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ときどきラグビーひとりごと 20250115

今は昔、1月15日といえば、国民的には成人の日で、ラグビーは国立競技場で日本選手権の日でした。
しかし、成人の日は1月の第2月曜の祝日となり、社会人と大学生の力の差が開きすぎてラグビーの日本選手権はなくなりました。
とはいえ、成人の日の1月13日、大学選手権決勝が秩父宮は、ちょっと寂しいというか残念な気持ちになりました。国立で開催された高校サッカー決勝は、PKを10人ずつ蹴りあってようやく決着という熱戦で、それはそれで素晴らしいのですが、ラグビー協会、もうちょっと、何とかできませんでしたかね。

花園決勝

桐蔭学園40-17東海大仰星で、桐蔭学園が2連覇。桐蔭学園としては過去に3連覇を阻まれた国学院栃木を撃破し、決勝で敗れた大阪桐蔭と東海大仰星を破っての優勝で、リベンジ完了といったところ。

桐蔭学園前半2本目、左ライン際で、右左にリターンパスをつないでとった西本選手のトライが見事でした。後半4連続トライで完全に突き放したかと思われましたが、東海大仰星もあきらめずに2本返してノーサイド。

最後の最後まで両校の"Way"がぶつかりあった好試合でした。

一方で、三角形の面積(競技人口の厚さ)は、底辺×高さ÷2ですから、底辺を広げつつ高みも目指す、こういう試み↓、注目したいですね。

大学選手権決勝

帝京33-15早稲田で、帝京が4連覇。9連覇、3年空いて、4連覇、直近16年のうち13回優勝、21世紀の大学選手権の半分以上は帝京が優勝、すごいですね。

いろいろ見どころはあったと思いますが、前半は早稲田が、後半は帝京が、それぞれ20フェイズ以上自陣ゴール前で無反則でディフェンスし続けたところが、もっとも見ごたえがあり、鍛錬の成果が表れていたと思います。

早稲田も前年の屈辱を晴らす京産大戦でしたが、対抗戦で久しぶりに負けて兜の緒を締めた帝京の2ヶ月が、それを上回りました。教育の一環として行われる学生スポーツとして、それぞれのプロセスが素晴らしかったと思います。

佐藤主将はワイルドナイツ、青木主将はヴェルブリッツに加入するそうですが、それぞれNZ・オーストラリアのHC経験者がHCですし、南ア選手も在籍しコネクションがありますから、1シーズン国内でやったら、26-27シーズンはスーパーラグビーに武者修行に出てほしいですね。青木選手は姫野2世の道を歩んでさらに超えてほしいですし、佐藤選手は再びNo.8に戻って和製クワッガ・スミスを目指してもいいんじゃないかと(上の世代で桐蔭OBのフッカーが渋滞してますから)。ただ、今季ヴェルブリッツで青木選手の個人7連覇は、ちょっと難しそうですね。

リーグワン

4節終えて、まだ勝てないサンゴリアス、やっと1つ勝てたヴェルブリッツ。
はじめてサンゴリアスに勝ったブラックラムズ、そしてスティーラーズにはじめて勝ったダイナボアーズ。ディーロックスは未勝利ですが、ブレイブルーパスをひやりとさせる接戦。

次節で一通りカンファレンス内対戦が終わるので、今の力関係がほぼ見えてきます。ブルーレヴズvsブレイブルーパス、ヒートvsサンゴリアスあたり、注目したいところ。

傾向としては、「速く長いパス」を出せるプレーヤーが、決定機を演出するケースが増えているように思います。今後、高いレベルのSH・SOには、今まで以上にロングキックとレーザービームパスが必須スキルになるでしょう。加えて、SHはランナーとしてラインブレイクできたり、SOも普通に兼務できる(SOは普通にSHも兼務できる)ことも重要になってくるのでは。

それと、日本人で180cm台のCTB・WTB・FBに注目してみていこうと思っています。

用語変更

8つありますが、何と言っても、ノックオンがノックフォワードになるのが、ノッコン寺田ならずとも、「え、なんで」。

とはいえ、昔は言わなかったノックバック(何でもかんでも落球したら「ピッ、はいノッコン、スクラムねー」)が、プレー中にコールされることが増えてきたので、対応関係としてはロジカルで正しいと思います。

また、ゴールラインがトライラインに。TV実況や解説者の発する、トライラインとかサイドラインとかに、ゴールラインだろ、タッチラインだろ、といちいち気になっていましたが。

これは競技の成り立ちからいうと、大きな変更です。元々、トライはゴールキックを蹴る機会を得るためのもの(だからトライという)で0点でした。それが、だんだんとトライの価値が上がって、今はトライ5点、コンバージョン2点で、ペナルティゴールやドロップゴールの3点より低くなっています。

こんなルール改正は?

