オープンソースで脳科学研究を加速させるOpenBCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)
・BrainMedia第13弾!
(脳科学のビジネス応用可能性をお届けするブレインテックメディア)
今回は、オープンソースBCI(ブレイン・コンピューター・インターフェース)であるOpenBCIについて説明します!
1. BCIとは(ブレイン・コンピューター・インターフェース)
BCIとは、脳とコンピューターを繋ぐ仕組みやプログラムのことです。いーロン・マスクの創立したNeauralinkがBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)の開発を行っていることは有名ですが、BCIもBMIもどちらも脳からの出力によって電気信号を送り、コンピューターを動かすという意味でほとんど同じ意味を示します。
2. OpenBCIとは
OpenBCIとは、 Joel Murphy と Conor Russomannoという2人の研究者によってつくられたBCIのオープンプラットフォームです。2014年にKickstarterという米国の世界最大のクラウドファンディングプラットフォームで20万ドル超を調達しています。
OpenBCIでは、EEGという脳波計によって脳波を分析するだけでなく、EMGによって筋肉から、ECGによって心臓から電気信号の測定と記録を行うことができます。
大きな特徴は、オープンソースであり、OpenBCI GUIを誰もが使用することができるという点です。脳波測定結果の数値を可視化するグラフや図を自分でゼロから作らなくても、公開されているSDK(ソフトウェア開発ツール)を利用することによって、簡単に脳波測定を始めることができます。
OpenBCIの利用イメージ(GCI)
https://openbci.com/
OpenBCIは、営利企業ではなく、あくまで研究者たちのコミュニティとして運営されているようで、様々なコミュニティ参加者が意見や研究結果を投稿しあっています。
https://openbci.com/community/people/
3. 3Dプリンターで脳波計を入手可能
また、OpenBCIのユニークなところは、3Dプリンターによって脳波計が入手可能であるという点です。3Dプリンターでの製造を可能にすることにより、より安価で簡単にヘッドセットが手に入れられることを目指しています。
OpenBCIボード用の3DプリントヘッドセットのデザインファイルはGitHubで公開されている他、脳波計のヘッドセットはOpenBCIのオンラインストアからも購入することができます。
https://en.wikipedia.org/wiki/OpenBCI
4. 新脳波計プロジェクトGalea
また2020年11月には、OpenBCIの新プロジェクトとしてGaleaが始まったようです。Galeaは脳波、筋電図、EDA、PPG、アイトラッキングを1つのヘッドセットに統合した初のデバイスであり、マルチモーダルに複数の生態データを解析に用いることを可能にします。
Galeaのハードウェアは、既存のARやVRのヘッドマウントディスプレイに統合され、様々なSDKがオープンソースとして公開される予定です。Galeaはまだベータ版の状態ですが、マルチモーダルセンサーシステムと、拡張現実や仮想現実への没入感を組み合わせることで、Galeaは、研究者、開発者、クリエイターに、人間の心と身体を理解し、拡張するための可能性をもたらします。
オープンプラットフォームであるOpenBCIのGaleaプロジェクトには、世界中の誰もが参加できるので、興味のある方はこちらのOpenBCIのサイトからメーリングリストに登録してみると良いかもしれません。
オープンソースによって、既に世界中の研究者や企業がOpenBCIを使って脳波の実験を行っており、脳波で動かすゲームや、ドローンなどの開発も行われています。OpenBCIによってさらに脳科学の研究が加速するかもしれません。
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