流れが一方向的に進みましたが、販売チャネル競争の雌雄が概ね決したことや機能のコモディティ化に伴う事業利潤の消失等を背景に、上位チャネル以外にとっては事業継続の正当化が困難になってきています。
一方、サービス・ビジネスモデルがプロダクトや機能を起点とする従来型証券・資産運用モデルから資産運用アドバイスモデルへ移行しつつあるなか、対面チャネルの重要性が再び高まっており、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6976555?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2022年4月22日
【60代ライフの「幸せ」に必要な資産額とは】
長澤のコメント→
60代の人へのアンケート結果によると、「資産水準」の満足度が退職後の「生活全般の満足度」に与える影響度が大きいとのことで、現役時代に資産形成を進めなければならない理由が、具体的なデータに基づき分かりやすく説明されていると思いました。
 また、満足する資産額については、保有資産額が2,000万円を超えてくると、満足でも不満足でもない「どちらでもない」と回答する人が多くなるとのことで、金融審議会市場WGで話題となった2,000万円が、人々のひとつの目安になっている可能性があるのではないかとのことです。「老後2000万円問題」における2,000万円という金額は、例えば支出のうち住居費は13,656円とされるなど、・・・(続きを読む)https://newspicks.com/news/6977706?ref=user_6551307

2022年4月22日
【金融庁、名ばかりESG投信抑止 顧客への説明要請へ】
長澤のコメント→
ESG関連の投資信託については、顧客は、リターンの獲得を目的としつつも、ファンド名から当然ESGに関する取組みに積極的な企業を組入銘柄としているとの印象を持ち、自らもESGへの貢献をしているという期待を抱くことも多いのではないかと思われます。
 こうした期待に沿うためにも、投資運用会社や販売会社において、銘柄選定基準や運用状況を顧客にわかりやすく説明していくための取組みは重要かと思います。ESGは世界共通の中長期的な課題であり、本来投資家の中長期的な投資対象として相応しいものだと思いますので、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6975253?ref=user_6551307

金融専門人材募集情報

日本資産運用基盤グループが採用をご支援している金融機関の人材募集情報です

1)大手外資系金融機関 - RM部門マネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2897/

2)大手外資系金融機関 - 新規ビジネス企画マネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2936/

3)大手日系金融機関 - 内部監査ー/~1,200万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3032/

4)大手日系金融機関 - ファンドマネージャー/想定~1,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/3024/

5)大手外資系金融機関 - ITセクションプロジェクトマネージャー/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2939/

6)大手生命保険会社 - 運用部門マネージャー/~1,400万円
https://www.jamplatform.com/hr/job/2569/

7)大手日系金融機関 - ファンドアナリスト/想定~1,500万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2956/

8)大手日系金融機関 - ストラクチャードファイナンス(営業)業務/想定~2,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2840/

9)金融機関経験者を求める大手事業法人 - 経理部長/想定~1,800万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2864/

10)大手外資系金融機関 - グローバルRMマネージャー/想定~3,000万円(賞与別途)
https://www.jamplatform.com/hr/job/2763/

ここに掲載している情報以外にも多くの人材採用ご支援をさせて頂いています
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インフォメーション

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