「JAMPの視線」No.225(2024年4月21日配信)
目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
- 代表取締役 大原啓一
- 主任研究員 長澤敏夫
③インフォメーション
昨日夜に家族でお気に入りのレストランを訪れ、13回目の結婚記念日ディナーを楽しんでまいりました。実は結婚記念日当日(4月17日)は朝に会社に出かける際に「今日は帰り遅いの?」と聞かれるまで、結婚記念日のことは頭からすっかり抜け落ちてしまっててかなり焦りましたが、なんとかリカバリーできて?良かったです。2月・3月と連続してきた妻と子供たちの誕生日イベントがひと段落して、気が抜けていたのかもしれません。3週間後の母の日は忘れないようにスケジューラーに登録しておきます。
さて、先週金曜日に久しぶりに金融商品仲介業協会(旧・ファイナンシャル・アドバイザー協会)のイベントに参加させて頂きました。実は弊社・日本資産運用基盤グループは同協会が2019年頭に設立される際に少しお手伝いをさせて頂いており、そのご縁で現在も法人賛助会員として関係を持たせて頂いているのですが、私自身は自社のことばかりにかまけてここ最近はイベント等にも参加できないでいました。今回も仕事の関係で日中のセミナーには出席できず、夜の懇親会から参加させて頂いたのですが。懇親会に参加する50名以上もの業界関係者の熱気に圧倒されました。政府の資産運用立国構想やその一環としての新NISAへの移行等もあり、足もとも同協会の正会員として新しく加盟するIFA会社が増えているとのことも伺いましたが、業界の盛り上がりを改めて強く感じました。
私は、以前から各所で情報発信をさせて頂いている通り、日本のIFA会社の事業運営モデルは所属証券会社のリソースをうまく活用し、自らはお客様接点での付加価値提供に注力することができる非常に効率的なものであり、これからますますこの事業運営モデルは日本の証券・資産運用業界において広がっていくと予想しています。一方、日本のIFA業界はまだ会社の数もそこで就業するアドバイザー(営業員/証券外務員)の数もまだ大きくなく、今後もそこまで伸びないのではないかという悲観的な見方も一部にあることは事実です。
ただ、このような見方に対しては、私はIFA専業会社の数も今後はますます増加していくと予想していることに加え、IFA型の事業運営モデル、即ち金融商品仲介業モデルをIFA専業会社に限定しなければ、その広がりは足もと既にかなり加速しているように考えています。例えば、保険代理店です。大手保険代理店である「ほけんの窓口」は昨年11月に金融商品仲介業登録を完了し、楽天証券を所属会社として今年1月から全国の直営店で金融商品仲介業務を開始しましたが、この動きに追随する保険代理店は今後更に増加していくことは間違いありません。また、地域銀行等の地域金融機関も同様です。既に証券会社や運用会社等と連携し、金融商品仲介業という登録ではなくても、実態として金融商品仲介業スキームを用いて効率的に証券・資産運用事業の拡張を行っている地域金融機関は少なくありません。
このような広義の「金融商品仲介業者」の数が増えていくに伴い、その事業運営におけるコンプライアンス等の統一はこれから証券・資産運用業界全体として重要な課題になっていくことは間違いありません。現在は志を同じくするIFA専業会社の集まりである金融商品仲介業協会が要となり、このような課題に対応していくことが期待されます。弊社・日本資産運用基盤グループもその賛助会員のひとりとして、貢献してまいりたいという気持ちを新たにしています。
【現役世代のNISA口座開設、地銀で増加 福岡銀行2割増】
大原のコメント→
新NISAへの移行を前にした昨年2023年はどの地域銀行もグループを挙げて新NISA口座の獲得に注力していたこともあり、多くの地域銀行で口座数はしっかりと確保することができたということを耳にします。
