(菊花賞2022)牝系で全頭分析
日本ダービー馬ドウデュース、皐月賞馬ジオグリフ、そしてダービー・皐月賞2着のイクイノックスまでも不出走で、ちょっと寂しい感のある2022年の菊花賞。逆に言えば、どの馬にもチャンスが巡ってくるということもでもあります。
ここでは、父系を主体とする既存の血統分析ではなく、牝系を主体として血統分析を行っていきます。
父系・母父系を重視し過ぎると、2015年の菊花賞馬キタサンブラック(母父サクラバクシンオー)や2002年の菊花賞3着のメガスターダム(父ニホンピロウイナー)のように、父や母父が短距離馬だからといって軽視して痛い目を見てしまうので、牝系からもチェックしましょう!
①ガイアフォース(16-a号族>Plucky Liege(プラッキーリージ)牝系>Grand Splendor(グランドスプレンダー)牝系)
おそらく⑭アスクビクターモアと人気を分け合う形になるであろうガイアフォースは、セントライト記念(中山芝2200m)の勝ち馬。
同牝系の活躍馬は、短距離ダート路線で活躍したリミットレスビッド、スプリングS勝ち馬のアグネスゴールド(菊花賞は8着)、弥生賞勝ち馬のフサイチゼノンなどがいるが、2400m以上の芝レースで活躍した馬はいない。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
複勝率がもっと高いのは1400~1600m、次いで1800~2000m。このデータから、同牝系の適正距離は1600~2000m、ガイアフォースにとって菊花賞の3000mは長い印象。
②シェルビーズアイ(23号族>Mrs. Gamp(ミセスガンプ)牝系>Bell Bird(ベルバード)牝系)
駒ケ岳特別(1勝クラス)を勝ったシェルビーズアイ。前走の阿寒湖特別(2勝クラス)は4着に敗れている。混戦の菊花賞とはいえ、1勝クラス馬が好走するのかどうか・・・
同牝系には、毎日王冠やAJCCを勝ったマグナーテンが目立つ程度で、この外に目立った活躍馬はいない。なお2013年に菊花賞に出走したインパラトールも同牝系(13番人気14着)。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
同牝系の適正距離は2000m前後。2500m以上でも2回勝っているが、これは1勝クラスのもので、長距離がこなせると判断するのは早計だろう。
③プラダリア(4-r号族>Mileage(マイレージ)牝系>Gay Apparel(ゲイアパレル)牝系)
青葉賞馬プラダリアは、前走神戸新聞杯で2番人気8着と敗れてからの参戦。
2400mの青葉賞は勝っているが、同時に2400mのダービーは5着に敗れているので、これが距離によるものかどうか判断が難しいタイプ。このような場合に役が立つのが牝系分析です(手前味噌)。
同牝系は、秋華賞・ヴィクトリアマイル2着、桜花賞3着のファインルージュや朝日杯FS・NHKマイルC3着のボンセルヴィーソなどがいる。パッと見、スプリンターかマイラーかな、という印象。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
やはり同牝系の最適距離はマイル前後。ただ2007年の目黒記念(東京芝2500m)でココナッツパンチが2着に好走している実績はある。それでも3000mは長い印象
ここから先は有料の記事となります。全頭分析と、その最終考察として3頭をピックアップしています。
④ボルドグフーシュ(16-b号族>Rydal Fell(ライダルフェル)牝系>Abracadabra(アブラカタブラ)牝系)
京都新聞杯・神戸新聞杯3着のボルドグフーシュ。実は、ダービー・皐月賞2着のイクイノックスは同牝系だったりします。
同牝系は、昨年の菊花賞で9番人気16着だったヴァイスメテオールや、2003年のアルゼンチン共和国杯(東京芝2500m)で2着だったナチュラルナインなどがいる。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
同牝系の最適距離は2000m以上。2400~2500mの成績も良好で、菊花賞の3000mは十分にこなせる牝系といえます。
⑤ヤマニンゼスト(1-w号族>Marchetta(マーチェッタ)牝系>Rose Red(ローズレッド)牝系>Monsoon(モンスーン)牝系>マダニナ牝系)
前走神戸新聞杯では、12番人気の低評価を覆す2着激走。そのときの武豊騎手が引き続き手綱を取るのは心強い限りです。
同牝系は、ヤマニンの馬が多数を占めますが、強いてあげればキャピタルSを勝ったヤマニンウイスカーが目立つ程度で、あとは・・・
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
パッと見、2000m以上の複勝率が最も高いように見えるのですが、そもそも2000m以上のレースへの出走機会が異様に少ないので鵜呑みはできません。
むしろこの出走機会の少なさは、この牝系は長距離向きではないとヤマニン陣営が判断しているように思えます。となると、ヤマニンゼストはたまたま権利が取れたから出てきただけ?と邪推してしまうのですけど
⑥ビーアストニッシド(7-c号族>アストニシメント牝系>第五アストニシメント牝系>ヤマユリ牝系)
スプリングSの勝ち馬ビーアストニッシド、ダービー・皐月賞は惨敗しましたが、巻き返せるでしょうか?
