「JAMPの視線」No.252(2024年10月27日配信)
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③メディア掲載情報
④インフォメーション
今日は妻が近所の仲良しのパパママ仲間たちとMr.Childrenのコンサートを鑑賞するために横浜まで出かけていたため、息子たちと3人で留守番をしていました。妻はMr.Childrenの大ファンなのですが、ちなみに私が大好きな大黒摩季さんはMr.Childrenとは1992年デビューの同期仲間です。妻と私の間では、お互いがコンサートに出かけるときは、留守番を引き受け合うというルールがあるのですが、実は再来月に京都で開催される大黒摩季さんのクリスマスディナーショーに参加するための家庭内稟議をどう申請するかが、最近の悩みのひとつです。
さて、今日10月27日は衆議院議員総選挙の投票日でした。今回は、自民党の石破新総裁のもとでの総選挙であることや、政治資金収支報告書に記載漏れがあった候補者への自民党公認見送りなどが注目され、例年以上に関心が高まっているように感じます。私も昨夜、選挙活動最終日に最寄り駅で行われた主要政党代表の最後の演説を見に行きましたが、予想以上に多くの聴衆が集まっていて驚きました。このメールマガジンが配信される22時頃にはまだ大勢が判明していないかもしれませんが、今回は各党の議席数が大きく変動する可能性が報じられており、結果が注目されています。
先月末の自民党総裁選で石破新総裁が誕生した時のメールマガジンでも申し上げましたが、資産運用業界でキャリアを積み、本業界の発展に貢献するために試行錯誤している身としては、岸田政権のもとで「資産運用立国」構想として推進されてきた政策や実現プランへの影響が気になるところです。我が国の家計金融資産を新興企業を含む国内企業の成長資金に活用し、その利益を社会全体や個々の家計へと還元する好循環の創出は、日本にとって重要な課題であり、方針が大きく変わらないだろうと楽観的に見る意見もあります。ただ一方で、私としては、何らかのネガティブな影響が避けられないのではないかという懸念も抱いています。
確かに、資産運用立国が掲げる大きな方向性については政権のあり方がどうなっても大きな異論が出るものではないとは思いますが、政府のコミットメントの強弱に変化が生じた場合、実行プランとしての政策の詳細やそのスピード感等に影響が出てくることは避けられないと思います。例えば、岸田政権のもとで進められてきた資産運用立国構想とその実現プランの諸施策において、これまでは厚生労働省が所管省庁としてグリップをしてきた公的年金による新興資産運用会社への運用委託方針等まで踏み込んだアセットオーナープリンシプルの策定やiDeCoの拡充に関する要望について、所管外である金融庁が踏み込んで動いたというところに、私は政府の本気度を感じていましたが、こうした政府主導のコミットメントが今後も強いままなのだろうかというところに若干の不安を感じます。今回の選挙のタイミングでこれまで金融政策に主導的に携わられてきた国会議員の方が何名か引退をされることになったことも、この若干の不安を強めています。
この不安が現実のものとなるのか、杞憂で終わるのかは、今回の選挙の結果が明らかになり、政府のかじ取りが今後具体的になっていくのを待つしかありませんが、いずれにせよ我が国としていま進みつつある資産運用業界の変革の動きを遅くするという選択肢はあり得ません。仮に政府のコミットメントが弱まったとしても、民間側の私たちがその変革の動きを止めないようにしなければならない。変革への貢献を目指すプレイヤーのひとりとして、そのように改めて気を引き締めてまいりたいと思います。
【JPX、東証社員が調査受けていること事実-監視委の調査報道受け】
大原のコメント→
数日前の、金融庁に出向中の裁判官によるインサイダー疑惑のニュースに際しても同様のコメントをしましたが、金融・資産運用業界の基盤を支える立場の人間がこのような犯罪に関わったことは、本当に残念に感じます。
「資産運用立国」の実現に向けて、投資運用技術や業界の高度化は確かに重要ですが、それ以上に、私たちが業界の発展を支えるという高い倫理観と責任感を持つことが根幹であるべきだと強く感じています。この高い視座に立った倫理観こそが、業界の信頼を支える基盤であることは言うまでもありません。
私自身も民間の一員として、この倫理観を持ち、業界の発展に貢献しているつもりです。それだけに、ここ最近の事案(もし事実であれば)は非常に残念でなりません。
【住友生命の熱中症保険 「振り込み」機能で即日払い】
大原のコメント→
スマートフォンを基点とした金融サービスにおいては、資金移転(決済・送金)や資金供与(融資)といった、利用タイミングが近いサービスは親和性が高い一方で、リスク移転(保険)や資産運用のように遠い将来のニーズに対応するサービスは親和性が低い傾向があります。
ただ、本記事で紹介されている「熱中症保険」のような比較的近い将来に発生し得る特定のイベントのリスクをヘッジすることを目的とするような保険商品の場合には、個人のお客様も専門家のサポート無しに資金需要の場面や金額を想定し易く、スマートフォン接点でも親和性が出てきます。
資産運用に係る金融サービスである「ポイント運用」も同様の文脈で整理が可能であり、こちらも遠い将来の資金需要を想定することなく、比較的短い時間軸でのベネフィットをイメージしやすい「投資」にフォーカスすることで親和性を生み出しているものだと整理できます。
【金融庁、顧客本位の実践状況調査 業界共通課題洗い出し】
長澤のコメント→
金融庁では9月下旬に金融行政方針(実績と作業計画)を公表しましたが、これに沿った形で、金融機関に対するモニタリングが開始されたということかと思います。この実績と作業計画で目を引いたのが、モニタリングの対象商品について、「外貨建て債券や外国株式を含む」とわざわざ付け加えた点で、特に外国株式について言及するのは初めてではないかと記憶しております。
また記事にある「リテールビジネスの損益状況」については、2年前の金融行政方針(コラム9)で、収益管理、特に人件費、物件費、システムコスト等が算出できない銀行が多いという指摘がありましたが、これに関連しリテールビジネスの持続性に焦点を当てるのではないかと思われます。
■メディア掲載:金融ジャーナルnote版
地域銀行等の有価証券運用事業支援を担当しているディレクターの白瀧が「月刊金融ジャーナル」に寄稿した論考が同誌のnoteに転載されました。
「金利のある世界×有価証券運用 」
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