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【新種牡馬研究】リアルスティール

ドバイターフを制した世界的良血馬

<馬名>
リアルスティール
 <プロフィール>
2012年生、ノーザンファーム産、17戦4勝
<主な勝ち鞍>
2016年ドバイターフ(芝1800m)

リアルスティール

3代母Miesqueは1987、88年BCマイル連覇などGⅠ10勝を挙げた名マイラー。繁殖牝馬としてもKingmambo(1993年仏2000ギニー、St.ジェームズパレスS、ムーランドロンシャン賞)とEast of the Moon(1994年仏1000ギニー、仏オークス、ジャックルマロワ賞)という2頭のGⅠ馬を輩出し、本馬の母母MonevassiaKingmamboの全妹である。Monevassia自身は未勝利馬だが、繁殖牝馬としてはRumplestiltskin(2005年モイグレアスタッドS、マルセルブサック賞)などを出している。

母ラヴズオンリーミーはStorm Cat産駒の未出走馬。日本にはDanehill Dancer産駒の初仔を宿して輸入され、本馬の他にもラヴズオンリーユー(2019年オークス、2021年クイーンエリザベスⅡ世C、BCターフディスタフ、香港C)やラングレー(2016年洛陽S)、プロディガルサン(2015年芙蓉S)などを輩出している。また、初仔ラッドルチェンドは繁殖牝馬としてテルツェット(2021年ダービー卿CT、クイーンS)を出しており、同馬は本馬と3/4同血の関係にあたる。

父ディープインパクトは国内外で14戦12勝の競走成績を残した日本競馬を代表する歴史的名馬。入厩時に厩務員が本当に牡馬なのかと疑い股間を覗いたというエピソードがあるくらい華奢な体つきで、馬格に恵まれた全兄ブラックタイドと比較すると決して見栄えのする馬ではなかった(ブラックタイド:当歳セレクトセール9600万円、ディープインパクト:同7000万円)。ただ、ネコ科のような身体の柔軟性を持ち、小柄ながらも馬体のバランスは文句なし。バイオメカニズム的にも理にかなった走り方だったと言われている。母ウインドインハーヘアは現役時代に独GⅠアラルポカルに勝った中長距離馬。その母Highclereは父がFair Trialの3×3、母がHyperionの3×2とそれぞれインブリードが強い。「Hyperion+Son-in-Law」は粘り強さや底力を増すニックスとして有名で、さらにその仔ウインドインハーヘアはFair Trialを2本、Hyperionを1本追加した配合。ディープインパクトといえば瞬発力というイメージが強いが、2006年天皇賞春でレコード勝ちを挙げられたのは母方のFair TrialやHyperionからスタミナや底力を受け継いだおかげというわけだ。また、代名詞である瞬発力は父サンデーサイレンスから受け継ぐものであり、さらにはHalo≒Sir Ivorの2×4も手助けとなっている。柔らかくバネのような体質はここに由来し、ディープインパクト産駒の切れるイメージはサンデーサイレンスやHalo≒Sir Ivorらしさといえるだろう。本馬を筆頭に数多くのGⅠ馬を輩出しているディープインパクト×Storm Catの相性の良さはここに起因し、さらには小柄な馬体をサイズアップさせた点も両馬の好相性に繋がっている。

本馬自身は欠点の少ない芝中距離馬で、芝1800m以上で掲示板外に沈んだのは1度のみ。気性面でも大きな癖はなく、初の海外遠征である2016年ドバイターフでは欧州の強豪らを下して初GⅠタイトルを手にした。きょうだいの中でも特に母母Monevassia(=Kingmambo)の万能性を強く受け継いでおり、種牡馬としても幅広いカテゴリーでの活躍が期待できる。

特に注目したいのは、やはりMonevassia=Kingmamboの全兄妹クロスだろう。この配合形はキングカメハメハが大成功を収めた日本では容易に形成できるもので、万能、かつ良血のインブリードでもあるだけに大きな期待を寄せずにはいられない。

Kingmambo

また、Kingmamboの母父Nureyevに焦点を当て、Nureyev≒Sadler's Wells≒Fairy Kingなどを形成する配合形も○。ディープインパクト×Storm Catの軽さを兼備するリアルスティールの仔であれば、同血脈が重くなり過ぎる心配も少ないだろう。

Nureyev
Sadler's Wells
Fairy King

さらには、Robertoと組み合わせることで「Monevassia(=Kingmambo)+Roberto」を形成する形も楽しみ。この組み合わせの相性の良さはラブリーデイ(2015年宝塚記念、天皇賞秋)、レイデオロ(2017年日本ダービー、天皇賞秋)、チュウワウィザード(2019年JBCクラシック、2020年チャンピオンズC、2020、22年川崎記念)、ダノンスマッシュ(2020年香港スプリント、2021年高松宮記念)などが証明しており、比較的パワーに優れた産駒を多く出すだろう。

レイデオロ
チュウワウィザード

反対に軽さを出すならHalo≒Sir Ivorに焦点を当て、Halo≒Sir IvorやDrone、Red God、Unbridled's Songなどを組み合わせるのが良さそう。ただ、Storm Catのインブリードについてはワンペースなパワー型に出る傾向にあり、これはディープインパクト×Storm Catが共通するキズナの産駒でも同じ傾向が見られる。

また、スタミナ面を強化するなら父母ウインドインハーヘアHyperionBustedSon-in-Lawなどを増幅する形がいい。これは先述の通り、ディープインパクトの牝系がイギリスの重厚な血脈を豊富に持つためであり、その血筋も一級品のものばかりだ。ちなみに、父母母BurghclereはNashwanの母Height of Fashionと3/4同血の間柄。バゴ(父Nashwan)×ディープインパクトからステラヴェローチェが誕生しているため、この組み合わせも有効な手段だろう。

ステラヴェローチェ

以上の通り、リアルスティールは血統表のどこをとっても一級品の良血ばかり。さらに、本馬自身がバランスが取れているため、組み合わせる繁殖牝馬によって幅広いカテゴリーの活躍馬が誕生しそうだ。

美野真一さんにも現場の声を聞いているので、下記動画もよろしくお願いします。

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