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【種牡馬四季報】フランス・ドイツ 2024年スタートダッシュと新種牡馬解説

競馬オタク・坂上明大が
四半期ごとに国内外の種牡馬事情を解説していきます。


~リーディングサイアー(フランス)~

昨年9位だったZarakが現時点で唯一100万ユーロを超える賞金を稼いでトップの座に君臨している。4戦3勝でGI仏2000ギニー(芝1600m)を制したMetropolitanが稼ぎ頭で、ほかにも仏GIガネー賞(芝2100m)勝ち馬のHaya Zarkも出ているように大レースでの活躍が目立っている。Zarak自身は現役時代のGI制覇がサンクルー大賞のみと種牡馬としては地味な戦績だが、その母Zarkavaが凱旋門賞など仏GIを5勝している名牝で、Dubawi系で唯一のトップ20入りという点も大きな特徴だ。

昨年3位のSiyouniは現在2位。集計期間中にはGⅠ勝ち馬を出せていなかったが、その後にMqse de Sevigneが仏GⅠイスパーン賞(芝1850m)を制覇。また、後継種牡馬City Lightも13位にランクインし、今年は代表産駒Sottsassの初年度産駒のデビューも控えている。貴重なNureyev直系の血は脈々と受け継がれていきそうだ。

昨年6位のAnodinは3位にランクアップ。デインヒルもGreen Desertも経由しないDanzig系種牡馬だけに、その血を継ぐ有力後継馬の出現に期待だ。ほかのDanzig系種牡馬では、14位にZelzal(父Sea the Stars)、16位にShalaa(父Invincible Spirit)、17位にKingman(父Invincible Spirit)、18位にTerritories(父Invincible Spirit)がトップ20にランクインしている。

4位Lope de Vegaも昨年8位からのランクアップ。本馬は英愛リーディングでも現在4位に付けているようにヨーロッパの広い範囲で活躍しており、今年の仏1000ギニー(芝1600m)を制したRouhiyaもLope de Vegaの産駒だ。Storm Cat~Shamardal父系らしい短距離~マイル戦向けのスピードを主に伝える種牡馬で、仏GIデューハーストS(芝1400m)、ロッキンジS(芝1600m)のBelardoやGIフェニックスS(芝1200m)のLucky Vegaといった後継種牡馬の台頭にも期待したい。

5位は昨年の2歳リーディングサイアーWootton Bassett。Mr.Prospector父系の中でもスピードと早熟性に秀でたGone West系ではあるが、母母Susquehanna Daysはスタミナ色が濃く産駒は配合次第で距離をこなせそう。後継種牡馬のAlmanzorも12位にランクインしており、今後勢力を伸ばしてきそうな注目の父系だ。

父系別では上位20頭中13頭がNorthern Dancer系で、Mr.Prospector系が3頭。サンデーサイレンス系が1頭、Nasrullah系が2頭、その他(In Reality系)が1頭という内訳。もう少し細かく見ていくと、Northern Dancer系の内訳はGreen Desert系が4頭、Galileo系が3頭、Galileo以外のSadler's Wells系が
2頭。Nureyev系が2頭、Storm Cat系が1頭、Danzig系が1頭となっている。Mr.Prospector系の内訳はGone West系が2頭、Dubawi系が1頭。Nasrullah系の内訳はBlushing Groom系が1頭、Grey Sovereign系が1頭。

~リーディングサイアー(ドイツ)~

ドイツはビッグレースが下半期に集中しているため現時点での順位は大きな意味を持たないが、現在のトップ2はIn The Wings直仔のAdlerflugSoldier Hollow。ほかのSadler's Wells系種牡馬では、Galileo系のNathanielが10位、Massaatが12位、High Chaparral系のTai Chiが13位にランクインしている。

3位Mastercraftsmanは2008年愛ナショナルSなどを制して欧州最優秀2歳牡馬に輝いたDanehill Dancer直仔。ほかのデインヒル系種牡馬では、4位にCounterattack(父Redoute's Choice)、20位にHoly Roman Emperor(父デインヒル)がランクインしている。

5位には現在の仏リーディングサイアーZarak。同馬は昨年の独リーディングサイアーTOP20で最も若い種牡馬だっただけに、今年はさらに大きな成果を残しそうだ。

父系別では上位20頭中12頭がNorthern Dancer系で、Nasrullah系が4頭、Mr.Prospector系とMonsun系が2頭ずつ。ちなみにNorthern Dancer系の内訳はSadler's Wellst系が5頭、Danzig系が4頭、Storm Cat系が2頭、Nureyev系が1頭。Nasrullah系はMill Reef系が2頭、Bold Ruler系とGrey Sovereign系が1頭ずつ。Mr.Prospector系はDubawi系とMiswaki系が1頭ずつ。

~新種牡馬 フランス/ドイツ~

Moises Has
現役時代は障害レースで7戦3勝。障害GIルノー・デュ・ヴィヴィエ賞(芝3900m)を制した活躍馬で、フランスでは障害馬といえど去勢されず牡馬のまま活躍して種牡馬入りするケースも多く、当馬もそのパターンで、初年度から147頭に種付けを行っている人気種牡馬。父はLyphard系のMartalineで、父祖LyphardはGIジャックルマロワ賞 (芝1600m) やフォレ賞 (芝1400m)を制したスピード馬だが、代を経てそのスピードは鈍化して長距離へシフトしている。

Hello Youmzain
GIスプリントC(芝1200m)とダイヤモンドジュビリーS(芝1200m)の勝ち馬で、父Kodiacはパワーとスプリント力を伝えるデインヒル、母の父ShamardalもStorm Cat系らしいスピード型。4代母Sayonaraはドイツオークス2着の実績馬で、母方はスタミナを秘めた血統構成をしている。自身はスピード馬だが、母方の奥のBirkhahnやTicinoといったドイツ血脈を増幅すればある程度距離をこなす産駒も出現しそうだ。

Persian King
GI仏2000ギニー(芝1600m)、イスパーン賞(芝1800m)、ムーランドロンシャン賞(芝1600m)を勝ったマイラーだが、凱旋門賞(芝2400m)でも3着に好走した履歴がある。父Kingmanは日本でNHKマイルCを勝ったシュネルマイスターの父としてよく知られるGreen Desert系のマイラーで、母の父Dylan ThomasはGI愛ダービー(芝2400m)やキングジョージ(芝2400m)、凱旋門賞(芝2400m)を制したデインヒル系の中長距離馬。自身はDanzigの4×4を持ち産駒も基本はスピード型に出そうだが、底力あるKris=Diesisの4×4のインブリードを持ち母の配合次第では距離もこなせそうだ。

Romanised
2018年愛2000ギニー(愛GⅠ・芝8F)、2019年ジャックルマロワ賞(仏GⅠ・芝1600m)を制し、フランスで種牡馬入り。デインヒル系Holy Roman Emperor直仔らしいスピードを武器にマイル路線で活躍し、種牡馬としても仕上がりの早さとスピードが武器になりそうだ。

Wooded
3歳時に仏GⅠアベイドロンシャン賞(芝1000m)を制したスプリンター。父は昨年の仏リーディングサイアーWootton Bassettで、本馬は父祖Gone Westの4×4のインブリードを持つ形。Gone West系らしい早熟性とスピードを産駒に伝えてくれるだろう。


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