まちづくり、企画のコツ7選 (プロジェクト・デザイン・パターンの32個から)
企画というと範囲が広すぎてバクっとしてますが。。都農町で日々まちづくりをすすめるにあたり、大きくわけると「新しいこと、価値を考える」か「いまうまくいってないことを変える、改善する」。これらを考えることが企画だと思ってます。
UDSの経営をしていた頃、一番のキモは企画でした。UDSの創業者、梶原さんが実践してきた企画のコツを、慶應SFCの井庭崇教授とともにパターン・ランゲージでまとめて2016年に出版したのが『プロジェクト・デザイン・パターン』。
時代や環境、ジャンルによって求められる企画は違うけれど、共通する成功事例や経験則はあるはず、それらを32個のコツとして言語化しました。
企画のノウハウ本やマニュアルはよのなかに山ほどありますが、必要なことは自分で考えてどう活用するか。『プロジェクト・デザイン・パターン』も、自分で考えるための手引きという位置づけ。
僕自身、いまの仕事にあてはめながら、日々アップデートして企画力を高めていきたいと思っています。
いまの自分の仕事におきかえて、特にいかせていると思っているパターンを7つ選んでみました。
地方で役場にいたり、これまで企画したことなくていきなり必要性が出た人に参考にしていただければ嬉しいです。
日々、企画をしている人には当たり前すぎて失礼かもしれませんが、我流になってないかの振り返りや抜け漏れチェックぐらいにはなるかもしれません。
1. 企画の哲学
企画に正解はなし。上司の意見や、やるべきこと、流行ってることなどに振り回されがち。まずは、自分なりの基準を持つことが重要。
いまの僕の基準は「新しくて、面白くて、意義のあること」
「それって町にとって新しいチャレンジになってるかな?」「関わる人が面白がってやり抜けそうか?」「本当に町の人の役に立つんだろうか?」などなど自問自答の日々をおくってます。
2. 買ってみる(住んでみる・行ってみる)
これはすでに実践済み(笑)。まちづくりの企画をするには、そのまちに住んでみることが一番。
あと、自腹を切ることは本当に大切ですよね。無料だと、もう一つ当事者感が高まらず人ごと的なアイデアになりがち。
3. 直に仕入れる
個人的に最重要視していること。Google全盛の時代、ほとんどの情報(二次情報)はネットで検索すれば出てきます。それだけに、ネットで出てこない一次情報の価値は高まってます。
精神論的に「現場がすべて」「足を運べ」というのも否定はしないんだけど、僕の場合は、どちらかというと出会った人から「いかに聞き出すか、引き出すか」を重視しています。
4. 仮組み把握(+ビッグ・ピクチャー)
企画をすべき対象の1レイヤーも2レイヤーも上位の概念、視点から俯瞰して、分からないこと(事業収支や運営のディテール、市場動向など)があっても仮置きして全体像を組み立ててみる事。
鳥瞰、俯瞰の範囲を限りなく大きくする癖をつけること(ビッグ・ピクチャー)が伴うと、すぐには効果でなくても5年、10年経つと強いことを実感。
ビッグマウスとかペテン師と呼ばれがちなリスク多少あり(笑)
5. アイデアの重ね合わせ
個人的に、もっとも実践しているパターン。他の人が出したアイデアをつなぎ合わせたり、足し引きするだけで、十分、新しくて面白い企画は可能(と信じてる)
まちづくりにおいては特に必要です。誰か一人のクリエイティブなアイデアで、町民全員がいい!と思える状況って想像しにくい。関わった人すべてのアイデアが大小の差はあれど混じり合ってると、楽しい。
6. 実現のリアリティ
企画が実現しない理由、ベスト3はお金、スケジュール、人員(独断)
順番というか並列思考がキモに。実現のリアリティありきで考えると、企画は死ぬほどつまらなくなりますよね。といって予算を知らぬふりして「えいっ」と出すんじゃ素人すぎて退場。
常にお金やスケジュールを念頭におきつつ、あえてそれらにとらわれない企画も立ててみる。提案するとき、「予算どおりやるとこんな感じです」で一案(もちろんベストを考え尽くした上)、「ただこういう風にするとこんなに良くなります、ちなみに予算はこれぐらい超過します」で2案目、って感じで予算を意識しながら複数案考えられると理想的です。(絶対、超過できない時はムダですが。。)
7. 未来を織り込む
まちづくりでもっとも重要なパターン。町役場がらみの仕事をしていると、選挙や任期、異動があるので、どうしても目先の数年で考えがち。
子ども世代や孫世代にとってどうか?という視点だけは忘れずに、と自戒。
以上、簡単な内容で当たり前のことばかりなのですが、僕自身、振り返るとついつい我流に、現状のリソース並べていろんな言い訳しながら、結局やれてないことが多いので備忘録がわりにまとめてみました。
同僚、仲間同士でフラットに話し合えると、もっと効果的です。そもそも企画は誰かから教わるものでも絶対的権威がいるものでもないので。