世にも珍しい河童祭りの話④〜お茶屋さん〜
そこは、お茶専門店で中に、小さなカウンターに6席程ある店内であった。
ただでさえ小さいのに、その中にスーツ姿の人が10人くらいいた。
何をしているんだろう?と思いながら、我々はカウンターに座った。
よく見ると、スーツ姿の人達はみなバインダーを持っており、
お茶に点数を付けているようだった。
とんだところにきてしまった!!
おっちゃんは、何故私たちをこのタイミングで店内に案内したんだ?!
と思いながらも、炎天下の中、出て行くのも勇気がいるので、
そこで休憩をとることにした。
私は、ソフトクリームを頼んだ。
「ソフトクリームをください」とおばさんに伝えると、
「はいはい、抹茶ねー」と言われ、抹茶ソフトがきた。
本当は、私はバニラも入ったミックスソフトが良かったのに、
おばさんの素早い動きに訂正する隙がなかったので、抹茶ソフトを食べた。
食べてみると、ものすごい美味しい!
今まで食べてきた抹茶ソフトの中で、一番美味しい抹茶ソフトであった。
さすが、お茶屋さんの抹茶ソフトである。
一人で満足していると、隣では、先輩が苦しんでいた。
「この組み合わせは失敗だ。どっちも甘い。ちょっときつい。」
と苦笑いしていた。
みると、羊羹とグリンティーセットを頼まれていた。
グリンティーは砂糖が入っているタイプのようで、どちらも甘い。
確かにこれはきつい。
先輩には悪いが、その様子を見て、
ますますこの抹茶ソフトが有り難く思えてきた。
本当に、美味しいソフトクリームを、ありがとうございます
と心の中でおばちゃんに再度感謝した。
私たちは、モノマネ大会の時間まで相変わらずくだらない話をしていた。
かつてあったコント番組、ごっつええ感じの話であった。
あのコントが好きだったという話をしているのに、
後ろではお茶の評論会も盛り上がっている。
「このお茶はいいですね〜」や「香りが良い〜」
等のお茶への褒め言葉が聞こえてくる。
おじさんが真面目な顔で、お茶を褒め合っているのに、
私達はすぐそばでコント番組の話をしている。
このシチュエーションだけで、十分面白い。
もう、河童のモノマネ大会なんてどうでもよくて、
ここで何時間も話し込んで、いつの間にか、
私達もこのお茶評論会に私たちも参加してしまえば、
良いのではないかと思えてきた。
しかし、気付けば14時をすぎており、そろそろモノマネ大会が始まる。
本来の目的は河童のモノマネ世界大会である。
お茶評論会も捨てがたいが、河童はなんせ世界大会だ。
やはり見に行くとしたら、こちらの方が珍しい。
しかも、先輩を夜勤明けでわざわざ来てもらっている。
見に行かないわけには行かない。
少しでも、河童のモノマネ大会がどうでもよくなったことを恥じた。
続く
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