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ようやく競馬日和に(田村明宏)/週刊トレセン通信

 7月28.7℃、8月29.2℃、9月26.7℃。これが今年の東京の平均気温で平年に比べると7月でプラス3℃、8月で2.3℃、9月で3.4℃いずれも高かった。体感的にも9月に入っても涼しいと感じたことはなかったが、数字で見るといかに異常だったかが分かる。個人的にも今年は8月から9月にかけて札幌に2回出張したが、地元の人も口を開けば暑い、暑いと言っていて避暑地のイメージはまったくなかった。そんな中で迎えた10月の4回東京の開幕週は3日競馬。祝日もあって大いに盛り上がったが、3日目の10月9日の東京は朝からあいにくの雨。最高気温も20℃を下回った。ようやく涼しいと感じるには十分過ぎるくらいで肌寒さも感じたが、3Rで勝ち上がったのはゴールドシップ産駒のコガネノソラだった。

 デビューしたのは夏真っ盛りの8月5日の新潟競馬。リズムよく先行しながら最後は気を抜くような感じになって3着。その後も惜しい競馬を続けながら勝ち切れなかった。この日は9頭と頭数も少なくマイペースの逃げが打てたのもあったが、最後まで余裕たっぷりで2着に1馬身半差をつけての快勝だった。父は言わずと知れた道悪巧者で現役時代もスタミナ勝負には自信を持っていた。レース後、管理している菊沢調教師に話を伺うと「ようやくこの馬が得意な条件で走れました。これまではずっと硬い馬場で走っていましたが、今日のような馬場が合うんです。母のマイネヒメルもうちにいたのですが、ビッグレッドFの馬で開業して初めて預かった馬で東京でも勝ちましたが、函館で3勝して準オープンまで出世しました。この馬も来年の夏は北海道に行ければと思っています」と教えてくれました。

 馬名のイメージは夕焼け空で当日の天気とは少し違っていたが、これから段々と早くなってくる秋の夕暮れに見られる現象だ。9月下旬でも日本に夏以外の季節はなくなったのかとも思えたが、本格的な秋を迎えて毎週のようにGⅠレースも行われるようになる。ずっと冷房を手放させない時期が続いていたが、待ちに待った過ごしやすい時期が到来したのだから長い夜を馬券検討でもしながら楽しみたい。

美浦編集局 田村明宏



田村明宏(厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 О型
3日競馬明けでトレセンは火曜日が全休だった影響で今週も木曜追いが多いが、水曜の朝イチで追い切られたのが府中牝馬Sを予定しているプレサージュリフト。暑さを気にして夏場は休養に充てて気力充実。態勢は整っている。今週はこの馬に注目。

本稿は2023年10月12日に「競馬ブックweb」「競馬ブックsmart」に掲載されたコラムです。下記URLからもご覧いただくことができます。

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