ここからはルール改正について私見というか妄想というか。

トライ6点・コンバージョン3点

本来、ラグビーにおいてもっとも価値があった、というより唯一得点となったのが、トライ後のコンバージョンです。しかし、今は2点でいちばん価値が低い扱いです。ゴール成功の価値はトライ後のコンバージョンが劣るわけではないので、せめて3点にしてよいのではないでしょうか?あわせて、切りよくトライも6点にして。

そうすると、1T1Gで9点で、PG3本で同点にはできますが、逆転不可能になります。逆にいうと、PG3本とられても、ワンチャンスで同点に持っていける可能性があります(前回W杯のイングランドvsアルゼンチンのような試合は生まれにくくなるのでは)。PG/DG6本(18点)=2T2G(18点)ですから、PGを狙える場所からトライをとりにいく選択の確率が上がるのでは。

また、今は1T1G(7点)差の時、1T+1PGで8点加算できるので、コンバージョン不成功でも2チャンスで逆転可能です。しかし1T1Gが9点差となると、1T1PGで同点にはできますが、逆転不可能になります。つまり、コンバージョンの価値が上がりますし、その成否が試合結果により影響するようになります。

こうなると、なるべく中央に近いところでトライをとった方が、コンバージョンで+3点の確率が上がるので、たとえばゴール前マイボールラインアウトの戦術も、単なるモールごり押しから、オープン側への展開をからめたものに変わってくるのではないでしょうか?

スクラムの「組み手争い」「待った」撲滅

もう1つ、「組まない」「組ませない」スクラムを減らせるルール改正を期待したいですね。

柔道でいったら、組み手争いに終始しているようなもので、「素早く組まない、または相手に組まれないような行為」には「審判によって厳格に指導が与えられる」そうです。指導は3回まで、4回目で失格負けですよね。

素早く組まない、または相手に組まれないような行為を行なった選手は、審判によって厳格に指導が与えられる。ある選手が、組み手争いの中で2回組み手を切ったあと、3回目に切った場合は「指導」が与えられる。

https://www.judo-ch.jp/rule/ijf_judge/kinsi/

また、相撲だったら、自分のタイミングではないからと「待った」をお互いに何度も繰り返しているようなもので、座布団と怒号が飛びますよね。勝ち負けを争うけれど、立ち合いは協力して呼吸を合わせるものです(だから、立ち・合い)。

ところで、私も中学3年間、1・2・3番を組みましたが、スクラムは組む瞬間がいちばん危険です。いちど、額が相手の肩に当たって頭が下に入らず、上にも抜けず、首が一瞬「詰まった」ことがあります。その瞬間、私の首に16人分の体重×加速度がかかったわけです。もう0コンマ何秒かその状態が続いたら、首が折れて死んでいたところです。また、組んで落ちるときは顔で地面を受けるのが鉄則(頭頂から落ちて後ろの押しが止まらないと首が折れます)。今思うと、よくやってたなと思いますが、40年以上前の話。そういうリスクは、今のプロトコルではかなり減っています。

ただ、昔の(プロトコルのない時代の)スクラムに、組む前の見苦しい駆け引きはありませんでした。90年代のW杯の試合映像をみても、ポイントにそそくさと集まって、やおら組む、って感じでした。斜めに押し込む、今でいうところのアングルとか、引いてホイールとかはよくありましたが。あと、首取り合戦(組んだ後、相手のあごの下に自分の後頭部をねじこむような感じにするイメージ)もやりましたが。

今は残念ながら、プロトコルの手順が増えた分だけ駆け引きのタイミングが増えてしまいました。安全確保を重視するなら、この際、思い切ってボールインまではノーコンテスト(それを守れなかったらペナライズ→+チームコーション→+イエローカード→レッドカード→繰り返して1列組めるプレーヤーが3人未満になったら失格負け)、ボールが入ってから、真っ向から真っすぐ押し合うルールにしたらどうでしょうか。試合時間は10分15分短くなり、インプレーの時間が増えますよ。スクラムの力の差があったら、結局、大学決勝の後半のようになるだけです。力の差がなければ拮抗したスクラムになるのでボール出すでしょう(今年のルール改正でアタック側のハーフが動きやすくなったし)。ボールイン後に押し切ってペナルティをもぎとったら、雄たけびあげるのも、気持ちはわかります。

ラインアウトも、スローインの前までは、いろいろ動きはしますが相互に1m以上の間隔を保って身体接触なし、ボールが投げ入れられた瞬間からの取り合い・競り合いです。スクラムもボールインからの取り合い・競り合いが合理的ではないでしょうか。