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ソダシのダート適性について考える

2月20日に東京競馬場で行われるフェブラリーS。レースの傾向についてはまた来週に取っておくとして、今回は白毛の桜花賞馬ソダシのダート適性について考えていきたいと思います。

まずは、「サラブレ 2020年9月号」で書いた新馬戦後の評価がコチラ。

 楽に2番手につけて折り合いピッタリ。4角出口で先頭に立つと、メンバー中上がり3F最速の末脚で新馬勝ちを挙げた。スローペースの分、勝ち時計は平均的だが、上がり3Fは12.0-11.7-11.6と加速ラップを計時。立ち回りの上手さ、底を見せない末脚など新馬戦としては申し分ない競馬であった。
 母ブチコはダート中距離で4勝。母母シラユキヒメから繋がる牝系はユキチャン(08年関東オークス)やハヤヤッコ(19年レパードS)などダート巧者が多いが、Halo≒Droneの2×4など生粋のダート牝系というにはやや軽さが目立ち、下級条件では芝もこなす馬が多い。本馬もダート馬としてはスマートな体つきでフットワークも実に柔らかい。トップスピードの上限を考慮すると、将来的にはダートの方が出世の可能性は高いだろうが、世代限定戦の内回りや小回りコースなら引き続き芝でもやれるだろう。

サラブレ 2020年9月号

クロフネ産駒らしい素晴らしい持続力を見せてくれて、その勢いのままにハイペースの札幌2歳Sも制覇。レースセンスの良さとスピードの持続力は現在も変わらずソダシの長所だと思っています。

ただ、予想以上だったのはトップスピードの速さ。3戦目のアルテミスSでは上がり3Fを11.3-11.1-11.5程度でまとめ、水準の瞬発力を備えていることに改めてソダシの強さを感じた一戦でした。あれを見せられると阪神JFでも本命を打つしかないなと。その後、2歳女王に輝き、桜花賞も制し……(以下省略)。

シラユキヒメ牝系の秘密

話を戻して、ソダシのダート適性についてですが、私自身は新馬戦後の印象から変わらず、ダートも問題ないと思っています。ただ、「ダートの方が出世の可能性が高い」という考えについてはさすがに難しいかなと。ダートの出世基準が関東オークスなどの牝馬限定の地方交流重賞でしたから。

ソダシ

血統面でのダート適性の根拠は新馬戦後に書いている通りで、シラユキヒメ一族はそのほとんどが加齢とともにダート路線にシフトしていく傾向にあります。シラユキヒメ一族の芝とダートの勝利数は芝17勝、ダート33勝。芝でもまずまず活躍しているように見えますが、古馬になってから芝で勝利したのはハウナニとメイケイエールの2頭のみ。しかも、2頭とも芝1200mでの勝利です。これは、芝マイル以上で必要な柔軟性に欠ける点がその一因といえるのではないでしょうか。

シラユキヒメ牝系はHalo≒Droneの影響もあり、ダート一族にしては軽さが目立つ牝系であることは間違いありません。ただ、母ブチコがそうであったように、キングカメハメハ系との組み合わせでNureyev≒Topsiderを形成し、さらにクロフネが持つRobertoがキングカメハメハのKingmamboと刺激し合ってよりパワー型にシフトしていく。配合のツボを押さえた素晴らしい流れではありますが、ダート馬に仕上がることも自然な流れともいえます。これを、金子血統で作り上げるのが何よりもすごいことなんですが。

ちなみに、メイケイエールはキングカメハメハを経由していません。シラユキヒメの孫以降、かつ2勝以上挙げた馬でキングカメハメハを持っていないのは同馬だけですから、メイケイエールの柔軟な走りはまさに異端児のそれですね。

メイケイエール

さらに、ソダシは馬体面でもダート適性を表しています。というか、血統通りの馬体というだけなのですが、立ち肩&立ち繋で掻き込みの強い走り。無駄肉の少ない馬体ではありますが、ダートを苦にするつくりには見えません。ただ、それに加えて、四肢の柔軟性に優れている点がソダシがソダシたる所以であり、芝のクッション性をうまく活用できることが他のシラユキヒメ牝系の馬との違いというわけです。

ソダシがチャンピオンズCで負けた理由

では、なぜソダシはチャンピオンズCで負けたのか。

一言で言ってしまえば、「ダートの一流馬を舐めんなよ!」というだけの話です。これは、ソダシを過小評価しているわけではなく、ダートの一流馬が如何に強いか、という話です。

まず、そもそもダート競馬は牡馬優位が基本です。

2000年以降の芝GⅠ(古馬&牡牝混合)での性別成績
2000年以降のダートGⅠ(古馬&牡牝混合)での性別成績

2000年以降の古馬&牡牝混合GⅠに限ると、芝では牝馬の成績が優秀なのに対して、ダートでは牡馬が牝馬を圧倒しています。そもそも、牝馬の出走数自体が芝では全体の約15%程度なのに対して、ダートでは約6.7%とGⅠを狙うことすら難しいわけです。

これは、いろいろな理由が考えられますが、1番の理由は馬体重の問題でしょう。馬体重は「牝馬<牡馬」の傾向にあり、「芝<ダート」が基本です。さらに、たとえ同じ馬体重であっても牝馬の方が脂肪が多い分、筋肉量は牡馬の方が多くなる傾向にあります。

ですから、日本のダート競馬の最高峰であるフェブラリーSやチャンピオンズCで勝ち負けになることはそんなに簡単なことではなく、同時にサンビスタ(2015年チャンピオンズC)が如何にすごかったかということを実感するわけです。

ダートGⅠで必要なモノ

また、マイル~中距離の古馬混合重賞は世代限定戦、特に牝馬限定戦のペースより厳しくなることが普通です。しかし、1F12秒前後のラップを9F前後も続けることはレースでしか経験できません。したがって、瞬発力勝負ならハンデをもらえば古馬と対等に戦えても、消耗戦では経験とトレーニングの差が大き過ぎる、というのが私の自論です。

これらが、ソダシがチャンピオンズCに負けた理由と考えられることで、「ダートの一流馬を舐めるんなよ!」と思うわけです。

ただ、私自身はソダシのダート挑戦に大賛成ですし、その理由は前半に書いた通りです。ソダシはまだまだこれからの馬です。サンビスタがチャンピオンズCを制したのは6歳時ですし、トゥザヴィクトリーがフェブラリーSで3着と好走したのも5歳時のこと。一度躓くと散々な言われようをされますが、負けて強くなる名馬が私は大好きです。

馬券はドライに、ですけどね(笑)


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