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これからのマネジメントをパターン・ランゲージで考える
アフターコロナを見据えて、先週はファシリテーションについて考えてみました。ファシリテーションに関わる色んな人たちからご意見や最新のアプリとか手法も教えて頂けて、自分のアップデートにもつながりラッキーでした。ありがとうございます!(あじをしめて)今週は、より大きな論点で経営・マネジメントについて日々実践しながら考えてることの一部を少々。
オンラインやテレワーク、働き方や、仕事の進め方は激変するけど、僕なりに考えるマネジメントの本質「一人ひとりの可能性を引き出し組織で成果を上げていく」は全く変わらないと思ってます。
表面の波には柔軟に乗りつつ、水底には足をつけて潮流に少しずつ合わせて水中を歩いていく感じ?歩みが遅く、思い通りにも進まずじれますが辛抱!
これからのマネジメントで大切なポイントは3つあると思ってます。
1.ポートフォリオ思考
2.ハイブリッドに編集する経営
3.パターン・ランゲージ
1.ポートフォリオ思考
ホテルならインバウンド・4大都市圏・ローカル、あるいはリゾート・旅館・ビジネスなど1つの業態、ターゲットに絞り込むのではなく、いくつかの業態、エリア、ターゲットに分散させることが求められます。
飲食店ならイートイン、テイクアウト、デリバリー、ECサイトなど。
平成時代に経営の教科書で言われていた「選択と集中」
考え方に少々アレンジが必要かと思います。
限られた経営資源なので結果的には選択して集中しないといずれも中途半端に終わってしまうのは変わりませんが、環境的に分散させる必然(物理的に休業を強いられる)が出てきた中で、なるべく、事業同士が遠い関係で縁切りしやすいポートフォリオを組むことが必要になってきます。
組織、人におきかえれば、多様な人材を集めておかないと、同質化が最大のリスクになるかもしれません。
といって、スキル先行で達者な人たちを集めても単に好き勝手でバラバラになり、結果的に企業として共感を集めにくくいずれの事業も廃れる、ということも容易に想定されます。
どうやら、今まで以上に何のためにやるのか、社会にどういう価値を提供するのか、どう成長したいか、といった抽象度の高い哲学、概念をわかりやすく言語化して根っこがおなじ考え方、価値観でつながれる組織を作る必然が高まってるように思います。
2.ハイブリッドに編集する経営
かつ、状況に応じて、ここ一年なら自粛と緩和の狭間の中で柔軟に100%オンラインとか、50%オンラインで50%はリアル、など環境変化に柔軟に組み合わせていく思考を経営者は鍛えなければなりません(自戒自戒)
ビフォーコロナからすでにそうでしたが、これからは二項対立マネジメントはますます廃れていきます。白黒つけるのではなく第三、第四の選択肢も取り入れていく、みんなが同じ働き方を強いられる人事規定とかさっさと無くした方が良くなりそうです。
経営者の役割は限りなく編集者に近くなるんだと思います。
ま、もともとそうですが、時代の先読み(というより危機・リスクの見通し)、ターゲット層の設定、事業・人材の構成などを臨機応変に巧みに組み合わせることのできる経営者が、これから、とくに、ここ一、二年を凌いでいける人なんだろうなと実感してます。
3.パターン・ランゲージ
状況変化が激しく、大きくパラダイムごと変わるかという時に、必要になるのが環境・時代を超えた不変の経験則、コツをどう見出して言語化するか。
かれこれ7年ほど、慶應大学SFCの井庭崇教授と研究室の皆さんと、パターン・ランゲージを活用したまちづくりやマネジメントについて共同研究を続けています。
属人的な領域、暗黙といわれるジャンルにこそ、ナレッジ化する原石がゴロゴロある、それを一つひとつ紐解いて類型化して次世代に伝わる平易な言葉にまとめていく、というのが僕なりのパターン・ランゲージの効用です。
まずは、自分たちのやってることから、という事でUDS時代に、「企画」というものにチャレンジしました。とくに、建物とかまちづくりにおいて。
より多くの人たち、とくに学生さんにも見てほしくて翔泳社さんに共感頂き出版することもできました。
第2弾は、これも属人的かつ暗黙知の典型領域「おもてなし」
ここは少し提言形も入れて、過去の経験則だけではなく、インバウンドも見据えてこれからのニーズという観点で「創造的おもてなし」をテーマに出版しました。
