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「JAMPの視線」No.55(2021年1月17日配信)

次世代の、挑戦する金融へ
日本資産運用基盤グループ メールマガジン【JAMPの視線】

目次
①JAMP 大原啓一の視点
②NewsPicks ダイジェスト
③メディア掲載情報
④お知らせ・ニュースリリース
⑤インフォメーション

JAMP 大原啓一の視点 2021年1月17日

ロボアドバイザーサービス運営会社の代表的存在であるウェルスナビ社が昨年末に上場したこともあり、改めて証券・資産運用業界でロボアドバイザーサービスを事業として手掛けることについて議論が活発になっているように感じます。特に、従来型証券・資産運用サービスがコモディティ化し、事業展開の行き詰まりを感じるリテール金融機関の経営企画部署等からのご相談も多く、久しぶりではありますが改めてロボアドバイザーサービスを手掛ける事業的意味について検討してみたいと思います。
まず、最近よく申し上げることですが、「ロボ」か「ロボ」でないかということはもちろん重要ではあるものの、事業成長性を考える場合には本質的な決め手にはならないのかなという気がしています。これはウィズ・コロナの事業運営のあり方を論じる時に、非対面か非対面でないかということが本質的なサービス付加価値や事業ドライバーとはなり得ないということに似ているようにも感じます(その意味で、「ロボ」という表現はそこにこそあたかも価値があるような誤解を生じさせる原因であると感じており、個人的に好きではありません)。
即ち、情報通信技術が発達した現代において、金融サービスをお客様に提供するに当たっては、多かれ少なかれ何らかの「ロボ」技術や非対面ツールを使っているのは普通であり、その程度の違いこそあれ、情報通信技術の活用そのものがサービスの本質的付加価値のあり方に直結するものでは無いと考えています。もちろん、間接的には本質的付加価値に影響を及ぼすことは十分にあり得ると思いますが、それは提供付加価値のどこをどう見せるかということであったり、後述する本質的付加価値の変化を増大させることにより、あたかも情報通信技術が付加価値そのものを変容させたかのように見せているだけでは無いかというのが個人的意見です。
ロボアドバイザーサービスと一括りに言っても、投資運用付加価値の提供を重視する「ロボポートフォリオアドバイザー」と、お客様のライフプランの策定とそのゴールの達成のための伴走支援を重視する「ロボプランニングアドバイザー」の2種類が大きく存在しますが、日本においては前者の「ロボポートフォリオアドバイザー」が殆どであるというのが現状です。従って、多くの運営事業者がその「ロボ」のパフォーマンス実績をアピールしたりすることになります。
但し、投資運用付加価値の提供ということでは、いかに広告宣伝で「ノーベル賞を受賞した理論を活用」等のお化粧を施しても、それは単にマーケティング的な手法に過ぎず、同様の付加価値はバランス型投信でも提供できるものであり、提供付加価値が本質的に発展したということではありません。その意味で「ロボ」といっても、単に見せ方の問題、つまりは前述の通りマーケティング的な手法に過ぎず、サービス付加価値や事業展開という意味では、これもまた従来の証券・資産運用事業領域の枠内に留まっていると言えます。
サービス付加価値や事業モデルがこれまでの概念・領域を乗り越えた本質的な発展を目指すのであれば、資産運用アドバイス付加価値の提供やその事業化を目指すべきであり、それはロボアドバイザーサービスの表現においては「ロボプランニングアドバイザー」サービスの提供を意味すると考えています。この場合、資産運用アドバイス領域への展開に伴って提供付加価値は本質的に新たなものになっており、そのうえでその変化をより大きく、効率的にするために「ロボ」が存在意義を発揮するということになります。
「ロボ」技術の活用や非対面チャネルの選択に注力する考えは理解することができますが、現在よくある議論は表層的なものに留まっており、本質的な付加価値や事業モデルの転換にまで至っていないのは残念に感じます。今後のリテール金融の転換にあわせ、この状況が変わることを強く期待しています。

News Picks ダイジェスト(2021年1月11日~2021年1月17日)

2021年1月8日
【クラウドファンディング「購入型」が急成長】
大原コメント→
情報通信技術や金融技術の発達に加え、流通する投資信託の数が6,000本以上と状況に飽和状況にあるなか、従来型ブローカレッジ・アセットマネジメントサービスの付加価値のコモディティ化に歯止めがかかりません。
そのようななか、ここでしか購入(投資)できない付加価値を備えやすく、また、資金調達側も提供側も「想い」を込められ、個々の関係性に付加価値をのせやすいクラウドファンディングは、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5520567?ref=user_121187

