脱炭素化技術
▪️着目の背景
日経新聞に、MOFと呼ばれる素材についての記事が掲載された。これは金属有機構造体のことで、狙った物質を閉じ込められる素材である。1グラムでサッカーコート一面分の表面積があることから、二酸化炭素の回収や貯留に利用できる可能性があると世界中で研究が進んでいる。
▪️そもそも脱炭素化の背景とは
温暖化による気候変動により、多くの被害が起きている。たとえば2020年で起きた被害は、ここ10年の平均よりも3割多い。
このような気候変動による被害を抑えることを目的に、2015年に開かれたパリ協定で、産業革命前の気温よりも2度より十分に低く抑え、1.5度よりも低く抑えることを目標にした。
しかしながら現状ではその目標を達成することは難しく、むしろ2度以上高くなってしまうことが見込まれている。
こうした背景の中、二酸化炭素排出を防ぐための脱炭素化を各国、産業界、金融界含めて検討を進めている状況である。
▪️脱炭素化のパターン
脱炭素化のパターンは三つある。
①そもそも二酸化炭素自体を排出しないこと。
②排出した二酸化炭素を回収して地下に貯留すること。
③排出した二酸化炭素を再利用することである
▪️脱炭素化の具体的な方法
①二酸化炭素の排出をしない
再生エネルギーや水素エネルギーを利用することである。
② 排出した二酸化炭素を回収して地下に貯留すること。
冒頭述べた通り、貯留するための素材としてまさにMOFを活用することができる。地下1000メートル深くに二酸化炭素を貯留することである。
③ 排出した二酸化炭素を再利用することである
回収した二酸化炭素を再利用の方法としては以下の通り四つある(経済産業省より抜粋)
⑴化学品では、具体的には、ウレタンや、プラスチックの一種でCDなどにも使われるポリカーボネートといった「含酸素化合物(酸素原子を含む化合物)」が考えられる。また、バイオマス由来の化学品なども利用先となりえる。
⑵燃料では、光合成をおこなう小さな生き物「微細藻類」を使ったバイオ燃料や、バイオマス由来のバイオ燃料がCO2の利用先として考えられる。
⑶鉱物では、「コンクリート製品」や「コンクリート構造物」が考えられる。具体的には、コンクリート製品などを製造する際に、その内部にCO2を吸収させるというもの。
⑷その他として、バイオマス燃料とCCSを組み合わせる「BECCS」、海の海藻や海草がCO2を取り入れることで海域にCO2が貯留する「ブルーカーボン」などが考えられる。
▪️最後に
以上の通り脱炭素化の技術はさまざまあるが、どれか一本に絞るものではなく、全ての技術を並行稼働させることで脱炭素化につながる。
気候変動対策は、危機でありリスクであるが、同時に巨大市場が新たに出来上がるので、ビジネスチャンスでもある。
個人的にも引き続き注視していきたい。
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