第36弾「サウスエンド」
ハーイ!みんな元気?あたしけいご。
36曲目はこれ。サウスエンド。バンドサウンドに憧れて、ちょっと違うコードとか、ちょっと違う弾き方というか、そういうものを練習したくて作りました。しかしながら、なんということでしょう、あっけなく挫折をしました。果たして、あたし、立派なバンドマンになれるのでしょうか。それとも、孤独にまみれ、誰に見向きもされないまま、野垂れ死ぬのでしょうか。
「サウスエンド」
高らかにそびえる日も まどろみにおびえる日も
なめらかに澄み渡る日も 逸れはじめた遠い日も
最初から きっと 気づきはじめていたんだ
哀しみに あせぬほど 染めて いたいよ
なにもかも流れていく 君のいない空にも
もう一度手を伸ばせば 放り出せるのか? 昨日
あたたかな日の 向こうに
やわらかに凍える日も おだやかに塗れる日も
晴れやかに溺れる日も うつむいて離れた日も
最後まで ずっと からっぽのままいたんだ
目に映る あこがれに 沁みて いたいよ
なにもかも流れていく 君のいない空にも
もう二度と戻れないと 放り出せるのか? 希望
あたたかな手の 向こうに
いつまでも そっと 忍び込ませていたんだ
降りしきる 欲しいもの 連れて いたいよ
なにもかも流れていく 君のいない空にも
もう一度手を伸ばせば 放り出せるのか? 昨日
ありふれたこの世界も 誰もいない空にも
もう二度と戻らないと 放り投げるのか? 希望
あたたかな日の 向こうに
岡山と、大阪で、はじめてのライブ演奏を行いました。岡山のお客さんは四名。そう、四名。焚き火を囲みながら、二曲、演奏をしました。そこで、あたし、参加者のみなさまにこんなことを言いました。お願いがあります。今日という日を、是非、覚えていてください。あたしのすべては、いま、みなさまを前にはじまったということを。最初のお客様は、あなたたち、四名。あたしの一年後を見ていてください。やがて、武道館などに立つ日がきた時、あたしは、最初は四名からはじまったのだと、誇らしく語るでしょう。
今日は、バンドメンバーの保科さんについて語りたいと思います。長身でスタイルもよいイケメンの保科さんは、一見、なんでもしっかりしている好青年に見えます。が、わたしの周りにいる人間のなかで、一番やばい人間だって、あたしは勝手に思っています。数年前、我々、新潟県佐渡島で開催されたフルマラソンに「ベアフット(裸足)で参加する」という試みを行いました。参加者は、あたしと、保科さんと、徹さんという友達と、マラソン経験者のカルロスさんの、四人。この四人で、裸足で走ることに挑戦しました。
ヨーイドン。みんなで走り始めました。最初は軽快なもので、裸足で走るのも楽勝!などと、浮かれていました。が、やはり、小石などがしっかり足裏に食い込むもので、徐々に体力は奪われ、時間を追うごとに痛みも増幅をしていました。あたしは、のんびり走るタイプの人間なので、最後尾をゆっくり走っていました。ふと、前を見ると、血のあとがあります。あたしは「うわ!」って思いました。あいつらの血だ、と。俺の前を走る誰かの足裏から、血が、流れているのだと、そういうことを思って軽く戦慄をしました。
結局、あたしは12キロくらいの段階で(参加者の誰よりも早く)リタイアをしました。こういう自分が、あたしは、好きです。フルマラソンに裸足で参加した、と言いたかっただけなので、自分的には「ゴールをしている」と思ったのです。わたし以外の面々は、もちろん、走り続けています。あたしは、先に、ゴール地点まで移動をして、彼らがゴールをする瞬間を迎えてやろうかなと、ゴール地点にむかいました。その途中、20キロを超えたあたりでリタイアをした徹さんと出会いました。彼も、途中で、リタイアをしたのです。無理はありません。裸足で走ると、想像の5億倍程、痛いのです。
あたしと、徹さんは、一緒に保科さんとカルロスを待ちました。しかし、彼らがゴールテープを切ることはありませんでした。フルマラソンには「何時間以内に走り切らないと強制的に護送車に運ばれる」というルールがあり、彼らは、40キロを超えたあたりで『無念のタイムリミット』を迎えてしまったのです。ゴール地点に、護送車によって運ばれた、保科さんとカルロスがあらわれました。非常に、悔しそうな顔をしています。しかし、彼らが言葉を発することはありませんでした。ただ、悔しそうな顔をしていました。
のちほど、カルロスから話を聞きました。その内容に、あたしは、再び戦慄をすることになりました。カルロスはマラソン経験者なので、30キロあたりまで、保科さんの先を走っていました。しかし、やはり、足の痛みは相当なもので、30キロを超えたあたりで限界を感じはじめ、歩くよりも遅いスピードで、しかし、前に進み続けていました。すると、35キロくらいのあたりでしょうか、後方に保科さんの姿が見えてきました。マラソン未経験者、普段はまったく走ったりなどしていない保科さんも、走り続けていたことを確認したカルロスは、そこで、再び、走り続ける勇気を獲得しました。
