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ファッションモデル。まさかの仕事との共通点とは?

これは22歳でモデル活動の為に上京して来た私が、約1年半活動をしてみて発見した意外な職業との類似性など、現時点で行き着いたモデルという職業との向き合い方である。

※写真は全て私自身です。

2021年1月(22歳 上京前)

モデルの華やかさと難しさは表裏一体


2021年3月"モデル活動をするために東京に来た!"という自己認識もあって、最初は1日でも早くモデルの収入のみで食えるようになることを夢見てもがいていた。

しかし段々と、如何にもがいてもどうにもならない世界に自分が入ったかということを強く自覚し始めた。

モデルをしていると人に伝えた時によく言ってもらえる言葉が
"天性のスタイルや整った顔を持つ人しかできない職業だから凄い世界ですよ。"

最初はこれに誇らしさばかり感じていたが、段々とその事実に私は悩まされることとなった。

モデルは究極の才能職業

歌手、芸人、俳優、モデル、ダンサーこういった人前に立つエンターテイメント的職業を以前まで自分は一緒くたに捉えていたが
ファッションモデルという職業はその中でも特に生まれ持った要素による評価の割合が高い。

身長、顔立ち、骨格、頭身(現代ではお金と時間があれば変えることは可能だがここでは一旦そういった手段は省かせていただく。)

これらがファッション的観点で優れていない人間は基本的に、どれだけウォーキングやポージングが優れていてもモデルとして仕事は取れない。

この事実に対して私は誇らしさと同時に虚しさを感じはじめた。

きっかけは2022年5月頭〜6月末の2ヶ月間、ミラノファッションウィーク(パリコレのミラノ版)を目掛けて自分のモデルとしてのキャリアアップのためにイタリアに滞在していた時。

人生初のイタリアで食べるピザ
(左の男性は店員さんです笑)


何のオーディションもなしにSalvatore FerragamoとDolce&Gabbanaから事務所を通して撮影の仕事が入ってきた。
その時喜びと同時に大きな違和感を持った。

ミラノ挑戦を決めたものの正直自分はキャリア・知識量・経験値・ポージング・ウォーキング。
あらゆる要素でまだ世界に通用するとは思えていなかった。

そんな自分にでも有力なモデル事務所とキャスティング担当(ブランドからの意向を聞いてモデルなどをセレクトしてブランドに提案する業務を行う人)・デザイナー・スタイリストなどの好みや要望にハマる容姿・雰囲気を持っていれば仕事は決まる。

その事実を己の身を持って知り、ファッションモデルという職業に対しての取り組み方に変化が生まれ始めた。

売れるやつは売れる、売れないやつは売れない。

これは決してモデルにとって努力が無駄だと言いたいわけではない。
纏うだけでその服の最大値を引き出してなんぼのモデルが服が美しく見えるスタイルを保っておくのは当たり前の事だし。
服を活かすポージングやウォーキングを身につけるのも当然のことだ。
メイクや髪型を変えることで与えるイメージを変えていくことも可能である。

HARE 2023 Spring Summer Collection


ただし、数ある仕事の中でファッションモデルは最も努力が仕事量に直結しずらい職業のうちの1つだと私は考える。

これはモデルとして仕事が取れない時の言い訳というよりも。それくらいの余裕を持ち合わせていないと精神が持たなくなる職業だという持論である。
例えば、あるオーディションに行って会場内の誰よりもポージングが上手かろうと顔や身長、雰囲気がそのブランドの求めるものとかけ離れていてはその仕事は取れない。

ここでその事を理解せずに悔しがってもっとポージングを磨いて再チャレンジしても結果は変わらない。


この考えに至ってからまた新しい姿勢でファッションモデルという職業と向き合うようになったが、以前読んでいた小説にこの考えにヒントをくれる一文を見つけた。

モデルは〇〇に似ている

場面は売春によってお金を稼いでいる女子生徒とその高校教師の口論シーンである。

「私は労働するために努力している。でも、身を売ることはしてはいけないことだよ。あなたが女性だということはあなたが選んで努力したことじゃない。たまたま、あたなは美しい女性に生まれついただけだろう。そのことを利用して生きるのは魂が汚れる。」
(グロテスク 上 P288/桐野夏生)

私は正直ファッションモデルもかなり同じ要素が多いと感じた。
異なる点としては本人含め世間や周りの人間が、生まれ持った容姿によって服を着るだけでお金を稼げるという事実に対して尊敬を持っている人が多いかどうか。
その仕事を好きでやっているか。
そこに性的サービスがあるかないか。
という部分だと考える。

私は性的サービスによってお金を稼ぐ人に偏見はないが、未だ世間一般では胸を張って「風俗で働いています。」と堂々と人前で言う人は少ないのが現状だと感じる。

世間一般で賞賛されることが多いファッションモデルと隠しながら働く人が多い風俗業

全く違う職業のように思えるが、生まれ持った要素による選定が多かったり。仕事をとる姿勢として原則受け身な点など通ずる部分は多いと感じる。

後天的に自分で培っていないもので判断されたり評価を得たりするのは人間の精神にとって良くも悪くも異常な作用をもたらすのかもしれない。

その代表例ともいえるファッションモデルという仕事に対して自分という人間の価値を重くおきすぎると精神的に不健康な状態に陥るのではないかということを思うようになった。
という駆け出しモデルのモデル論である。

じゃあいったいどんな人がモデルに向いているの?と聞かれたら恐らく、こんなことを考える暇もないくらいモデルの仕事が舞い込んでくる人だろう。

残念ながら現状私はそれに当てはまるほど仕事が舞い込んできてはいなが、この仕事を通して自分という人間の価値基準について向き合えたことを幸福に思う。

Them magazin 2022年10月号

勿論今も変わらずモデル業にやる気満々だが
前ほどオーディションに受からなくても落ち込まなくなった。
「求めてたタイプじゃ無かったんだな。」
ぐらいに思って次のオーディションへ向かう。

恋でも仕事でも、自分がベストのパフォーマンスをした上で要らないと言われたなら「タイプじゃなかったんだな」で済ませるくらいの都合の良い仕方ない理論を持って私はこれからもモデル業や人生を楽しんで過ごしたいと思う。

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