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24年高松宮記念を振り返る~異例のスロー、勝負を分けた1頭分のズレ~
来週の東京の天気予報を見て、マスクは絶望したよ。なぜって来週、月曜から金曜まで全てに雨マークがついていたからさ。
もちろん仕事の面でも困るんだが、それ以上に困るのは洗濯物を外干しできないこと。これにより総裁の機嫌が悪くなる。マスクからすると大変好ましくない。
3月半ばから4月頭というのは例年雨が多い。菜種梅雨ってやつだな。花粉は飛ぶわ雨は降るわで好きな時期ではない。
この菜種梅雨がレースに与える影響も大きく、3月末に行われる高松宮記念はよく雨にあたってしまう。予想にも書いたように高松宮記念はここ4年連続で重馬場、不良馬場で行われているほどだ。
それこそ10年前のコパノリチャードが勝った年も相当な不良馬場だったし、ここ10年の高松宮記念で良馬場開催がわずか3度だけ。このレースの方向性がよく表れている。
『春のスプリント王決定戦』なんて銘打たれているが、実際のところこのレースは体力勝負、パワー勝負なんだよね。事実上の1400m戦のようなレースさ。
今年も雨の影響で中京競馬場は金曜すでに芝が重馬場となっていた。土曜も重馬場のまま。日曜も昼から雨が降る予報になっていて、道悪は不可避の状況。それこそモハメド殿下がヘリコプターを調達して、プロペラの風で馬場を乾かすくらいしないと良馬場は見込めない状況だった。
こうなるとジョッキーも大変だ。レースを使えば使うほど芝は掘れる。すると馬場の伸びるところも変わってくる。馬場の伸びどころに合わせて枠順を変えられるわけもなく、自分の枠が好枠になるかどうかは当日、15時40分を迎えてみないと分からない。
しかも今のスプリント路線は中心となる馬が不在。ペースによって結果が変わるようなメンバー構成だけに、馬場のいいところを通れるかどうかで結果は大きく変わる。
雨による幸運、不運だけでなく、ジョッキーの馬場に対する観察眼、意識の高さも求められる、それが今年の高松宮記念だった。
早過ぎる阪神競馬場の改修
まずは日曜の馬場について話をさせてくれ。
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☆中京4R
1着黄アスクカムオンモア 川田
2着黒ルクスマーベリック 横山典
3着青ビーンスターク 富田
これは日曜最初の芝のレースになった4Rの3コーナーと直線入口だ。勝ったアスクカムオンモアこそ外目を回っているが、2着ルクスマーベリック、3着ビーンスタークは内を通っているのが分かる。
アスクカムオンモアにしても外を回しているが、4番手を追走していたように前目で競馬していた。
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☆中京5R
1着黄アルゲンテウス デムーロ
2着青イスラグランデ 大野
3着白クラシックステップ 丸山
続いて本日2度目の芝である中京5R。3コーナーでは上位3頭がみんな内ラチ沿いを回っている。
2、3着馬は直線ではラチから離れているとはいえ、道中インを追走した馬がワンツースリーだった時点で、マスクは本番も内を買うことを意識した。
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☆中京8R
1着黄アシャカタカ 武豊
2着緑コスモアディラート ルメール
3着赤ジオパーククラウン 藤岡佑
これは中京8R。高松宮記念と同じ舞台の芝1200mだ。勝ったアシャカタカ、3着ジオパーククラウンが道中内ラチ沿いを回り、外を回った2着コスモアディラートも前目を追走している。
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☆中京9R 大寒桜賞
1着桃シュガークン 武豊
2着白オールナット ムルザバエフ
3着黄コスモレオナルド デムーロ
