ポーランド:寛容性の高い街には創造的な人が集まる?負の遺産を逆手にとったストリートアート -世界のまちづくり事例集-
僕が住んでいた街のは、スウェーデンのカールスクローナっていうとこでした。ポーランドにすごく近いので、海路が通っています。その航路は、実は、お酒好きの方がよく使ったりしています笑 スウェーデンは酒屋さんが公営なので、べらぼうに高い。それで、気分転換にポーランドまでお酒を買いにいく、なんていうこともあるのです。
自分もこの航路を使ってお酒を買いに行った!のではなく、スウェーデンを出国するときに使用しました。船が到着する街は、グダンスクという街。第二次世界大戦がはじまった場所として有名でした。
街の博物館で知ったのですが、世界大戦によって亡くなった人の数は、実は、ポーランド人が一番多いんです。地理的にもドイツとロシアの間に挟まれたり、アウシュヴィッツがあったりと、どこか不運な運命を辿ったイメージがあるポーランド。
負の遺産を逆手にとったストリートアート
グダンスクからワルシャワに訪れたときのこと。街のマップを観光案内所でもらいました。いたるところにペンキマークがあります。このマークは何かと、職員に訪ねると、「ストリートアートが見れるところだよ。」と教えてくれました。
そのときの僕の頭の中では、
「ストリートアートって、日本のまちづくり文脈において、小中高校生に書いてもらったり(わかるよ、わかるよ、その方が議会通りやすいもの涙)、商店街を明るくするためにシャッターに書いてもらう、とかがよくあるよな。」
と考えており、かなり規模感が小さいモノを想像していました。
しかし、、、
どん
どんどん
でかい、、、、!
アパートの壁画一面に書いてあるレベル、、、!
ここまでのことができるなんて、、、!
要因を職員さんに聞けなかったことが残念。なので、Googleで探していたところ、こちらのブログに書いてありました。
ワルシャワだけでなくて、ポーランド全体でこういったストリートアートを推しているとのことを知りました。共産主義時代の負の遺産として知られる「窓が小さく、壁の面積が大きいお家」を逆手にとったまちおこし、イメージアップ、若手アーティストの支援。確かに、Googleでstreet art、polandで検索するとかなりのサイトがヒットします。(実は、自分の2枚目の写真は、クラクフという古都のモノです。)
作品は大きなものから小さなモノまで本当に多々あります。歩くだけでも本当に楽しい。
(小さい規模感のモノもちらほら。)
日本でも若手アーティストの支援として、りそな銀行さんがタイアップして、銀行カードを地域のアーティストに描いてもらう事例があるのですが、大好き取り組みです。(resonartと呼ばれています。)
寛容性の高い街に創造性の高い人が集まる?
ポーランドの事例を深読みすると、アメリカの社会学者であるリチャード・フロリダの考え方が一つ思い浮かびました。
寛容性の高い街にクリエイティブな人たち(デザイナー、アートディレクター、アーティストなど創造的な領域の仕事をする人たち)が集まるという見方です。
その指標がユニークなんです。メルティング・ポット指数・ボヘミアン指数、ゲイ指数などを使って街の寛容性を測っています。単純にいえば、多様性を認める土壌があったり、人の違いに寛容なところに、そりゃ人って集まるよねっていう考え方。
日本でも、アート、クリエイティビティ、デザインなどの領域が、地域にはいってきたと聞くようになってきました。その広がりと同時に、受け入れ側の土壌も耕されていくことも必要なんじゃないかな、と思わせてくれたポーランドでした。