2021年1月9日
【NTTドコモと三菱UFJ銀が提携へ…業界トップ同士、顧客データ活用】
大原コメント→
KDDIやソフトバンクに比べて踏み込みの弱さが目立つNTTドコモの金融事業への取組みについては、少し古いですが一昨年4月のダイヤモンドオンラインに論考を寄稿させて頂いています。
https://diamond.jp/articles/-/198308
「資産運用」機能の特徴や事業効率性等を考えると、証券・資産運用会社を自前で持たないNTTドコモの戦略は個人的に理解できる一方、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5523330?ref=user_121187

2021年1月11日
【広がる「上場は後回し」 成長優先、ユニコーン狙う】
大原コメント→
スタートアップ企業が中長期的な事業拡大のために戦略的な赤字先行を選択し、IPOも資金調達のひとつの手段に過ぎないと位置づけるのであれば、未上場であっても大型の資金調達が可能である現在の環境において、敢えて早期の黒字を求める圧力に晒されやすい公開市場への上場を選択するインセンティブは乏しいように思います。
一方、未上場企業への資金の出し手の多くがIPO後のExitによる利益確定が前提となるVCである現状、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5527329?ref=user_121187

2021年1月11日
【近すぎるロビンフッドとSEC 米株・BTCに青い火種】
大原コメント→
ロビンフッドのような金融スタートアップ企業は、その革新的なサービスや事業モデル開発のために現行規制の間隙を突くような発想を意図的に狙うことが少なくなく、それを精度高く行うために当局出身者を迎えることは経営判断として理解できます。
ただ、今回のように規制当局との間で審判が行われている場合にはその近い関係が疑念の対象になることは避けられず、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5527699?ref=user_121187

2021年1月11日
【「議決権助言」に強まる監視の目 米で規制、日本も議論】
大原コメント→
議決権行使助言会社の助言については、コロナ禍によって業績の落ち込みが懸念される企業に対して、その利益の株主還元策に対する評価をどのような基準で行なうのかということも興味深いです。
コロナ禍の影響を多大に受けている経営環境においては、銀行のみならずいずれの業種においても、株主還元施策は方向転換を余儀なくされざるを得ません。特に、ストック収入では無く、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5528427?ref=user_121187

2021年1月12日
【スタートアップ経営者の最重要な資質は「誠実さ」】
大原コメント→
本記事の趣旨とはずれますが、経営者の誠実さはスタートアップ企業の成長にとって重要であることは異論ありませんが、仮にそのスタートアップ企業が非常に困難な状況に陥ったときや、更には残念ながらそのスタートアップ企業が失敗し、当該経営者が再起を図る時にもより重要になると考えています。
私が最初に創業したスタートアップ企業がうまくいかず、実質的に解任という形でその企業から離れて途方に暮れていた時、手を差し伸べてくれ、新しい事業の立ち上げのための有形無形のサポートを下さった方々は、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5528670?ref=user_121187

2021年1月14日
【「FinTechが金融機能をどう変えるか」、5年前の答え合わせをしよう】
大原コメント→
金融ビジネスの展開をプレイヤーではなく金融機能の切り口で整理する機能別アプローチや担う金融機能の分業の流れで読み解くという考え方は全く同意です。
金融機能の分業(アンバンドリング)やサービス化というと非金融領域でのEmbedded Financeが専ら注目されていますが、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5524456?ref=user_121187

2021年1月14日
【FOLIO、金融機関向けエンタープライズSaaS事業「4RAP」を新たにローンチ】
大原コメント→
リテール金融業界の主戦場がブローカレッジ・アセットマネジメントからアドバイスへ移行しつつあるなか、金融商品プラットフォーマー及びアドバイザー機関が負担少なく、柔軟に投資一任事業を立ち上げ、運営できる事業基盤サービスに対する需要が強まりつつあります。
また、非金融領域に金融機能が組み込まれるEmbedded Financeの動きも注目される一方、今回のFOLIO社が主な提供先とする金融機関の保有機能の選択及び整理も進むと思われ、・・・(続きを読む)
https://newspicks.com/news/5536084?ref=user_121187

メディア掲載情報

■メディア掲載:「ニッキン投信情報」での寄稿掲載
代表の大原が「ニッキン投信情報」の新年号特集に「新時代の地域金融機関の資産運用サービス事業」と題するコラムを寄稿しました。
https://www.jamplatform.com/news/2021/01/13/1886/

お知らせ・ニュースリリース

■セミナー登壇:東京都「Tokyo 独立開業道場」セミナーへの登壇
弊社代表の大原が東京都主催の新興運用会社立上げセミナーに登壇します。
「Tokyo 独立開業道場『目指せ!独立系資産運用会社』」
https://www.kaigyo-dojo.com/

■セミナー登壇:「IFAとは何者か」出版記念セミナーへの登壇
弊社代表の大原が金融財政事情主催のIFA書籍出版記念セミナーに登壇します。
「IFAとは何者か-アドバイザーとプラットフォーマーのすべて」出版記念セミナー
https://www.kinzai.or.jp/seminar/detail/20210119

インフォメーション

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https://www.jamplatform.com/consultation/

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