最後に、高松宮記念の1つ前の芝レースとなった9Rの大寒桜賞。逃げ切ったシュガークン、2着のオールナットが3コーナーで内ラチ沿いを追走し、3着コスモレオナルドも外目追走とはいえ先行しているのが分かる。
ここまでの中京芝のレースを見て分かるのは、
・直線は外を通ってもいいが、道中はラチ沿いを通った馬が強い
・道中外を通る馬は前目で追走しないと勝負にならない
・外を回る差し馬はかなり厳しい
この3点。この時点で高松宮記念の好走馬はだいぶ限られることになった。なかなかの内有利で、ハンデ戦に近いGIと言っていい。
ではなぜこんな内有利が発生したかというと、今年の開催スケジュールが大きい。
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全て打っていくと時間を要するため、netkeibaさんすまん、そのまま載せさせてくれ。
見てほしいのは開催のところ。10回中9回が『2中京6』と書いてあるのが分かる。これは2回中京6日目という意味だ。唯一違う20年だけ1中京8、つまり1回中京8日目で行われている。
ほぼ2回中京6日目で行われている高松宮記念だが、今年は事情が異なった。1回中京6日目の開催だったんだよ、今年は。
これは今年の金鯱賞の予想にも書いたのだが、京都改修が昨年ようやく終わり、昨年秋から阪神競馬場の改修が始まった影響。コースを改修するのではなく、観客席や検量エリアの改修で、終わるのは2025年春が予定されている。
これにより今年の阪神開催は春の開催が終わればもう終わり。来年まで開催されない。阪神の分を京都や中京で分割開催する影響で、例年1月に開催されていた中京開催がなくなってしまったのだ。
実際ミッキーゴージャスの勝った愛知杯は、愛知と名前がついているのに小倉開催だっただろう。珍しく金鯱賞週が今年最初の中京開催で、今日が開催6日目。今年は例年より半分くらいしか芝を使っていない。
そのため内の状態が例年以上に良かった。この後の開催が多い分、馬場造園課も内目をしっかり作っているのだろう。ちょっと雨が降っただけでは簡単に崩れない内が出てきてしまった。
阪神競馬場なんて20年近く前に大幅改修したばかりなのにな。早過ぎる改修のアオリもあり、今年の高松宮記念は内有利、外不利の構図が生まれる。
スタート後0.1秒で決まった高松宮記念
競走ごとにおいて、スタートの重要性は今更語るまでもないだろう。それこそマラソンなどなら1秒出遅れた程度なら問題ないが、100m走なんかでスタートの反応が遅れたらもう終わり。
競馬の世界も同様だ。中には例外もあるが、基本的に出遅れがプラスに働くことのほうが圧倒的に少ない。抜群のスタートを切るのが悪い方向に出る時は稀にあるものの、五分のスタートを切るかどうかで勝負の行方が変わってくる。
今回の高松宮記念もスタートが勝負を決めたと言っても過言ではない。
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これは高松宮記念のスタート直後。お分かりだろうか、桃テイエムスパーダの頭の位置が他馬より低くなっている。
これはテイエムスパーダが躓いているから。レース後騎乗した富田が「馬場に脚を取られてズルッと滑ってしまいました。今日はスタートが全てです」と話しているのだか、これは道悪になるとままあること。
人間だってそうだろう。雨が降って濡れた芝の上を走ったらツルっと滑った経験、ないだろうか?ない?それはすまん。
一応スパイク鉄は履いているだろうが、こればかりはもう運もあるから仕方ないとも言える。ただ、本来であれば逃げたいテイエムスパーダがスタートを失敗したのは大きい。
よく見ると内で黒モズメイメイも遅れている。メイメイの最近のテンでテイエムスパーダのハナを叩けるとは思っていなかったが、なるべく逃げたい2頭がどちらもスタートで失敗してしまった。
高松宮記念 枠順の雑感
— 金色のマスクマン(株) (@keiba_maskman) March 22, 2024
1.ビッグシーザーとモズメイメイが内
2.マッドクールがターゲットに?