保科さんが、カルロスのもとに追いつきます。そこで、保科さんは、カルロスに向かって、ある一言を言いました。あたしは、このエピソードを聞いたときに、保科さんのやばさを強烈に実感しました。事前になにも練習をしていない人間が、裸足で、フルマラソンを走るということは結構な心理的・肉体的な負担がかかるはずです。保科さんも、そのときはこころもからだもボロボロになっていたことでしょう。そんな保科さんが、カルロスに追いついた瞬間、一言「おまたせ」と言ったのです。「おまたせ」と言ったのです。
このような状態で、おまたせという言葉を発することができる保科さんを、あたしは強烈に「やばいな」と思いました。男の中の男だと、そういうことを思いました。しかし、合流できたよろこびもつかの間、タイムリミットによるお迎えの護送車が、二人のもとに到着します。係員が言います。タイムリミットです。車に乗ってください。ゴール地点までわたしたちが運びます。それを聞いた保科さんは、しかし、そのまま走り続けます。護送車に乗ることを拒否し、走り続けます。係員も(ちょっとばかり慌てて&呆れて)繰り返し告げます。車に乗ってください。制限時間を超えました。保科さんは、走り続けます。走り続けたあとには、保科さんの血痕が、まばらに残り続けます。そう、あの血痕は、ほしなさんの足裏によるものだったのです。
いよいよ慌てた係員は、保科さんの腕を引っ張ります。車に乗ってください!制限時間を過ぎています!しかし、保科さんは、走り続けます。走らせてください。最後まで、走らせてください。係員に、そう言いながら、保科さんは走り続けることをやめません。しかし、係員も、大会の規律に従うという任務があるために、その言葉を聞き入れるわけにもいきません。再び保科さんの腕をつかみ、車に、運ぼうとします。最初は、小さな声で「走らせてください」とお願いをしていた保科さんも、やがて、最後の力を振り絞り「走らせてください!俺を、走らせてください!」と、渾身の力で主張をします。最後の方は、係員に取り囲まれながら、断絶魔に近い叫び声で「離してくれ!俺を、最後までいかせてくれ!」と、必死の咆哮をあげました。
結局、そのまま、保科さんは係員にはがいじめにされながら、護送車に運ばれました。これらの顛末をカルロスから聞いたとき、あたしは「俺はやばい人間と一緒にいるのだな」と実感しました。保科さんには、こういうところが、ものすごいあります。あたしの場合、誰かの尋常ならざるやばい話を聞いたとき、それを「笑いに反映させる」傾向が強いです。しかし、保科さんの場合は、誰かの尋常ならざるやばい話を聞いたとき、それを「自分の生き方にダイレクトに反映させる」傾向が、あります。誰かが死ぬほど命を張った話を聞くと、自分も、死ぬほど命を張ってしまうところが、あるのです。
そんな保科さんのnoteの記事を、ここに貼っておきます。他にも紹介したい保科さんのエピソードは山のようにあるのですが、あとは、実物を目の当たりにしていただけたら幸いです。保科さんがベースを鍛錬すればするほどに、おそらく、我々のバンドは『怪物バンド』になるのだと思います。是非、生のあたしたちを、体感して欲しい。二度のライブ出演を終えて、いま、あたしたちは燃えています。自分たちの不甲斐なさをなによりも目の当たりにできる瞬間。それが、ライブのなかにはありました。同時に、自分たちの伸び代を実感できる瞬間。それもまた、ライブのなかにはありました。
とかなんとか言っているけれど、今後、ライブ出演の予定はまったくありません。誰か、あたしたちをイベントに誘ってちょーだい。呼ばれたら何処にでも行きます。何処にでも行くのなんて、多分、いまだけよ。数ヶ月後には「呼んでもいけない」くらいには、おそらく、過密スケジュールを生きていることになるでしょう。だから、お願い。あたしたちに、ライブ出演の機会を与えてください。精一杯、演ります。今頃、保科さんの指先には、大量の血痕が(ベースの弾きすぎで)残されていると思います。前回の記事で、あたし、婚活より墾活って書いたけど、保科さんの場合は「婚活でもない。墾活でもない。痕活だ」みたいなライフスタイルを、地で生きているところがあります。記録より血痕を残す。これが、保科さんの合言葉なのですから。
じゃあ、またね。愛してるわ。バイバイ。
坂爪圭吾 keigosakatsume@gmail.com
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