FIREを実現する方法
■『FIRE』とは?
最近、ビジネスパーソンの間では、『FIRE』という考え方が話題になっています。
『FIRE』とは、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を並べた言葉で、
経済的な自立(Financial Independence)
早期リタイア(Retire Early)
から構成されています。
早期リタイアして仕事を辞めた後も、資産運用等の不労所得で得られる収入により、生活費などを賄っていくことを意味します。
このような人生設計は、数年前から欧米を中心に流行っているようですが、現在、コロナ禍の日本においても注目が集まっています。
働かなくても自由に生きられるライフスタイルは、多くの方々にとって憧れであり、経済的な理由で制限されることなく自由に生きたいと誰しも1度は考えたことがあるのではないでしょうか?
このコラムでは、どのようにして『FIRE』という新しいライフスタイルを入れることができるのか、実現のプロセスについて考えてみたいと思います。
■『FIRE』と早期退職の違い
早期リタイアという概念は今に始まったものではなく、以前からありました。では、早期リタイアと『FIRE』という概念は、どのような違いがあるのでしょうか?
早期リタイアというと、一生困らないほどの十分な資金を確保してから会社をやめる、あるいは経営者を引退するというイメージを持つと思います。
しかし、『FIRE』は、単なる早期リタイアではなく、『経済的に独立した状態』でリタイアすることを意味します。
つまり、リタイアの時点では、一生困らないほどの資金がある必要はなく、働かなくても生活できる仕組み、例えば不動産収入や株式配当等の不労所得が得られれば、毎日仕事に出かけなくても生活することができます。
日本では、若い世代を中心に、少子高齢化で社会福祉の負担増など老後への不安が募っております。
就職氷河期やリーマンショックを経験したビジネスパーソンは、一つの会社に長く働き続けることに固執せず、副業やギグワークなど働き方の多様性を求めるようになりました。
このような背景のもと、働くことに縛られない新しい概念『FIRE』が注目されるようになっているようです。
■『FIRE』を実現するための4%ルール
FIREを実現するためには資産を減らさないことが必要です。その考え方に「4%ルール」というものがあります。4%ルールは「生活費を投資元本の4%以内に抑えられれば、資産が目減りすることなく暮らしていける」というルールで、アメリカのトリニティ大学の論文を根拠にしています。これを言い換えると、FIREするために必要な資産は、年間支出の25倍(=投資元本(100%)÷年間支出(4%))の資産を用意すれば、FIREが実現できるというわけです。
たとえば、年間支出が500万円だとすれば、FIREに必要な資金は500万円×25倍=1億2500万円となります。この1億2500万円をそのまま取り崩してしまえば、25年で底がついてしまいます。しかし、1億2500万円を運用に回し、年4%の不労所得を得ることができれば、1億2500万円×4%=500万円ですから、年間支出の500万円をそのまま得ることができます。このようにして、元本を減らすことなく永続的に生活できるというわけです。
なお「4%」というのはあくまで米国の株式市場を元にインフレ率を差し引いて計算した数字ですので、必ずしも4%で運用が続けられるという保証は全くありません。また、投資の多くは元本保証がない点にも留意が必要です。もし、年4%の運用ができなければ、不労所得が減ってしまいます。この場合、支出を削るか、働くなどして他の収入で補うことができなければ、資産を取り崩すことになります。
■『経済的な自立』を手にする方法
働かなくても生活でき、自由な時間を手に入れるためには、一生困らないほどの十分な資金を確保するか、もしくはまとまった資金を手にし、資産運用等(不労所得)で生活できる状態を生み出すことが必要となります。
働かなくても継続して安定したお金を手にする不労所得の手段としては、不動産を購入して家賃収入を得る方法や、太陽光設備に投資し売電収入を得る方法、株式に投資して配当を得る方法など様々なものが考えられます。
問題は、その元手となる資金をどのように得るかです。
例えば、1億円の貯蓄をするために毎月10万円づつ貯金に回したとすると、
1億円 ÷ (10万円×12か月) = 83.3年
一生働いても貯まるかどうか分からないですよね。
株式投資や暗号資産に投資して、大儲けされる方もいらっしゃいますが、成功できる確率は低いです。
この点、自身で事業を立ち上げられたオーナー社長様であれば、会社の株式を売却することによって、まとまった資金を得られる可能性があります。
これは、オーナー社長の特権であり、役員報酬を高くして貯蓄を増やすよりも、遥かに早くまとまった資金を手に入れられます。
次回は、オーナー社長が会社売却を通じて『FIRE』『経済的な自立』を手にする方法について、詳しく解説します。