3.ルガルが偶数、内隣にトウシンマカオ
4.ビクターザウィナーの内にテイエムスパーダ
5.ママコチャが川田で外枠
6.ウインマーベルが内から外に
金曜の枠順決定後にマスクが枠順の感想を挙げさせてもらったのだが、『4.ビクターザウィナーの内にテイエムスパーダ』と書いているように、ハナを切りたいビクターの内に、同じくハナを切りたいテイエムスパーダがいることがペースを決める上で一つのポイントだと感じていた。
この2頭が競り合えばペースはそれなりに流れる。流れるかどうかで差し馬の運命が決まってくるからね。割と重要なポイントと見ていたのだが、テイエムスパーダが滑っていけないとは思わなかった。
☆24年高松宮記念のラップ
12.5-10.8-11.6-11.4-11.0-11.6
1:08.9 34.9-34.0
34.9って。さすがにここまで遅いペースは想像していなかったな。
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また引っ張ってきたのかと思われるだろうが、これは手抜きではない。家事の合間に回顧を仕上げないといけない以上、仕方ない一手なのだ。
ここ10年の高松宮記念と比較すると、前半3F34.9は昨年に次いで遅いペースだ。その昨年は超道悪馬場だったから違う競技だったとして、それこそ良馬場なら33秒台前半が普通に出るレースとしてはかなりのスローペースと言っていい。
それも全てテイエムスパーダが滑ってビクターザウィナーの単騎逃げになったから。もちろん馬場が悪かった影響はあるが、それにしても遅い。
☆日曜中京8R 1勝クラス
12.3-10.9-11.9-12.0-11.3-11.9
1:10.3 35.1-35.2
☆日曜中京11R 高松宮記念
12.5-10.8-11.6-11.4-11.0-11.6
1:08.9 34.9-34.0
8Rの1勝クラスが前半3F35.1。高松宮が34.9。1勝クラスとほぼ同じペースだと書けば、どれだけ遅かったかが分かると思う。
別にペースが遅い=低調なレースとは言わないが、これだけ遅いと求められるのはスピードではない。『スピードがあまり問われないスプリントGI』に内容があるかというと、マスクはそうは思わない。
スプリントGIで前半3Fが後半3Fより遅い後傾戦なんて本当に珍しいんだから。高松宮では過去1度だけ。スプリンターズSでも過去1度だけ。まさに『異例』と言っても差し支えないだろう。
☆24年高松宮記念 好走馬の上がり3F
1着マッドクール 33.7 3-3
2着ナムラクレア 33.2 10-10
3着ビクターザウィナー 34.5 1-1
4着ウインカーネリアン 34.6 2-2
5着ロータスランド 33.7 13-13
これだけゆっくり流れれば当然後半は速くなる。勝ったマッドクールは3番手から上がり3F33.7を繰り出して勝った。
このマッドクールを外から差し切るとなれば、上がり3F32秒台半ば~後半くらいが必要になってくる。
前述した話を思い出してほしい。
☆日曜の中京芝
・直線は外を通ってもいいが、道中はラチ沿いを通った馬が強い
・道中外を通る馬は前目で追走しないと勝負にならない
・外を回る差し馬はかなり厳しい
馬場がこんな状況なのに、外を回って上がり3F32秒台なんて使えるわけがないのだ。仮に使える馬がいたとすると、それはなんらかの化け物であって、発売前のウイニングポストから飛び出してきた存在と言っていい。
外差し組の全滅は当然と言えば当然で、今回はノーカウントにしてもいいくらいだ。物理的に苦しい。
ならみんな内を走ればいいのではないか
たぶんここまで回顧を読んでくれた皆さんの中には、『そんなに内有利だったら道中からインを狙えばいいじゃん』と思われる方もいると思う。
至極まっとうな疑問だと思うな。これだけインを見せられて、インが有利だなんてたぶん近隣の小学校に通っている子でも分かる。なのに外を回った騎手は勝つ気がないのか?と思う人間も、もしかしたらいるかもしれないな。
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これは高松宮記念の向正面。桃ウインマーベルなんかは最初から外枠だった分、インに入れるまで時間が掛かる。これは仕方ない。
ただ赤ルガルや青ソーダズリングはもっと内に寄せられるのに、少し内を空けて回っていることが分かる。
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これは4コーナーに入るところ。ここでも赤ルガル、青ソーダズリングは少し内を空けている。
