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ラグビーときどきひとりごと 20240205

クロスボーダー サンゴリアスvsブルーズ

2月3日@秩父宮、サンゴリアスvsブルーズを観戦してきました。

ニコラス・サンチェス日本デビュー戦でもありました。というわけで、今日は「アルゼンチンの英雄」の写真で。意外と足細いんですね。劣勢の前半、ジャッカルやトライセーブタックル、ドミナントタックルなど、ディフェンスの見せ場が何度もあり、サンゴリアス唯一のトライも演出しました。前半途中で足痛めましたし、だいぶ実戦から遠ざかっていたはずですが、さすがの一言。

どちらもベストメンバーではなく、リザーブも28番まで出せるということで若手主体でしたが、ハーフタイムに中村選手と垣永選手がスーツ着てインタビュー受けているのはどうかと思いましたよ。監督は「プライド、レベルを示せなかった」ということですが、このメンバーで「プライド、レベルを示す」って、相手をどう見ていたのでしょう???

試合は、前半入りで3本、後半入りで2本、トータル7本のトライでブルーズが圧勝。サンゴリアスは、プレー強度に適応するのに前半30分ぐらいかかりました。20分ごろ、自陣22m付近でのジャッカル成功から盛り返し、前半の後半は互角、松島選手のトライ、最後ラインアウトモールを押し出してハーフタイムへ、のところまではよかったかなと思います。

しかし後半も入りから失点を重ねて主導権は握れず、ゲームの大勢も決してしまいました。後半の後半、サンゴリアスも右ライン(バックスタンド側)で何度かラインブレイクがありましたが、パスを相手に渡したり、ノックオンしたり、容易にターンオーバーされたり、「お~っ(期待)、ああぁ~(落胆)」の繰り返しでした。

自分はメインスタンドだったので、細かいところは見えませんでしたが、印象としては、一瞬沸かせるけどイージーミスで終わるの繰り返しという点で、去年Jスポーツで見た、30年以上前の日本代表のアタックみたいでしたね。ラインブレイクした後、どうスコアするかのイメージが、プレーヤー間で共有されていない(というか、そもそもイメージがない)ので、フォロワーも遅れ、ボールキャリアはその場しのぎ・苦し紛れのプレー選択になり、無理くりのパスや苦しい姿勢でのコンタクトになってしまったことが原因でしょう。

そうした中、ちょっとよかったのはSO高本選手が2度、きれいなラインブレイクを見せたこと。ランの迫力がないSOのディフェンスは楽ですからね。サンチェス選手、いつまでいるかわかりませんが、彼からどんどん学んで成長してほしいところ。

ブルーズサイドは、ラインブレイクされてもカバーディフェンスの想定内で、余らせず、パスコースもきっちり抑えていたし、ターンオーバーからの切り返しが、あらかじめ用意されていたプレーであるかのように、的確な判断と正確なスキルでした。ポゼッションを取り返したら、次はなるべく時間と手数をかけずにテリトリーを挽回、その先にスコア。やることがわかっている。

サンゴリアスが単純なフィジカルやランニングスピードという面で、大きく劣るということはなかったと思いますし、とくに特別に講じられた戦術も(お互い)なかったように思いますが、スコアが大きく開いたのは、流れの中での状況判断と、それを実現するスキルの差に帰着するでしょう。総じて、CTB・WTBの差が大きかったように感じられました。

後半のブルーズ、超ロングパス~バックフリップパス~タップパス~外にステップを切ってトライを獲りきるまでの展開(数秒)は、「いいもの見さしてもらいました」という感じ。サンゴリアスの「ああぁ~」で終わるプレーとは対極でした。

局面局面で、スコア、ポゼッションの継続、テリトリーの維持の、どれを意図したプレーを選択するかの判断基準(プレー選択の優先順位)が「ある」と「ない」の差(これは指導者の問題でもあるので、容易に埋まらない)でもあったと思います。

クロスボーダー ワイルドナイツvsチーフス

一方、2月4日@熊谷、ワイルドナイツはベストメンバーを組んで、チーフスと対戦、勝ち切りました。この時期のクロスボーダーマッチに対して思うところはいろいろあったでしょうが、チームとしての姿勢の差が試合前から現れていたわけで。サンゴリアスも、サンチェス・松島選手以外にも国代表レベルの選手を並べていたら、だいぶ違った結果だったかもしれませんが、タラレバの話で。

不満はあれど、決まったことに対してやるべきことをやって、きっちり結果を出した上での批判・提言なので、重みが違いますね。というか、それが監督のこの試合に臨む目的でありモチベーションだったのかもしれません。

さて、結果を知ってから録画で見ましたが、試合の入りはチーフスの一気呵成の攻めを、ワイルドナイツがしのぎきり、その後はポゼッションもテリトリーも支配しました。むしろ前半2トライだけで終わってしまったのがもったいなかったくらいですね。

後半の入りもワイルドナイツペース、チーフスサイドは1トライ返したものの、イライラ感が醸し出されてきました。その後取り合いになりましたが、試合運びとしては危なげなくワイルドナイツが寄り切って勝利。ボーシェ(兄)選手、攻守に活躍していい恩返し、決めてました。

ワイルドナイツ各選手の、タックルをはずされかかっても離さず足止めして倒しきるand/or応援が早く到達してボールをいかさせない対応が、サンゴリアスとは大きな違いだったかな、と思います。2週間後の直接対決では、その辺がもろに出そうです。

チーフスとしては、オープン戦とはいえ、また代表クラスを落としたメンバーとはいえ、想定外の敗戦でしょう。去年、スーパーラグビーでは2回しか負けてないし。リーグワンとしては、やっぱりジャパンは進化してるな、の印象付けができ、いつ・どうするかは別として、またやろうじゃないかとお思わせることにつながる1勝。

また、クロスボーダーマッチをきっかけに、クラブ間の人的交流、とくに日本の有望若手選手が海外に移籍して1-2年プレーするルートが確立されると、長期的に有意義ですし、期待したいですね。結局のところ、球際、すれ違い際のせめぎあいのスキルは、経験してなんぼですからね。

今週末のイーグルスvsブルーズ、スピアーズvsチーフス、イーグルスもスピアーズも次のリーグ戦試合まで2週あるので、ベストメンバーで臨んでほしいと、見る側としては思うところですが、人繰りは厳しそうですね。けがのないことを願います。

日本代表候補合宿

ところで、日本代表候補合宿には、クロスボーダーで試合をする4チームを除いたメンバーが招集され、大学生が8人。

ちなみに、大学生8人のうち、青木(帝京)、秋濱(明治)、佐藤・矢崎(早稲田)の4人が桐蔭学園出身。今年でなく、その3年前の花園優勝メンバー。2027と、その次2031ぐらいまで見据えると、この世代が中核になってほしいですね。

その下の世代、180cm代後半くらいの身長のLO/FL/No.8の選手のうち、走力・パススキルのある人は、ぜひ、大学ではCTBへのコンバートにチャレンジして成長してほしいな、と個人的には思っています。