一方、新NISAは従来NISAよりも制度上限金額が大きくなったとはいえ毎年の上限はつみたて投資枠と成長投資枠の合計で360万円であり、現役世代の多くは積立て形式で利用することに加え、オンライン証券会社との比較で手数料が低い投信商品が中心にならざるを得ないこと等から、実際の獲得残高や更には収益ということでは厳しい状況にあるようです。
投信窓販システムの利用手数料が口座数ベースの従量課金であるところも少なくないと聞いており、・・・(続きを読む)
【業界震える金融庁のレポート、発行見送り 今後も不透明 金融取材メモ】
大原のコメント→
「そもそも金融庁内から、舌鋒(ぜっぽう)鋭く業界を批判して改革を迫るプログレスレポートの手法に異論も出ていたという事情もある」ということは私も少し耳にしたことはありますが、そのような考えには私は違和感を感じます。現在の資産運用業界のあり方に問題提起をし、今後の方向性についての行政側の意見を示す資産運用業高度化プログレスレポートの意義は小さくないと感じます。
但し、金融庁という行政側当局の問題提起や提示する方向性を全て正しいと受け止めるのは不適切であり、ビジネスや実務を熟知する業界側として別の意見があるのであればそれを堂々と戦わせ、官民がともに業界を発展させるような起点となるというのが資産運用業高度化プログレスレポートのあるべき位置づけであると考えます。
一方、別視点で本記事をとらえると、政府が資産運用立国の旗印を掲げているにも関わらず、・・・(続きを読む)
【金融庁長官、運用者には成果に応じた報酬を-人材の海外流出に危機感】
大原のコメント→
運用担当者に競争力ある報酬を付与する業界にしなければならないというのはまさにその通りなのですが、そのためには資産運用業界が儲かる業界にならなければなりません。
今のように付加価値向上よりも信託報酬引き下げに懸命になり、それを無思考に尊ぶような風潮においては、・・・(続きを読む)
【みずほ銀行、業績目標をボトムアップ型に 顧客目線徹底】
長澤のコメント→
トップダウン型の業績評価体系の場合、銀行全体の収益目標額を商品・サービス毎、さらにそれを支店毎に振り分けることになりますが、翌年にはさらに上乗せの販売目標が示されるのが常です。営業現場では、その商品が相応しいと思われる顧客に売りつくしてしまっても、毎年販売目標が来るので、回転売買をするか、本来は売ってはいけないような投資初心者などに販売対象を拡げてしまうことが起きやすく、その一例が仕組み債かと思われます。
現在、金融商品の想定顧客層を明確化して適切な顧客への販売をと当局は求めていますが、記事にあるような業績評価体系の見直しを併せて行わないと、・・・(続きを読む)
【預金60兆円 大都市が吸引 相続で移動、大手銀争奪 試練の地域金融】
長澤のコメント→
昨年の死亡数は159万人で大相続時代とも言われていますが、それに伴い家計資産の世代間移転と同時に地域間移動が増えているとのことです。地域金融機関としても色々な対策を考えていることかと思われますが、相続人としては生前に親の取引金融機関と面識やコンタクトが全くない場合は義理もないので、解約して自分の取引金融機関に持っていってしまうのはある意味当然かと思われます。また、相続時に親の保有する金融商品を見て、高齢者になぜこんな商品を販売したのだという疑念を抱いた場合も取引の継続は難しいでしょう。
相続資金のつなぎ止めは難しい課題かと思いますが、親の存命中に、例えば金融商品販売時の家族同席の際のアドバイスや、・・・(続きを読む)
【金融教育 旅行商品に 山梨中銀、中学・高校向け】
長澤のコメント→
昨年、山梨中央銀行がインバウンド向けの観光事業に参入したとは聞いていましたが、中高生向けの金融教育と結び付けた旅行商品というのは銀行らしくて興味を持ちました。金融経済教育推進機構も設立され、金融教育への関心が高まっていますが、座学中心の授業ではなかなか身につきにくい知識も体験が伴うと記憶に残りやすいのではと思われます。
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