ソーダズリングの武さんは前述した中京8R、中京9Rで内の恩恵を受けているジョッキーだ。内が走れない馬場状態と判断して内を空けているとは考えにくい。
レース後のソーダズリングの武さんのコメントが答えだと思う。「距離というよりも今日は馬場だと思う。ノメって最後は嫌気が差した感じだったから」と武さんが話しているのだが、要は馬場が悪過ぎてインに入れられていない。
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この黒の線で引いた部分を見てほしい。外の部分に比べて、明らかに茶色。芝がないのが分かる。
本来であれば茶色の線を引きたいところだが、以前はあったのに、画像の色選択からいつのまにか茶色が消えてしまっている。ふざけた話だ。出てこい茶色。仕事だ。
確かに内をロスなく通った馬が上位に食い込んではいるのだが、明らかに色が違うあたりここを通れる馬、通れない馬がいると考えられる。
特にソーダズリングはノメって最後は嫌気がさしたと武さんが話しているが、映像を見ても明らかにノメっている。そんな馬を更に内の、より色が変わっている部分に入れるわけにはいかないのだ。
ルガル西村もたぶん似たような思考だったんだと思う。
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理由はここ、直線入口。赤ルガルは直線に入った時に、左前が思い切り開いている。
馬場がイン有利である以上(直線はフラットに近かったと思うが)、ここは黄ビクターザウィナーの内に入っていってもおかしくない局面だ。
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しかし赤ルガル西村が選んだのは内ではなく、橙ウインカーネリアンの外。あえて内を捨てているのが分かる。
当たり前の話だが、直線の内と外、どちらが綺麗かというと外だ。内のほうが使われているわけだから。内も走れる馬場なのにあえてこれだけ外に持ち出したということは、『掘れているところは走らせたくない』という意図があるんだよな。
実際青ソーダズリングの武さんも更に外に出している。少しでも馬場が綺麗なところに、という思いでの動きだろう。
しかし今日の馬場は前述したようにコーナーでインを使えた馬のほうが圧倒的に有利。つまり有利なのは白線を引いた部分の馬たちだ。
この馬たちは『多少悪くても走れる見込みがある』からこそ内にいるわけで、ルガルは適性差が出てしまったと考えるのがベターではないかな。
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これは昨年5月の京都、3歳オープンの橘Sのパトロールだ。昨年の橘Sは不良馬場。今回道悪になった時点で俺はこのレースを5馬身差で勝ったルガルには向くと思っていたし、陣営も緩い馬場に自信を見せていた。
ただよくパトロールを見ると、9頭立ての8番枠から内ラチ沿いに入らず、直線でも外外を走って内を回避しているんだ。
これは俺の見立てが甘かったとしか言いようがない。かつてルガルは不良馬場を圧勝した時も内を回避していたんだ。今回も内枠だったから、内目を通って好走確率が上がるという見立ては大間違いだったのである。
こういう部分も頭に入れて考えないといけないんだよな、競馬は。分かっていても、マスクの努力不足で抜けてしまっている。俺の今回の一番の反省点だ。
相手が悪過ぎたナムラクレア
「相手が悪かった」。これはジョッキーからコメントを聞くことが多いマスクが、親の名前より聞いた言葉だ。
競馬なんて結局かけっこだから。強い馬がいたら、多少馬場が悪いところを走ろうが能力差で勝ってしまう。そういう時の2着馬のジョッキーは8割方、「相手が悪かった」と言う。
その通りであって、これは言い訳でもなんでもないし、分かりやすいコメントの一つだろう。
ただ今回のナムラクレアは文字通り、『相手が悪かった』と思う。実力差の話ではない。本当に言葉の通りだ。
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これは4コーナー。内ラチ沿いに白マッドクール、水ビッグシーザー、黒ナムラクレアが並んでいる。今日の馬場であればこの3頭の通っているところは有利条件だ。
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直線入口。白マッドクールは内ラチ沿いをそのまま走り、水ビッグシーザーが右後ろを走る形。
