「JAMPの視線」No.214(2024年2月4日配信)
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション
年末年始に妻がインフルエンザでダウンし、帰省が出来なかったという話を年初のメールマガジンで書かせて頂きましたが、最近もまた子供たちと妻がインフルエンザや胃腸風邪に罹患し、我が家の体調不良スパイラルが止まりません。どうも小学校や幼稚園でもインフルエンザ等の感染症が流行っているらしく、少し元気になって通学・通園するとまたウィルスをもらってくるということのようです。2月に入ってから寒さもまた厳しくなっていますが、今月半ばには長男の誕生日のお祝いで恒例の雪国旅行を予定しているので、それまでには家族全員の体調が整っていることを祈念する今日この頃です。
さて、少し前になりますが、米国でビットコインを投資対象とするETFの上場が承認されたということがニュースになっていました。私は以前からビットコインをはじめとする暗号資産については懐疑的なところはあり、今もなお慎重な見方を変えてはいないのですが、今回の出来事は暗号資産の可能性を大きくする画期的な転換点になるのではないかということも一方で感じています。
暗号資産、従前は仮想通貨と呼ばれていたこの存在は、従来の金融機能に当てはめて考えてみると、主に「資金移転(決済や送金等)」と「資産運用」の機能を担うものとして期待されていたと思いますが、いずれの機能を果たすにも不十分かつ中途半端だったように感じています。つまり、一般に用いられている法定通貨とは異なって国家による強制通用力の裏付けを持たないことに加え、法定通貨ベースで考えるとその交換価格の変動が激しいため、法定通貨に基づく経済活動を裏付けとする物品・サービスの決済等に用いるには利便性が低い等の理由があり、期待されていたほどには「資金移転」機能を担うことができていないように認識しています。また、「資産運用」の対象として位置づけられるにしては、その本源的価値がやはり法定通貨に基づく経済活動を裏付けにしていないため、その価値は前述の「資金移転」機能を担う手段としての利便性や普及状況等に依存せざるを得ず、その根拠が薄弱な現状では、どうしても「資産運用」やその派生である「投資」の対象というよりも、「投機」の手段としてしか用いられないという限界に阻まれてしまっているように感じます。
この点、今回のビットコインを対象とするETFの承認により、暗号資産の世界と従来の金融サービスの世界がETFという接点を通じ、相互に行き来する流れがより太くなり、機関投資家等が保有する法定通貨ベースの資産の分散ポートフォリオの一部に暗号資産が組み込まれることによって、まず暗号資産という存在が「投機」の対象から「投資」や「資産運用」の対象となる流れが強まり、「資産運用」機能の担い手としての存在感が大きくなるように思われます。それは即ち、法定通貨ベースの資産の価値保存のために暗号資産が用いられるようになるということでもあり、その過程で現在の「投機」対象として法定通貨ベースの交換価格の大きな変動は徐々に落ち着いていく可能性も期待されるということになると、時間はかかるでしょうが、「資金移転」の機能も担う場面も広がっていくように思われます。
このようなシナリオはあくまで暗号資産の専門家ではない私の個人的な見方に過ぎませんが、以前から暗号資産が私たちの経済活動において「資金移転」機能の担い手として存在感を高めるというイメージ感が持てなかったところ、「資産運用」機能の担い手から「資金移転」機能の担い手という過程を取ることで、その可能性を高めるということであると、何となくイメージできるなあと漠然と感じていましたので、今回のETF承認はその前半工程の進捗を促進するものではないかという認識を持ったものです。
いずれにせよ、暗号資産が従来の金融サービスの世界での存在感を高めていく流れは不可逆と思われますで、食わず嫌いの姿勢は正して、これまで以上にしっかりと研究してまいりたいと思います。
2024年2月1日
【新NISA1カ月、オルカン3400億円流入 海外熱は為替材料】
大原のコメント→
昨年末に発表された「資産運用立国実現プラン」では、「我が国の家計金融資産 2,115 兆円(2023年6月末時点)の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、更なる投資や消費につなげ、家計の勤労所得に加え金融資産所得も増やしていく資金の流れを創出し、『成長と分配の好循環』を実現していくことが重要」と述べられており、一連の諸施策を通じて日本国内におけるインベストメントチェーンの活性化の実現を目指すというゴールが掲げられています。
同プランでは、スチュワードシップ活動の実質化等を通じ、投資対象としての日本企業株式の魅力も高め、動き出す家計金融資産の資金が日本株式に向かうような流れを創出することを目指しているように見受けられますが、・・・(続きを読む)
2024年1月31日
【金融庁が警戒、地域銀の「仕組み貸出」増 利回り魅力も高リスク】
長澤のコメント→
一昨年は、地域銀行/証券子会社が販売していた仕組み債が問題視され、多くの金融機関で販売停止が相次ぎましたが、今回は地域銀行自身がリスクをとって、仕組み貸出を増やしているとのことです。
こうした取引自体は以前からあり、仕組み債に投資するのと類似の経済的効果ですが、記事にあるような時価評価が不要である点や中小企業向け貸出の実績になるといったことに加え、国債担保のため発行体(貸出先)の信用リスクがないというのが魅力かと思われます。内包するオプションがステップアップコーラブルなどであれば、顧客に販売していた株価連動型のような仕組み債と違い、・・・(続きを読む)
2024年1月31日
【野村、株高でも届かぬ最高益 リテール改革の行方は】
長澤のコメント→
日本株売買手数料無料化をはじめ、投資信託もインデックスファンドを中心としたノーロード投信の増加等などにより販売手数料率は低下傾向にありますが、様々な情報が容易に入手できる環境においては、金融商品販売自体の付加価値の低下は避けて通れない道かと思います。
以前であれば投信が儲からなければ仕組み債へなど他の商品に流れていたものが、それも外貨建て保険とともに売りづらくなっており、販売手数料重視のビジネスモデルによる成長は見込めないというのはまさにその通りかと思います。こうした中、顧客が急増しているネット証券でさえ対面営業にも注力する動きが見られ、銀行や証券会社などの販売会社としては、・・・(続きを読む)
2024年1月25日
【金融アドバイス 顧客本位で - 日本経済新聞】
長澤のコメント→
金融庁が令和3年6月に公表した顧客意識調査結果において、「資産運用に関する知識がないから」、「購入・保有することに不安を感じるから」などの理由で資産運用を行っていない人に、「もし、あなたの立場に立ってアドバイスしてくれたり、手続きをサポートしてくれる人がいたら、リスク性金融商品を購入したいと思いますか」と聞いた質問がありました。
回答結果は、全体では25%が購入したいと答えたのに対して、20代では49%が、30代では39%が購入したいと答えており、資産形成層にアドバイスニーズが高いことが伺えます。これらの年代層は一般には投資資金が大きいとは言えず、・・・(続きを読む)
■代表の大原がUCDA主催のセミナーに登壇します
代表の大原が一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会(UCDA)主催のセミナー『資産運用立国における「わかりやすい情報提供」とは』に登壇します。
■メディア掲載:ニッキンONLINEでの弊社ソリューションの紹介
弊社が提供するGBAラップ支援ソリューションの新NISA対応について「ニッキンONLINE」で取り上げて頂きました。
「証券ジャパン、ラップを新NISA対応 24年に地域金融機関で採用」
個別のご質問・ご相談会を無料で定期的に開いています。お気軽にお申し込みください。
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