イーロン・マスクによるNeuralinkが目指す世界とは?人々が脳に電極を入れる未来
・BrainMedia第10弾!
(脳科学のビジネス応用可能性をお届けするブレインテックメディア)
イーロン・マスクが150億円以上の資金によって経営する「Neuralink」。ブレインテック業界で最も注目されている企業といっても過言ではないでしょう。(自分もこのBrainMediaを始めるまでは、恥ずかしながらNeuralinkくらいしか脳科学関連企業を知りませんでした。)
Neuralinkに関しては、日本でも様々なメディアで取り上げられており、記事が沢山あるので、ここでは海外の記事を引用しつつ、自分の備忘録的にまとめるのに留めようと思います。
さらにNeuralink詳しく知りたい方は、東京大学の池谷裕二先生の研究室で「脳とAIをつなぐ」研究に従事されている紺野大地さんが書いたこちらのnoteで最も深く洞察がされているので、是非読んでみてください!
1. Neuralinkがやろうとしていること
Neuralinkは、人間の脳をアップグレードさせBMI(ブレインマシンインターフェース)を作ることを目指す神経技術ベンチャー企業です。シリアルアントレプレナーであるのイーロン・マスクによって設立されたこの会社は、頭蓋骨のに小さなデバイスを外科的に移植し、脳疾患やその他の医学的問題を治療する可能性を提供しています。さらには、私たちが心を使って機械と対話したり、制御したりする未来を描いています。
実際に脳に挿入する電極、は直径4~6μm(マイクロメートル、これは1,000分の1ミリメートル)であり、人間の髪の毛よりもはるかに細かく、N1と呼ばれる脳と機械の間のチップセットに接続されています。神経信号を伝達するこのインプラントは「リンク」と呼ばれています。
LINK(神経信号を処理し、刺激し、送信する密閉型のインプラント装置)
人間の脳には約860億個のニューロンがあり、シナプスを介して電気信号で情報を送受信しています。Neuralinkでは、この装置の1本1本の糸が脳内で接続され、1,000個の脳ニューロンの活動をモニターすることができるようになります。増幅された信号を記録してデジタル命令として解釈し、情報を脳に送り返して電気的なスパイクを刺激することも見据えています。チップは、ワイヤレスで外部コンピュータと接続できるようになっています。
このように、脳と外部の機械等を接続するものを、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)と呼び、例えば脳から読み出された情報を介して、麻痺のある人はコンピュータのマウスやキーボードを操作することができます。また、脳に情報を書き戻すことで触覚を回復させることもできます。
2. 脳へのチップへの挿入は自動ロボットが行う
チップを挿入するような複雑な手順を人間の手に頼るのではなく、毎分6本の糸を脳に挿入することができる外科用ロボットが開発されています。ロボットは、まず2ミリメートルの小さな切開から、8ミリメートルまで拡張して頭蓋骨を掘削します。小さな針は、静脈や動脈が触れていないことを確認するために顕微鏡を使用して、挿入を行います。
糸が挿入されると、彼らは脳の皮質表面に配置されている先述の「LINK」に接続されます。この手術には、1時間から2時間かかります。
3. 考えるだけでスマホを動かす
Neuralinkのウェブサイトでは、何をしたいかを考えるだけで、iOSデバイスやBluetoothキーボードやマウスを制御することができると説明されています。カーソルを動かすなどの動作を行うための脳を鍛えるアプリが開発されており、スピードや正確性を高めるためのゲームも収録されています。
考えるだけで動かせるiOSアプリ / Neuralink
Neuralinkチームは、障害を持つ人々、特に麻痺を持つ人々の支援にまずは主眼を置いています。この技術を使えば、ある動作を思いついただけでそれが実行されるのを見ることができ、コンピューターを完全に操作したり、義肢を操作したり、文書を書いたり、アートで表現したりすることができるようになり、彼らの自立を支援することができます。
また、発作や脳障害、パーキンソン病、認知症、脳卒中患者、さらには聴覚や視力の問題にまで、この技術がどのように役立つかを探求しています。「視神経を失った人でも、視力を取り戻すことができる」可能性についてもイーロン・マスクはインタビューで語っています。
消費者向けのアプリケーションの可能性も検討しています。Neuralinkは、ユーザーの脳に直接音楽をストリーミングする可能性について議論しており、イーロン・マスクは、人間が実際に会話をしなくてもコミュニケーションが取れる時代が来るかもしれないと述べています。
Neuralinkによって、指を使ってキーボードを叩く必要をなくすことで文字を書くスピードを速めたり、ハンドルに触れることなく車を運転したり、ゲームをしたり、体験を頭の中にストリーミングして楽しむことができるようになるかもしれません。
4. Fitbit in your skull, with tiny wires
頭蓋骨に穴を開けて脳に電極を入れるのは、多くの人にとって抵抗があるでしょう。これに対して、イーロン・マスクは「Fitbit in your skull, with tiny wires」と、頭蓋骨につけるfitbitのようなものだと語っています。
レーシックで目にレーザーを当てることが一般的になったように、その利便性が認められれば、脳に電極を入れるのにも抵抗がなくなるような時代がくるかもしれません。
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