ということで前段長くなりましたが、第3弾で今年出版を予定していたテーマが「マネジメント」です。
まとめるとこんな感じ↓
今年の3月でUDSを退任することを決めていたので、UDSという会社で20年近く自分がやってきたマネジメント、とくに組織と人に関わる考え方やアクションを、次世代に伝承する、そんなリアルなニーズもあったので井庭研の皆さんと約一年前から取り組み始めてます。
自分だけだと、客観性が低まるので、社員一人ひとりの可能性を大切にしていると勝手に共感してて近しかったソウ・エクスペリエンスの西村琢さんにもSFCキャンパスまで来て頂いて井庭さんと3人でオープンディスカッションして思考を拡げてきました。
一通りのパターンの枠組みもできてきて、テーマは「創造的マネジメント」として、マネジメント本人が心得るべきこと、対個人にどう接するか、チームをどうまとめるかという3つの枠でこれからブラッシュアップしていこうという矢先のコロナでした。
先週、ZOOMで井庭研メンバーと、これからどうアレンジしていくかについてオープンに話し合いました。
結論、パターン・ランゲージは、そもそも過去の経験則や成功体験のエッセンスをまとめたものなので、これから、オンラインやテレワークが主流になったところで、本質は変わらないもの、と整理しました。
とはいえ、実践、実現のための思考ツールなので、実現に大きな影響を与える働き方やコミュニケーション手段が変わっていくのであれば、柔軟に解釈に選択肢を作っていかなければならないと思います。
3つに分けて考えてます。
①より強化していくこと
経営者が社長室やデスクにいて、管理監督、捺印担当になってはダメで、正解のない不確実な環境では、先陣切って新しいことを創り出す動きに時間を使わなければならないし、経営者にしかできないフライングをすべきと。
コロナによる影響は地域により、業種業態により、資本規模により、それぞれで一概には言えません。
ただし、インバウンドや飲食、エンタメなどこれまで活況を呈してきた業態や業種が一時的か恒久的かは別にして停滞することは間違いなく、経営者自らが先陣切ってどんどんアクション起こしていかないといけない状況です。
自主性に任せて、みんながやりたいことやる、では資金が持ちません。
もう一つ、これはパターンにもしたいと思ってたんですが、すごく幼稚ながら「明るく、元気に、楽しくやる」はより大事になるかなと。
「面白がり力」とも言えるかもしれません
やはり、経営者自身が、厳しい環境の中で面白い発見をしていくことで、明るく元気が出て楽しくなってきて、結果、みんなを巻き込んでいけるのではないかなと思います。
②いまのままでいくこと
一人ひとりと話したり、社員の背中を押す、あるいは親身になって働き方の相談にのるのはオンラインの方がやりやすい分もあると思うので、これまで通り、丁寧に接していくべきです。
僕が経営で一番こだわってきたのは、一人ひとりと話す事でした。
相手の勤務地に行って会議室などで実施してきましたがオンラインの方が、お互い話しやすくなっていくのではと思います。
対話って、その場の空間とか空気にかなり影響されますよね。
ポジティブにもネガティブにもなる。
ま、だから空間の創り手としては仕事も頂けてたんですが。。笑
例えばホテリエメンバーとは、そんなに会議室もないので、空いてる客室で実施する場合も多かったです。密閉空間で少し硬くなったり、とくに女性の場合はお互い気を遣うし、と考えると、オンラインの方が、空間の与える影響度がない分、慣れれば安定した対話ができるかもしれませんね。
③柔軟に変えていくこと
ゆるいコミュニケーションや、採用、表彰は、やり方を変えていかないとですね。。
ZOOM飲み会もすっかり浸透してきましたが、今は自粛疲れのガス抜き、癒しとして、あるいは今までにない新鮮さで話題にはなりますが、これからは、新しいやり方を考えていかなければなりませんね。
ハイブリッドというキーワードも述べましたが、全員がリアルという事ではなく一部の人はリアルに参加、でもZOOMでも同様に参加し、色々なスタンスの人たちがリラックスしながら交流を深める。このような現象をどうやれば実現できるか、僕自身も目下、現在進行形で試行中です。
いいやり方あったら、ぜひ教えてください!
これから毎日、緩和or自粛の変化に身を委ねながらも、明日の食いぶちを確保し続けるためには、経営者は考え続けなければならないですね。。
がんばりましょう!がんばります。