マネジメントの出現、発展、直面している課題。
経営者JPが運営する志高き経営者・経営幹部・次世代リーダーが集う会員制プラットフォーム「KEIEISHA TERRACE」。「スペシャルコラムドラッカー再論」では、ドラッカーは何を見、何を伝えたのか、私たち、実務経営者にとっての「実践的ドラッカー論」について、再考・熟考・使い熟しをしています。
ドラッカーによれば、カール・マルクスが『資本論』を書き始めた1850年代には、まだマネジメントの概念はなかったそうだ。そこには資本家と、現場労働の監督〜例えば工場長はいても、それは自らも労働者である職長が何名かいるだけだった。
そこから50年ほどの間に、マネジメントは急速に発展し、社会に大きな影響を与えることになった。特に先進国の社会と経済を変え、グローバル経済を生み出し、グローバル経済のためのルールまで作り出した。
そこで確立されたマネジメントは、主に工業生産を中心として、共通の目標、共通の価値観、適切な組織、訓練と研鑽によって人々が共同で成果を上げられるようにすることだった。
「ところが今日、まさにマネジメントの役割の意味そのものが、急激に変化しつつある。その主たる原因は、マネジメントの成功によって、労働の重心が肉体労働から知識労働に変わってしまったことにある。」(『チェンジ・リーダーの条件』、2000年)
20世紀を経て、21世紀のいま、高度の知識と技能を持つ膨大な数の人たちが生産的な活動に従事している。そのようなことが可能になったのもマネジメントのおかげだ。
「知識、特に高度の知識は、常に専門化している。単独では何ものも生み出せない。(中略)技術者や設計者、エコノミストや統計専門家、会計士や心理学者、マーケティングや計画や人事の専門家が、共通の目的のために働く。彼らのうちひとりとして、組織抜きで成果をあげられる者はいない。」(『チェンジ・リーダーの条件』)
現代のマネジメントは、知識の基盤が存在しなければ成立しえないとドラッカーは言う。逆にそれらの知識や知識労働者に成果をあげさせることのできるものがマネジメントだ。
「マネジメントの革新はすべて、知識を仕事に適用することから生まれた。すなわち、システムと情報が、当て推量や体力や汗の代わりとなった。いずれも、テイラーの言葉を使うならば、より賢明に働くことをもって、より激しく働くことに代えた。」(『チェンジ・リーダーの条件』)
マネジメントは体系としても仕事としても大きく発展した。ドラッカーは、なかでも特に重要なことは、マネジメントが起業家精神とイノベーションの領域を含むようになったことだと明言する。
「今日にいたるも、マネジメントと起業家精神を、たがいに排除し合うものではないにしても、対立するものとして見る向きがある。(中略)(しかし)イノベーションの欠如こそ、既存の組織が凋落する最大の原因であり、マネジメントの欠如こそ、新し...
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