「若い時に見ておけ」っていう映画の1本であろう。
映画館で観たカルト映画の『エル・トポ』は、頭をガツンと殴られて割れるような衝撃を受けたと記憶している。
今になってパンフのホドロフスキーのインタビューを読むと「この人なにを言っているのかわからない」のだが、当時は誰一人つっこめないカリスマであったような感じが伝わってくる。
できたらシネコンでない映画館の暗闇の中で観て欲しい。
私なんかは人の目が恐ろしくて見れなかったし、昼間は人が怖くて部屋の外に出れなくて、まるで太陽の下に出ればとたんに干からびてしまう生き物のようであった。薄暗い映画館の中で映画を見ている観客たちもみな、土の中でしか生きれないモグラ(=エル・トポ)のように感じた。
そんな生き物たちが夜になって集まって映画館の暗闇の中から見るスクリーンには、眩しい青空と太陽の照りつける砂漠で繰り広げられるガンマンの物語が投影されている。
『エル・トポ』って作品は、こういう状況もひっくるめた体験にどハマりしていたように思う。