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「JAMPの視線」No.84(2021年8月8日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年8月8日

証券・資産運用領域の米国FinTech企業の代表例として一世を風靡するスマホ専業証券会社ロビンフッドが先月7月29日についにナスダックに上場しました。過去20年強かけて情報通信技術の発達がリテール金融業界に影響を及ぼすなか、オンライン証券会社の登場はその時点で既に従来型証券ブローカレッジ事業モデルの終焉を運命づけていたと私は考えていますが、ロビンフッドのような手数料無料化を謳うスマホ専業証券の登場やそれに伴って従来型証券会社にも広がる証券売買委託手数料無料化の動きは、リテール金融業界の転換期を明示的に表現しているものと感じます。
ロビンフッドのような新興FinTech企業がこの転換期に存在感を高めているのは、従来型事業モデルやそれを前提とするシステム、顧客UI/UX、主要想定デバイス等でレガシーにとらわれず、若年層のスマホ接点や手数料無料化等を前提に事業モデルを最適化する柔軟性やスピード感等の優位性であると思われ、その動きは米国のみならず、フリートレード(英国)やトレードリパブリック(ドイツ)のようなFinTech企業が欧州でも大きく成長しているといいます。
一方、日本においても、従来型証券ブローカレッジ事業モデルが転換期を迎え、証券売買委託手数料の無料化は進んでおり、スマホ専業証券を事業とする新興FinTech会社も少ないながら存在するものの、この市場転換の動きをけん引するのは新興FinTech企業というよりも、FinTech第1世代という表現でも呼ばれるような大手オンライン証券会社が中心であるように思います。この理由としては、新興のスマホ専業証券といえども裏側の証券機関システムは従来のものを使用しており、サービスモデルの柔軟化・差別化に限界がある等もあるかとは思いますが、やはり日本においては、注文回送によるリベート収受等の代替収入源が限られている等、事業モデルの拡張に限界があることに加え、有料課金に誘導するフリーミアムモデルを利用することが期待される投資家層が限定的であるなど、利潤を伴う形での投資家(利用者)の拡大が現実的には厳しいということが大きいように思います。
結果として、最近ではEmbedded Financeという切り口で若年層の顧客基盤を有する非金融事業者が金融機関(Enabler/License Holder)と連携して証券サービス提供に参入するケースも散見されますが、結局は単体で採算や事業成長が見込めるほどの収益化にまで至っていないことが殆どであるように見受けられ、日本ではこの従来型証券ブローカレッジ事業領域にわずかに残る利潤の残渣で新興FinTech企業や非金融事業者が活動を広げるというのは現実的に厳しいように最近改めて感じています。従って、フリートレード等の欧州の新興FinTech企業が日本進出に関心を高めているという一部報道もありますが、日本の現状を見るにつけ、その試みは非常に厳しいのではないかという印象を持っています。
もちろん、従来型証券ブローカレッジ・アセットマネジメント事業領域で利潤の残渣をかき集めるという事業モデルを否定するものではありませんが、私個人としては、最後に残るフロンティアである資産運用アドバイス事業領域で利潤の拡大・獲得を狙う方が、スケール感や勝算という意味で可能性が大きいように考えています。

News Picks ダイジェスト(代表取締役 大原啓一)

2021年8月2日
【オープンハウス 金融事業に参入へ】
大原のコメント→
オープンハウスという足もと存在感を高めている住宅・不動産事業会社が金融サービス業に参入するという事実もさることながら、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)やヤマダ電機に続き、住信SBIネット銀行のBaaS(Banking as a Service)を活用したサービス提供という参入形態が広がっていることを興味深く感じました。
この裏側を担うBaaS機能提供を狙う金融機関としては、ふくおかFGのみんなの銀行の事業開始が注目を集めていますが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6066289?ref=user_121187

2021年8月3日
【メルカリ利用実績で金利などが決まる少額ローン「メルペイスマートマネー」発表】
大原のコメント→
購買プラットフォームであるメルカリが金融サービスを手掛ける場合、親和性のある金融機能としては「資金移転(決済)」「資金供与(融資)」であり、これまでメルペイで提供してきた決済サービスや後払いサービスの発展形として、世界観に親和性のある金融サービスを着実に備えてきたという印象です。
この先の展開として、アリペイと同じく「資産運用」「リスク移転(保険)」機能サービスの具備を期待する見方も多くあるようですが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6051044?ref=user_121187

News Picks ダイジェスト(主任研究員 長澤敏夫)

2021年8月3日
【コロナによって「ゆとり時間」が増えた人の4割が「資産形成について考える機会が増えた」】
長澤のコメント→
「コロナ禍でゆとり時間が増えた」人が全体の約2割で、その4割が「増えた時間で資産形成について考えた」ということで、2割と4割を掛け合わせた「全体の約1割」が、コロナ禍により資産形成意識が高まったと考えられるとのことです。
 別の調査結果になりますが、金融庁が6月に公表した「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」によると、投資経験者に対する質問「新型コロナウィルスの影響による相場変動(主に昨年2月から4月にかけての日経平均株価等の下落)を、どのように捉え、どのような行動を取りましたか」に対して、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/6068348?ref=user_6551307

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