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地方のまちづくりにも通じる、仕事を楽しむために必要な3つのコツ

大学生と話してて必ず話題になる「仕事って楽しいんですか?」

彼らにとって唯一の判断基準は、身近にいる社会人。彼らが「仕事つまんねー」「仕事は大変」と言えば、そうなんだろーと思っても不思議ではない。

そもそも、だれにとっても楽しい仕事なんてものは存在しません。だいたいの仕事は、地道だったり面倒だったり、対人関係でストレスを生じがちなやっかいなもの。

いまぼくが都農町でやってるまちづくりの仕事も同様です。

「仕事の楽しみ方はあるんでしょうか?」

ぼくの場合、ラッキーなことに新卒時代の上司に体を張って教えてもらえたんです。

「楽しみ方のコツを覚えればいいんだよ」

その上司は、ぼくと一緒に地下鉄の梅田駅でホームにおりる階段を、突然両手を広げながら「ちょうちょ、ちょうちょ、」と歌いながら踊るように駆け降りました(実話)。周囲はザワザワ。気でもふれたのかと思ったけど、

「敬文ちゃん、そんな顔してたらモノは売れないよ。楽しいことして笑ってないと」

いや、笑う前に引くけどな、と思いつつ。

まぁ、その方法論は別として、たしかに、新卒で全然営業できなかった自分の顔は、そのとき鏡でみればしみったれた表情だったことは想像できます。

階段ひとつおりるのも、楽しくおりようと思えばできるし、なにやれば楽しいか、頭も回転してくる感じにはなりました。

その上司は、毎日18時をすぎると、額にキャンディーの銀紙をはりつけ、ゴミ箱の上にのっかりながら、笑顔でジリジリと向かってくる(実話)

「敬文ちゃん、そんなつまんない顔して仕事してないで飲みにいこうよー」

飲めない僕を毎日誘うとはすごい人だな、と思いつつ、たしかにつまんなかったので同行。

ひとたび飲み屋につくと、ふざけた話8割ながら、ちょいちょい商品開発のアイデアが出たり、話しているうちに企画のイメージがわいてきた。いまでいうブレストしてたんですね!

こんな新卒時代を過ごすことができたぼくにとって、どんな仕事も、
・気のもちようだったり
・身体で表現してみたり
・場所を変えてみたり
自分の工夫と行動次第で楽しくなるんだということを学べました。

仕事を楽しめるコツを身につけたおかげで、その後、
・身寄りのない地方に移住して仕事をしてても
・その仕事が経営破綻でおじゃんになっても
・東京で再就職して、その会社の経営をするようになっても
・民事再生になっても
・都農町に移住・起業しても
どんなときも仕事を楽しめていることだけはたしかです。

自分なりに仕事を楽しむために必要なコツを整理すると3つあります。

1.全容と意義がわかる

コピーとりでも、飛び込み営業でも、
・なんのためにやっているのか?
・これをやった先に何があるのか?
イメージできると楽しくなってきます。

ぼくの場合、新卒時代、ポーラという大企業ながら新規事業開発部に配属いただけたことで、擬似的に起業体験ができたのはありがたかったです。

なにもできない新卒でも6人しないないメンバーの対等な1人。

とにかく新しい商品を開発して、異業種の食品・菓子業界にこんなインパクトを起こすぞ!とか、化粧品メーカーにとって、この多角化は会社の若い顧客を増やすんだ!(当時の考え)とか、日常的にいまでいうビジョンやミッション的な話であふれてました。

現実にやってる仕事は、倉庫で在庫の段ボール数えたり、返品商品の仕分けとか、駅前で配るためのサンプル梱包とか、くそつまらない仕事ばかり。でも、無意識のうちに、「これをやれば、これにつながる」という方程式ができてたから楽しんでました。

マネジメントの立場で考えると、メンバーへ仕事をお願いする際に、
仕事の全容と意義をわかりやすく言語化して伝えていくことはマストです。会社のMVVはけっこう言語化されてますが、一つひとつの仕事の全容と意義は省略しがち(あるいはそもそも言語化できてない)です。

地方のまちづくりでよく聞く文句や不満
「これがどうつながってくかわからない」
「なんのためにやってんのかわからない」
これらを解決するのも「全容と意義」
まちづくりを自分ごととして楽しむ人が増えていくためにも大切なことだと思ってます。

