限界集落に広がるアレクサ
ここ限界集落という言葉の発祥地の高知県大豊町で「アレクサ」の利用が広がっている。とは言っても私のまわりだけの話であるが。
やっと大豊町でも光インターネットが使えるようになったのは、2019年くらいからである。当初は「そんなものいらん」とか「そんなもんに協力なんかせん」とか散々な扱いで、線の工事も大変であったらしい(許可がもらえず、かなり遠回りさせられた地区があるとか聞いた)。
地区ごとに説明会なんか行われても「必要ない」「今まで通りでいい」との声が多数で、契約者予定者があまりに少ないと中止になるかもしれなかった。
説明する人が、相手がわからないことをいいことに「インターネットはこれから必要ですよ」などと言い包められて契約することになったが、契約した人が何を思ったのか、工事で引いた光ケーブルをハサミでちょん切るというトンデモ事件もあったらしい。
私の知り合いに「高齢者2人に家に何故にインターネットのWi-Fiが?」というのがあって、携帯電話もガラケーなので聞いてみたら、「息子が子供連れて来たときに、あった方がいいって言うんで」と日常生活で全く使われないWi-Fi電波が24時間飛んでいるのであった。
毎月五千円払っているのに、使わないなんてもったいないということで、私はアマゾンのエコードットという小さなスピーカーをセール中に安く購入して、興味がありそうな人のとこでデモンストレーションをしてみた。
設定したスピーカーに「アレクサ、演歌をかけて」などと言うと、そんなCD持ってないのに曲が次々にかかる。さらに「アレクサ、今日の天気は」とか聞くと、ちゃんと自分の住んでいる所の天気をおしえてくれる。
それで音楽を何曲聴いても何回アレクサと呼び出しても、ひと月500円(ワンデバイスプラン)かからないくらいで使えるのである。
「なにも使わなくても五千円かかっているのだから、これぐらい使ってみてはどうですか」と話すと「それ買った」となったりした。
ちょと設定がややこしいので、私が相手の家に行って初期設定をする。アカウントがない場合は新規で作って、使えるようにしたりする。
これこそ高齢者に使ってもらったらいいのではないかと思っている。
まずはスピーカー(アマゾン エコードット)を使ってみて好きな音楽を聴く。そこから「声でテレビやエアコンのオンオフができる」とか、「カーテンの開け閉めができる」とか、ゆくゆくは「遠くに住むお子さんが安否確認できる(アメリカでは『Care Hub』としてはじまっている)」にも使えたらいいのではないか思っている。
あと、こういう新しい機器を使うと頭の活性化とかになるようにも思う。
私の母親も自分からこのスピーカーを「使いたい」とか言い出して、演歌や歌謡曲を自分から聴き出した。
私が「ラジオも聴ける」とか、「今日は何の日って聞くと答えてくれる」とかおしえてるとなんだか面白がって「それをメモ帳に書いておいて」とか言い出した。
「今までテレビ見てたのがアレクサ使うようになった」と言っていた人がいた。うちの母もそうだがスピーカーにアレクサという名札をつけてる人は多い。「スピーカーがアレクサではなくて、使えるようにしてるのがアレクサでーっ」という説明をしてもだいたいは聞いてもらえない。
私なんかは電気スタンドを「アレクサ、ライトを点けて」で使ったり(階段のとこまで行ってから声で電気を消せる)、お風呂乾燥のための扇風機を「アレクサ、お風呂乾燥」と言って回して、3時間経つと扇風機が止まるようにして使ったりしている。使う前は「そんなもの必要ないだろ」とか思っていたのに、使ってみると無くてはならないものになってしまっていた(それまではコンセントに差したタイマー式のダイヤルを、3時間の目盛りまで毎回まわしていた)。
これはアレクサ対応のコンセントだけ買えばできるし(テレビやエアコンのオンオフは別の機器が必要になります)、セール中だと千円ぐらいで買えるので、スピーカーの次のステップとして使えるかもしれない。
たまたま私のデモンストレーションに立ち会った他の家の人が、「これ使えるなら私のとこも、光インターネットやらに契約するわ」とか言い出したりすると、「いやいや、これだけのために契約するのもどうかと思うが」とか言ってしまう。
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