SARSと新型コロナの最大の違い
日本でも感染者が現れ始め、指定感染症にも指定された新型コロナウイルス。同種のコロナウイルスであるSARSの流行とよく比較されることが多い。
両者を比較すると、感染者数や致死率といったウイルス自体の危険性がまず注目されるが、最大の違いはウイルスの特徴ではない。
最大の違いは中国の経済規模
2月1日夜、中国の各省で、春節以後の2/9まで企業に対し休業を行うよう通達がされている。対象企業は、電力などインフラと医療関係機関以外である。
中国経済が停止する恐れがある。
この時注目すべき違いは、SARS流行時と今の中国の経済規模である。
中国経済は10倍に成長
2002年時点での中国のgdpは約1.5兆円
2018年時点での中国のgdpは約15兆円
SARS流行時に比べ、中国の世界経済に与える影響力は圧倒的。中国国内の生産停滞や消費停滞が与える影響もまた甚大となる。
グローバルサプライチェーンの違い
さらに注目すべきはグローバル化の進展である。
中国で部品を生産し、他国で組み立て、販売を行うようなグローバルサプライチェーンが形成されている。
たとえばiPhoneの最大の工場は中国にある。
英調査会社インフォーマの試算によれば、世界のスマホの約65%、パソコンの約45%が中国で生産されている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると18年の中国からの日本の自動車部品輸入額は約3470億円。
中国経済、春節明けも休止 新型肺炎で生産再開延期:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55156300S0A200C2MM8000/
SARSの流行は香港が中心だったが、今回は中国。そしてその中国経済はグローバル化の中で10倍に成長。
中国経済の一時停滞はもちろん、日本及び世界への影響がSARS流行時に比べ甚大となる恐れがあるのだ。