2.自分で考えて決める

同じ仕事があるとして、
A 上司から指示されてやる
B 自分で考えて決めてやる
どちらが楽しいかと言えば99%Bでしょう。

仕事をはじめてみて、ぼくはことさら人から指図されるのが苦手だということが判明しました。いま経営している最大の動機は「人から指図されたくない」ことかもしれません。

どんな些細なことも、自分なりに考えて、自分の責任で決めて動けば、失敗しても納得感は残ります。納得さえしてれば自ら反省し改善するサイクルも自走するのではないでしょうか。

「自分で考えて決める」「楽しむ」に直結するためには、スキルや経験、周囲の環境が影響するので一朝一夕ではありませんが、まずは行動習慣になっていけば、必ず楽しめるようになると信じてます。

マネジメントの立場で考えると、一人ひとりに考える余地をつくり決めた結果のリスクを許容する覚悟がないと、理想論で終わってしまいがちです。これが一番むずかしいところで、みんなが仕事を楽しむには不可欠と思ってぼくも試行錯誤中です。

地方のまちづくりにおいて理想のゴールは、住民一人ひとりが「自分ごと」で考えること。シチズンシップ、とことばにすると難しいですが、町や地域に対する誇りや愛情の根っこは、自分ごとかどうかにかかってきます。そのためには、一人ひとりがまちのことを自分で考え、決めていく(いけると思える)ことが必要です。

3.仲間と共感し合える

おおくの仕事は一人ではできません。一緒に仕事する相手は、自分で決めることができないことがほとんど。所与のものとして受け入れざるを得ません。この相手との関係性が「仕事が楽しくなくなる」きっかけ、ストレスの発生源になりがちです。

なんでも気が合う人なんてこの世に存在しないので、一緒に仕事をする人と共感し合えるポイントを探す努力と工夫が求められます。

自分の経験上、相性がよくない相手とも、1で紹介した全容や意義を含め、時系列や範囲をひろげて仕事の話をしていくと、一つやふたつは共感できるポイントが見つかるものです。(見つかったと思い込むことも時に重要)

積極的には、共感し合える仲間をどんどん探していくことだと思います。

そのためには、共感に値することを言語化しておくことをおすすめします。建物をつくる仕事であれば、自分が好きな建物や建築家など具体的な事実やエピソードは常に画像や動画データを出し入れしやすいよう用意しておくと、相手とイメージが共有しやすく共感ポイントを見つけやすくなります。

マネジメントの立場で考えると、1 on 1ミーティングなどで一人ひとりの興味関心や将来ビジョンなどを幅広く把握しておくことにつきます。そうすれば、いざチームビルディングする際にも、共感しやすい組み合わせをイメージしやすくなります。

地方のまちづくりにおいてはこの共感し合える仲間づくりが一番大事です。まちづくりは、具体的な成果や業務の特定が難しく、期間も定かでない仕事です。それだけに、価値観やビジョンに関わる共感は、持続的に取り組んでいく際、もっとも重要な要素になります。

4.お客様の称賛

もっとも究極の仕事を楽しむコツは「お客様からの称賛」です。

「満足」=期待値
「称賛」>期待値

どうやったらお客様の期待値を超えられるか?

自分の中で常に問い続けながら、仕事の全容と意義を理解し、自分なりに考え抜いて、勇気をもって決める。そして共感し合える仲間とアクションを起こしてお客様から称賛を得る。その結果、ますます仕事が楽しくなって、お客様からさらに高い期待値をいただけるようになる。

ぼくが長年、経営をしていて、業種・業態、都市・地方を問わず追求している理想のサイクル。めったやたらに実現しないだけに、ぼくにとっては不滅のテーマです。

5.仕事を楽しむことの重要性

衝撃的な新卒上司からの薫陶をうけたぼくは、仕事を楽しむことが仕事の目的にまで出世しました。

キッザニア事業を立ち上げた時の動機も同じでした。

お父さん、お母さんたちが家で「仕事はつらいよねぇ」「仕事は大変なんだよ」とグチ半分で言ってたら、子どもたちは仕事に夢も希望も持てません、その上、就活となったら仕事をはじめる時点で楽しめないようになっちゃいます。

子どもたちにいろんな仕事を体験してもらうことを通して、「どんな仕事も楽しみ方はあるよ」が伝えたいメッセージ。ぼくなりにキッザニアへコミットした理由です。

予測不可能で、日常的に、やれ創造性やらイノベーションやら探究と言われる時代。むずかしいことはわかりませんが、なによりもまず、仕事を楽しめるようにならなければスタートしないのではないでしょうか。

「仕事を楽しむ」ということばは、ゆとりやゆるさを醸し出しますが、「どうすれば楽しめるのか?」、もっと真剣に会社も個人も、追求していくべきテーマだと思ってます。




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