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「JAMPの視線」No.254(2024年11月10日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年11月10日

 我が家では寝室にダブルベッドとシングルベッドを並べ、そこで夫婦と小学校4年生の長男、幼稚園年中の次男の4人が川の字になって寝ています。これまでは寝室の入り口から見て長男→妻→次男→私の順番で寝ていたのですが、最近はとある事情で場所を変更し、次男→妻→長男→私の順番で寝るようにしたところ、長男の寝相が半端なく悪く、上に乗っかられて夜中に目を覚ますこともしばしばです・・・。もう数年もしたらこんな風に一緒に寝てくれることもなくなるでしょうから、今のうちに寝相の悪さも含めて楽しみたいとは思います。

 さて、ここのところ金融業界ではこれまでの常識では信じられない不祥事が相次いで発生しています。金融庁や東京証券取引所といった市場運営を担う機関でインサイダー取引疑惑の報道に驚いた矢先、直近では野村證券の元社員が同社顧客の高齢夫婦に対する強盗殺人未遂等の容疑で逮捕されたというニュースが報じられています。お客様や市場参加者等との間の信頼関係を大前提とする金融サービスの世界において、金融機関や市場への信頼を損なう不祥事が許されないことは当然ですが、直近の様々な不祥事は想定の範疇を超えており、衝撃のあまりどのように受け止めて良いかがわかりません。

 特に野村證券の元社員による事件については、私のところにも経済系メディアの記者の方々から、「今回の事件が金融業界や対面証券事業モデルに及ぼす影響はどのようなものか」というご質問を頂くことが増えていますが、金融業界や対面証券会社への信頼を損なうことは間違いありませんが、あまりにも特殊な事案であり、具体的な影響については見通しがつきにくいのが実際のところです。

 野村證券という個社の社員管理や行動管理等のあり方を問題視する見方も一部にはあるようですが、事案の深刻度を鑑みない甘い考えだとのご非難もあるであろうことは承知しつつも、個々の金融機関が責任をもって管理し得る/すべき範疇のものなのだろうかというのが正直なところ私が感じているところです。確かに、野村證券という金融機関と取引があるお客様に対し、恐らくは同社が保有する顧客情報等が利用されての事件だと思われ、そこに対して会社としての責任が何もないわけはなく、再発防止策等を策定・実行する必要はあるでしょう。ただ、一部に報じられているような顧客訪問時のルールの強化等を行なったところで、そもそも倫理観が根っこで破綻している社員がひとりでも混じっていた場合、そのようなルール強化等を通じた再発防止策がどこまで効果があるのかは疑問です。

 誤解して頂きたくないのは、社会人としての倫理観が欠如している人間が社員に混じっていたらどのみちそんな施策は意味がなく、野村證券をはじめとする個々の金融機関が行うべき社員教育や行動管理等をおろそかにして良いといったことを言いたいわけでは決してないということです。ただ、最近増加する若者による「闇バイト」と称した強盗事件などを見ても、社会全体で倫理観が揺らぎ始めていると感じるなか、金融業界としてどのようにお客様に安心してサービスをご利用頂ける存在であり続けるのかということについては、個々の金融機関がそれぞれ施策を講じるのではなく、業界全体の大きな問題として、より広く、長い視野で、強い問題意識をもって全体で取り組むべきなのではないかということを考えています。

 足もとの様々な不祥事の衝撃度が大きく、私としても考えがまとまっていないところも多く、雑然とした文章になって申し訳ありません。ただ、いずれにせよ金融機関や金融市場はお客様の信頼感があって成り立つものであることは間違いなく、今後も継続してサービスをご利用頂けるよう努めていかなければならないことは間違いありません。私も金融業界に身を置くひとりのプロフェッショナルとして、金融業界のあるべき方向性とそのためのアクションについて深く考え、尽力していく所存です。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【地方銀行の配当総額、過去最高 株主獲得へ「還元合戦」】
大原のコメント→
 地域銀行も株主利益を意識した還元・配当戦略を練り直しつつあるというのはポジティブな動きだと思いますが、記事内でも指摘がされている通り、稼いだ利益を将来の事業開発・成長に向けてどのように仕込むのかという投資戦略があってこその還元・配当戦略であるべきかと思います。
 地方での人口減少・高齢化、相続による都市部への資金移転、金利復活等、地域銀行にとって事業環境の変化が大きいなか、地域に根差した金融機関、ひいてはインフラ企業としてどのような事業を通じ、どのような付加価値を地域に提供しようとしているのかの大きな事業方針の再構築が求められていると考えます。

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【大手証券5社の4~9月期、個人営業堅調で4社増益 ストック収入寄与】
長澤のコメント→
 個人向け証券営業は、日本株売買手数料無料化をはじめ、投資信託もインデックスファンドを中心としたノーロード投信の増加などにより収益率は低下傾向にある中、以前であれば投信が儲からなければ仕組み債へなど他の商品に流れていたものが、それも外貨建て保険とともに売りづらくなっており、販売手数料(フロー)重視のビジネスモデルからの脱却は喫緊の課題かと思われます。
 こうした中、ストック収入の増強を図るべく、ファンドラップに注力する金融機関が増えていますが、これも商品売りになってしまっているところも多いと聞きます。そもそもファンドラップそれ自体が欲しいという顧客はおらず、あくまで目的達成のためのツールであり、持続性のあるビジネスとすることができるかは、顧客の人生の様々な目的(ゴール)の実現に向けた資産運用プランを提案し、ゴールに向けて継続的にサポートしていくような資産運用アドバイスを付加価値として提供できるかにかかってくると思われます。

メディア掲載情報

■コラム公開:コンプライアンスチームの連載noteの公開
新興・海外資産運用会社の立上げ等の支援を提供している弊社コンプライアンスチームがnoteに第49回目の記事を公開しました。

「『金融法及び投信法の一部を改正する法律』政令案・内閣府令案について (シリーズ1)」

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