反省の夏(田村明宏)/週刊トレセン通信
一般的に夏のローカルと言われる関東圏では福島、関西圏では中京の開催が始まって既に7週間が経過。記録的な猛暑はまだ終わる気配がないが、時間はいつも通り過ぎ去って夏競馬も残り3週間になった。情けないことにここまで関東圏で5つの重賞が終わったが、馬単の的中はゼロ。そのまま忘れてもいいのだが、来年のためにも簡単でも反省しなければいけない。まず躓きの元になったのが福島のラジオNIKKEI賞。過去の傾向から重いハンデの馬は避けて小回りコースでの実績も考慮してアイスグリーンに期待したが、あまり惜しくない7着。上位2頭は前走1600メートルからの距離延長組でよりスピードを求められる結果になり、私の◎は追走で一杯という結果に終わってしまった。続いて七夕賞。こちらは◎のセイウンハーデスこそ勝ってくれたが、2,3着馬はノーマーク。結果的に内枠の馬が上位に来たというトラックバイアスも影響したが、2着のククナは3歳春にはクラシック路線を歩んでいた素質を考えれば54kのハンデで狙う手はあった。
少し時間をおいて新潟開催に替わるとまずアイビスSDでは外枠有利の傾向からも⑱番のレジェーロに期待したが、少し着差のある5着。春開催で馬場の悪い時に行われた韋駄天S組で軽ハンデ馬は別定戦では地力負け。勝ったのは長期休養明けでも一昨年の勝ち馬で実績上位のオールアットワンス。2着はオープンの1200メートルでも実績を残していたトキメキ。格上の2頭での決着だった。続いてレパードSではリステッド勝ちのある先行馬エクロジャイトに期待したが、後から考えると鳳雛Sは展開面で恵まれていて今回は先手を奪うことすらできず流れ込みの4着。勝ったのは好走例の少ない牝馬ながら今年は3勝クラスでも入着歴のあるライオットガール。他馬との比較で格上の存在だったということ。2着のオメガギネスは久々ながらまだ底を見せていなかった。そして先週、終わったばかりの関屋記念。多頭数の時こそ外枠有利ということで⑰番のビューティフルデイに期待したが、予想外のスローになって内枠有利。1枠2頭での決着に。勝ったアヴェラーレ、2着ディヴィーナは馬体こそぎりぎりに映ったが、究極の仕上げだったのだろう。ここまで振り返ると今年のメンバーを安易に過去の傾向に当てはめて本質を見ていなかった気がする。
ここで話はそれるが、7月になって新車を購入。最新の安全装備に満足してこれなら安心して運転できると思っていたが、思わぬ貰い事故。けがをしなかったのは不幸中の幸いだが、せっかくの新車が傷ついたのは心理的にショック。更に4年ぶりに開催されたJRAとの懇親会では出発までに時間があると油断してうたた寝すると慌てて部屋を飛び出してインロックしてしまった。フロントで対応して貰い特に問題は起きなかったが、やはり慢心は禁物だ。この稿がアップされるのは8月16日だが、書いているのは前日の15日。私たち日本人、あるいは世界の人達にとっても忘れてならない日だ。78年前には多くの犠牲を払って反省した日だろうが、幸せなことに今は少しの犠牲(財布の中身は傷んだ)で反省ができる。僅かな時間でも失敗を反省しながら日々を過ごしたい。
美浦編集局 田村明宏
田村明宏 (厩舎取材担当)
昭和46年6月28日生 北海道出身 О型
今週のメインイベントは何といってもこの時期、唯一の平地GⅡレースの札幌記念。5歳優勢の傾向はあるようだが、強い4歳世代でクラシック上位を争ったダノンベルーガに注目したい。久々の右回りでもコーナーがゆったりした札幌コースなら心配なさそうだ。
本稿は2023年8月16日に「競馬ブックweb」「競馬ブックsmart」に掲載されたコラムです。下記URLからもご覧いただくことができます。