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「JAMPの視線」No.192(2023年9月3日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③お知らせ・ニュースリリース
④メディア掲載情報
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2023年9月3日

 小学校3年生の長男が今年春から始めた少年野球チームのコーチ見習いとして毎週末の練習の手伝いをさせて頂くようになったのですが、これまで野球をやったことないため、自分でもビックリするくらいに下手っぴで笑っちゃいます。ただ、慣れないなかで身体を動かしていると仕事のことを考える余裕もないので、週末のリフレッシュとしてもとてもいいなあと感じます。長男とキャッチボールをしたり、バッティングセンターに一緒に行ったりするのも純粋に楽しいですし。
 さて、今日は久しぶりにゴールベースアプローチ(GBA)の話をさせて頂きたいと思います。金融庁の資産運用業高度化プログレスレポート(4月)及び顧客本位の業務運営の原則モニタリングレポート(6月)の公表等を受け、地域銀行や信用金庫からGBA型ラップサービスの導入についてのご相談が足もと増えており、一般生活者の安心・安全な人生設計を支えるためのGBAの考え方をお話させて頂く機会が多くなっているのですが、お話する相手方のご担当の年齢によって反応が違うことに改めて気づきます。20代から40代のご担当者の皆さまは頭ではGBAの考え方の重要性を理解しつつも、お金を払うサービスとして利用する必要性まではピンと来ない傾向があるのに対し、50代以降のシニアなご担当者の皆さまはGBA型ラップサービスの必要性をリアルな実感としてご賛同頂けることが多いように感じます。
 これは将来の支出の備えを行なうというGBAの考え方において、備えの原資として今後も長期的かつ継続的に受け取ることが期待される毎月の給与収入がある20‐40代と、その期待が限定的な50代以上とは、事情が異なるということに起因すると考えます。つまり、20‐40代の世代の生活者は、計画的に将来の支出に備える重要性は頭では理解しつつも、なんだかんだいって今後の給与収入でリカバリーできる可能性もあるため、厳密に計画を立てて、その通りに実行しなければマズいことになるという切迫感を伴った必要性があまり感じられないという面があるのだと思います。
 一方、50代以上の世代の生活者は、多くの日本人が足もとそうであるように、60代のどこかで働くのをストップし、継続的な給与収入が無くなることが前提となるため、そこからの老後の人生はその時点までに蓄積した金融資産と年金受給だけで90歳や100歳まで暮らしていかなければなりません。この場合、現時点での金融資産をどのように運用しつつ、取崩して生活費に充当するのか等のシミュレーションを厳密に行なったうえで計画を立て、その計画が想定通りに進捗しているかどうかを丁寧に管理しなければ、下手をすると80歳近くになってから金融資産を全て取崩し終わってしまい、そこから大きく生活レベルを下げたり、改めて働きに出なければいけない等の事態になりかねません。そうなると、とても安心・安全な人生設計とはほど遠い状況に陥ってしまいます。
 GBAの考え方自体は全ての世代に共通する資産運用の基本だとは思いますが、GBA型資産運用アドバイスサービスが定着していないというか、まだ普及の端緒についたばかりの日本において、まずご利用頂く対象としては、資産運用アドバイスニーズが最も強くなる50代以上のシニアの老後の安心・安全の生活サポートという切り口で取り組みをスタートするのが、生活者のお客様にとっても、金融機関にとっても、成功体験を積むという意味では重要なのではないかと考える今日この頃です。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2023年8月27日
【「地銀離れ」待遇改善で防げ 1都3県、若手行員ら定着へ】
大原のコメント→
 地域銀行は地方の過疎等の悪影響をもろに受ける構造不況業種と見なされ、若者の就職先としては忌避されたり、若手行員の離職が増えたり等の問題も耳にしますが、一方で地域経済・金融の要として、当該地域経済の活性化において果たす役割は大きいことは間違いなく、・・・(続きを読む)

2023年8月29日
【金融庁、資産運用で新規参入促す 投信の二重計算見直し】
大原のコメント→
 資産運用業界で働くひとりとして「資産運用立国」の実現に向けて政府がコミットメントを示すというのは前向きに感じるところではありますが、「資産運用立国」というのが具体的にどのようなビジョンを指すのかはもう少し掘り下げ、業界全体として認識を共有したいと感じます。
 一般生活者の預貯金を資産運用に振り向けることで、その資産所得を増大させ、豊かな生活を実現させたりすることや、そこで生まれるリスクマネーが国内企業に流れることで起業成長につながったりするというのももちろん重要だと思います。
 ただ、「資産運用立国」の表現に資産運用業を産業として育成するというビジョンが含まれるのであれば、世界中から資産運用関連金融機関を集めたり、新興資産運用会社の立上げを活性化したりすることで、・・・(続きを読む)

