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「JAMPの視線」No.244(2024年9月1日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2024年9月1日

 平日は毎朝出社前に1時間ほど最寄り駅近くにある24時間営業のAnytime Fitnessというジムで走ったり、筋トレをしたりするのが日課なのですが、その最寄りジムが先週から今月末まで1か月ほど内装工事のために利用不可になってしまいました。そのため、隣町にある少し遠め別のAnytime Fitnessに通い始めたのですが、同じAnytime Fitnessといっても置いてあるマシーンが全然違ったりでとても新鮮な気持ちです。日によって通勤経路を変えると気分転換になるとか聞きますが、そんな感じでたまには意識的に別のジムに行くのもアリだなと感じる今日この頃です。
 さて、ゴールベース型ファンドラップサービスの推進をしていると、日本は米国に比べてファンドラップサービスの市場が大きくなく、そもそも国民性や資産規模別人口動態、規制等、何らかの理由でファンドラップサービスに対する需要が小さく、その何らかの理由が解消されない限りは米国と同様にゴールベース型ファンドラップサービスが大きく成長するということは難しいのではないかというご質問を頂くことがあります。
 このようなご質問に対しては、現在これまでのところ日本でまだファンドラップサービスが米国に比べて小さい市場規模にあるのは、お客様のニーズ等の需要サイドに問題があるわけではなく、サービスを提供する金融機関等の共有サイドに要因があるということをお話させて頂いています。主にサービスの種類と提供チャネルの要因が大きいと考えています。
 まず、サービスの種類についてですが、日本でこれまで提供されてきたファンドラップサービスはゴールベース型ではなく、顧客のリスク許容度等に応じて設定した一定のリスク水準で最適なポートフォリオを提供することに主眼を置く非ゴールベース型ファンドラップサービスです。これは私もNRIアメリカの吉永氏(金融・IT研究部門長)に教わった受け売りなのですが、米国でも1970年代にファンドラップが登場したあとしばらくはそこまで成長しなかったところ、2000年代にはいってゴールベースアプローチの概念がファンドラップサービスに取り入れられてから大きく成長したということです。即ち、長期の資産運用におけるゴールベースアプローチの概念が普及するにつれ、お客様の資産運用計画を継続的にサポートするというゴールベースアプローチの実行手段としてファンドラップ(投資一任)という手段が非常に親和性が高いことから、ファンドラップサービスが大きく成長したのです。
 この点、日本においても、足もとインフレ懸念の高まりや老後の生活資金確保への問題意識の高まり、そして顧客の最善の利益義務(Best Interest Policy)の法制化等を背景に、ゴールベースアプローチの考え方が普及する環境が整ってきました。従って、今後はゴールベースアプローチの考え方の普及とともに、日本でもファンドラップ市場は更に大きく成長することが期待されます。
 また、提供チャネルについても同様に過去これまでとは異なる変化が見られます。これまで日本でのファンドラップサービスは、主に大手証券会社が自社の営業チャネルを通じ、比較的保有資産が大きな富裕層をターゲットに提供されてきました。一方、米国では、プラットフォーム金融機関とRIA等のアドバイザーが「販・販分離」構造のもと、役割分担をしながら幅広いお客様にファンドラップが提供されるという状況にあります。つまり、日本では、販売バリューチェーンの硬直性ゆえ、多様なチャネルを通じ、ファンドラップが幅広いお客様層に提供されるという状況にはなかったのです。
 この点、過去数年で大きく進む「販・販分離」の流れのなか、ようやく日本でもプラットフォーム金融機関が地域銀行や信用金庫等の外部チャネルを通じ、それら地域金融機関のお客様にもファンドラップサービスを提供する動きが広がってきています。ただ、上述の通り、現時点では提供されるファンドラップサービスの種類が非ゴールベース型であるため、地域金融機関のチャネルやそのお客様への親和性は低く、まだそれら外部チャネルとの連携が本格的に稼働しているとは言い難い状況にあります。
 弊社・日本資産運用基盤がご支援させて頂いている証券会社や資産運用会社等のプラットフォーム金融機関の取り組みにより、足もとこのような状況に変化が生じつつあり、「販・販分離」構造のもと、地域銀行等の外部アドバイザー機関チャネルでゴールベース型ラップサービスが提供される動きが広がっています。日本のファンドラップ(投資一任)サービスの市場はまさにこれから大きく拡大フェーズに入ることを確信しています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

【地銀・信金、預金の首都圏集中を回避 相続マネーつなぎとめ あいちFG、信託に参入】
大原のコメント→
 記事内にある通り「金利のある世界」で銀行にとっての収益の源泉となる預金の位置づけの重要性が増していることも事実ですが、何よりも地域銀行が強みとしてきた地元での顧客とのつながりが相続によって断絶してしまうことへの危機感が強いのだと考えます。
 個人・法人取引に関わらず地元でのリアルな接点を有する地域銀行の優位性は大きいにも関わらず、その優位性を発揮できないままに取引関係が断絶してしまうことがあってはならず、信託機能の具備等に加え、・・・(続きを読む)

【金融庁、「アクティブETF」追加へ NISAのつみたて枠に 25年度税制改正要望で】
大原のコメント→
 昨年秋からスタートしたアクティブETF市場の活性化を目的に東京証券取引所が上場基準の緩和を足もと検討していることもあり、新NISAのつみたて投資枠での投資が認められるようになると、アクティブETFの上場数や残高の増加等が予想されます。
 従来の投信ビジネスの販売バリューチェーンの再構築が進むなか、証券会社等の販売会社での商品採用プロセスを伴わないETFは存在感を大きくすると考えており、・・・(続きを読む)

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

【日生が外貨建て保険の手数料改定へ、金融庁が問題視-業界に波及も】
長澤のコメント→
 販売手数料体系については、8年程前に金融庁から促される形で顧客への開示が始まり、それに合わせるように、販売時に一括で支払うI字型から現在のようなL字型に変わっていったという経緯にあります。L字型への変更に際しては、フォローアップを考慮して、ということだったかと思いますが、今回また指摘を受けて見直すということは、初年度手数料率と次年度以降の配分に関して十分な検討をしていなかったのではないかと思われます。
 また、目標設定値に関しては、本来外貨建て一時払い保険は長期の資産運用商品ですので、顧客のライフプランを踏まえた将来のゴールに見合った設定がなされるべきところ、・・・(続きを読む)

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