同牝系は、ダートのマイル前後で活躍したブルーコンコルドがいる。というか、それ以外に目立った活躍馬がいない。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
やっぱり同牝系の最適距離はマイル以下。出走機会が少ないので2000m以上の複勝率が高く見えますけど、菊花賞の3000mは明らかに守備範囲外と言えます。
⑦アスクワイルドモア(6-a号族>Dona Cecilia(ドナセシリア)牝系>Desalmada(デサルマダ)牝系)
前2走は惨敗しているアスクワイルドモア。
同牝系には日経賞2着のペルーサが目立つくらいで他に活躍馬は見当たらず。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
同牝系の最適距離は、1800~2000m。2400m以上でそこそこの成績を残したのは前出のペルーサのみ。アスクワイルドモアには長いと思われる。
⑧マイネルトルファン(6-b号族>Radiola(ラディオラ)牝系>マイネプリテンダー牝系)
わずか3戦目で菊花賞参戦のマイネルトルファン。
同牝系は昨年のオークス馬ユーバーレーベン、AJCC2着のマイネルファンロンがいる。
同牝系の最適距離は1800~2000m。2600mのレースも好走しているが、ちょっと長い印象
⑨シホノスペランツァ(9-f号族>La Venganza(ラヴェンガンザ)牝系>アンテイツクヴアリユー(アンティックヴァリュー)牝系)
シホノスペランツァは1勝クラスを勝って参戦。え?特別でもない1勝クラス勝っただけでGIに挑戦できるの?
同牝系にはダート戦線で大活躍したアドマイヤドンや、ダービー馬アドマイヤベガ、菊花賞2着のサトノノブレスがいる。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
同牝系の最適距離は2400m前後。菊花賞3000mはこなせる距離。だからこそ挑戦してきたんでしょうね。侮るなかれ
⑩セイウンハーデス(3-l号族>フロリースカツプ(フロリースカップ)牝系>第九フロリースカツプ(第九フロリースカップ)牝系>ランズプロント牝系)
プリンシパルS勝ち馬のセイウンハーデスも参戦。
同牝系は、牝馬GIで善戦を続けたオースミハルカなどがいる。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り
同牝系は短距離から長距離まで満遍なく走ってる。どの距離でも善戦するが勝ちきれない、という傾向が見られる。あくまでも狙うなら紐候補として。
⑪ドゥラドーレス(2-f号族>Altoviscar(アルトヴィスカー)牝系>Feola(フェオラ)牝系>Highlight(ハイライト)牝系>Highclere(ハイクレア)牝系)
ドゥラドーレスは2勝クラスを勝って参戦。こういった馬が穴人気になることはあるんですが、現在3番人気。ってどんだけ寂しいメンバーなんだ。
同牝系はご存じディープインパクトやレイデオロがいる。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り。
同牝系の最適距離は2000m前後、2500mまでこなせるが、3000m以上のレースで好走したのはディープインパクトだけ。過信は禁物
⑫ヴェローナシチー(1-p号族>Third Trick(サードトリック)牝系>Fair Ranger(フェアレンジャー)牝系>Moonmadness(ムーンマッドネス)牝系)
京都新聞杯2着のヴェローナシチー。
同牝系は秋華賞馬アヴェンチュラ、オークス馬トールポピー、今年の京都大賞典を勝ったヴェラアズールや春天3着のストラタジェムがいる。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り。
同牝系は最適距離2400m前後だが、春天3着のストラタジェムがいるように、3000mも全然OK。
⑬ディナースタ(4-k号族>Spring Chicken(スプリングチキン)牝系>A Wind Is Rising(アウィンドイズライジング)牝系)
粗品さんの呪いを弾けるかディナースタ。
同牝系には札幌記念などGII2勝のジャックドールや、マイルから中距離の芝重賞レースで善戦したショウナンマイティなどがいる。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り。
同牝系の最適距離は2000~2400m。3000mはこなせる距離だが、GIではワンパンチ足りない印象(今回のメンバーはGIに相応しいかは置いといて)。狙うなら紐で。
⑭アスクビクターモア(1-l号族>Paraffine Lass(パラフィンラス)牝系>Hasty Love(ヘイスティラヴ)牝系>Crafty Princess(クラフティプリンセス)牝系)
ダービー3着、セントライト記念2着の実績は出走メンバー上位の、アスクビクターモア。
同牝系にはこれといった活躍馬は見当たらず。
同牝系の距離別の勝率・連対率・複勝率は下図の通り。
パッと見、2400mの成績が優秀に見えるが、サンプル数が少ないので、統計上のあやと言える。出走機会が圧倒的に2000m以下に集中しているので、この牝系は長距離は向かないと判断されているのかもしれない。狙うのは危険と判断しました。
⑮ポッドボレット(11-d号族>Sunglow(サングロー)牝系>Good Call(グッドコール)牝系)
前3走は掲示板にも乗れていない、すみれS勝ち馬のポッドボレット。
同牝系はサンプル数が少なく判断不可でした。でも買いません。
⑯フェーングロッテン(3-d号族>Stolen Kiss(ストレンキス)牝系>A Kiss for Luck(アキスフォーラック)牝系)
ラジオNIKKEI賞の勝ち馬のフェーングロッテン。
同牝系には、ダートマイル路線で活躍したダノンカモンやスプリンターズS勝ち馬のピクシーナイトがいる。
やはりというか、同牝系の最適距離は1600m前後、3000mはさすがに長い。
⑰ジャスティンパレス(2-s号族>Sweet Marjorum(スイートマジョラム)牝系>Happy Flirt(ハッピーフラート)牝系)
前走の神戸新聞杯を勝ったジャスティンパレス。
同牝系には、阪神大賞典・ステイヤーズS2着のアイアンバローズがいる
同牝系の最適距離は2000~2400m。長距離もこなせそうだけど、長距離で好走したのはアイアンバローズだけなので過信は禁物。
⑱セレシオン(8-j号族>Chalita(チャリタ)牝系>クルソラ牝系)
2勝くらいを勝って参戦したセレシオン。
同牝系はサンプル数が少なく判断不可でした。
最終結果
牝系の下地的に3000mをこなせそうな馬は、
④ボルドグフーシュ
⑨シホノスペランツァ
⑫ヴェローナシチー
の3頭となりました。
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