2023年8月30日
【スタートアップCEOの給料はいくらにすべき? 起業家とお金の話】
大原のコメント→
 こちらは地味&ニッチですが、スタートアップ企業にとって非常に重要な問題だと感じます。
 私自身も自分で創業したスタートアップ企業の創業者兼経営者ですが、事業が進捗するにつれ、自分への給与の支払い水準をどのように上げていくのか、誰かに相談したりするものではないので、悩ましく感じています。
 黒字化を実現するまではとにかく給与水準は低くするという考えは簡単ではありますが、一方でプライベートでのライフステージ的に出費が嵩む問題があったり、・・・(続きを読む)

2023年8月30日
【SBI証券と楽天証券、日本株の売買手数料ゼロに 9月から】
大原のコメント→
 日本の証券業界はついに後戻りが出来ないルビコン川を渡りますね。しかも株式等売買委託に代わる新たな付加価値と収益源泉を業界として明確に確立できていない状況にも関わらず、この川を渡るということは業界全体の事業継続性をも脅かすことにもなりかねないと懸念します。後追いにはなりますが、資産運用アドバイス付加価値の提供による新たな事業モデルの構築が早期に進み、・・・(続きを読む)

2023年9月1日
【乱立する投信にメス、野村や大和系が大幅削減へ-動き出した運用会社】
大原のコメント→
 不芳投信商品を削減し、事業効率を高めるのは良い動きだと思いますが、そこでは単に数を減らすという判断のみならず、残すと判断した投信商品の残高をいかに成長させるのかというプロモーション戦略も重要だと考えます。
 投信商品の販売は新規設定から間もない時が最も好調で、その後の残高の成長はあまり見込めないというこれまでの日本の投信販売慣行を覆し、お客様にとって良いと判断した投信商品については設定から時間が経っていても改めてその魅力を伝える等、残高を増加する取り組みを通じ、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2023年8月30日
【資産運用拡大へ参入促す 金融庁が行政方針】
長澤のコメント→
 今回公表された金融行政方針では、業務改善命令も出た仕組債に関しては、外貨建て一時払い保険と共に、販売実績や苦情に照らして留意すべき高リスクの金融商品として、販売・管理態勢を重点的にモニタリングするとしています。併せてリテールビジネスへの経営陣の関与状況や持続可能なビジネスモデルの構築状況などについても重点的にみるとしており、将来を見据えた中長期的なビジネス戦略を考えた場合、仕組債や外貨建て一時払い保険といった商品は、・・・(続きを読む)

2023年8月30日
【北國FHD 杖村社長インタビュー 改革により目覚めた顧客中心主義の地域金融機関質の高い助言で個人の資産形成をトータルに支援】
長澤のコメント→
 個人顧客の資産運用に対する助言会社を立ち上げるなど、特色ある顧客本位の取組みを行っている北國FHDの杖村社長のインタビューですが、参考になることが多く書かれていました。
 昨日公表された金融行政方針にも、地域金融機関がその役割を果たしていくためには、経営基盤の強化と持続可能なビジネスモデルの確立が重要とありましたが、こうした改革を進めるにもまずは資金が必要になります。そのためコスト削減を進めて営業改革を進めるための下地を整えたうえで、営業スタイルの変革とそれに整合的なノルマ廃止(業績評価)とキャリアプラン(人事制度)の整備を進めたとあります。ただその過程で、さまざまな戸惑いの声が寄せられたとのことですが、・・・(続きを読む)

お知らせ・ニュースリリース

■地銀有価証券運用に関するWebミニセミナーの開催について

9月13日(水)16時から主に地域銀行の経営、企画部門、有価証券運用事業ご担当者様向けにWebミニセミナーを開催させて頂きます。
「有価証券運用セミナー~地域金融機関が抱える課題と今後の展望~」

メディア掲載情報

■メディア寄稿:ニッキンONLINEでのコラム連載
「ニッキンONLINE」で弊社金融機関コンサルティング部長の直井の連載、最終回が公開されました。

「再考・預かり資産ビジネス 第3回 ゴールベースアプローチと今後の展望」

インフォメーション

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