黒ナムラクレアの進路取りとしては、当たり前の話だがビッグシーザーの前に入り、白マッドクールに並びかけていく形になる。これ以外に選択肢が存在しない。
スーパーファミコン時代のマリオカートであれば効率のいいショートカットがあるのかもしれないが、残念ながら中京にそんなバグはない。バグがあるコースだとは思っているが。
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瑠星はレース後、「一か八かという枠順だったので、内ラチ1頭分のところを狙っていました」と話している。瑠星が狙っていたのはこの白丸の部分。
よく見ると、この白丸の部分だけ色が違うのがお分かりだろうか。基本的に直線というのは内から荒れていくイメージを持たれるかもしれないが、1頭分だけ少し状態がマシなことが多い。
内ラチ沿いにピッタリ走ると馬がモタれた時の処理が大変なこともあるし、後続との間隔なども踏まえて1頭分開けて逃げるジョッキーが多いから、内ラチ沿い1頭分だけ使用回数が減るんだよね。
たまに外伸び馬場なのに内ラチ沿いを通った馬の逃げ切りが嵌まることがあるだろう。その原因がこれ。こうやって明確に色が違うと分かりやすい。
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ではずっと内ラチ沿いを走っていられたかというと、これがそうでもない。残り300付近。この画像から分かるように、一旦白マッドクールが自身の右側、つまり外に行ってしまっているのだ。
これにより、黒ナムラクレアの前、黒丸の部分にゴールデンロードが出現した。ナムラクレアの浜中からすると、一瞬内ラチ沿いに黄金の道が生まれた気持ちだったんじゃないかな。
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これは昨年夏のCBC賞。緑マッドクールは9着に敗れたんだが、直線を見ると馬の体勢が変なところがあることに気づく。
これが一番分かりやすい。他の馬と違って、馬体が傾いてしまっているだろう。まっすぐ走れていない。
マッドクールが自分の右側、つまり外にモタれてしまっているからこうなる。外に体が流れているところを、瑠星がなんとか矯正しているところだ。以前からこのモタれるところは課題で、右回りでも同じように右にモタれている。
昨年春雷Sを勝った時の直線のパトロールを動画で見てほしいな。レーンの矯正が実に上手いから。モタれているところを重心移動とステッキで戻しながら追っていた。外国人騎手って凄いなとマスクが思ったシーンなんだ。
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話を高松宮記念に戻すと、白マッドクールが一旦外にモタれた後、瑠星が矯正するために右からムチを叩いている。
馬はムチを叩いた側とは逆のほうに行きやすいから、右からムチを叩けばマッドクールは内ラチのほうに寄っていく。
マッドクールはラチ沿い1頭分のいいところに戻っていき、その後ろにいた黒ナムラクレアの前に一瞬出現しかけた黄金ロードは消えてしまった。
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内の進路を白マッドクールに締められてしまったことから、当然黒ナムラクレアは外に持ち出すことになる。
ところがここで浜中が右ムチを連打し始めたところ、ナムラクレアが内にヨレちゃったんだよな。仮にムチに驚いてのものだったら、右ムチ一発目で内にヨレていくはず。ヨレたのは二発目から。
たぶんもう気持ちで走ってる状況なんだろう。元々どちらかというと気持ちの強さで馬場をこなすタイプ。内にマッドクールがいる以上、浜中の右ムチも不自然な話ではない。
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ただ結果的に、右ムチを入れ続けているところで黒ナムラクレアは内にヨレてしまい、一度はまた白マッドクールの後ろに入るところまできてしまった。
ここからもう一度立て直してマッドクールの外に持ち出したのだが、このロスは痛かったね。最後マッドクールとはアタマ差。
タラレバはあまり言いたくないところだが、たぶんまっすぐ走っていれば今頃GI馬になっていたのはナムラクレアのほうだった。わずか1頭分のヨレが結果を大きく変えてしまったと言っていい。
これ、マッドクールが直線で右側にモタれ続けていれば、ナムラクレアは内ラチ沿いを突くところだったんだよ。そうすれば右ムチを叩いても隣がラチだから左にヨレようがない。もちろんヨレて内ラチを破壊する可能性がゼロとは言わんが。
それがマッドクールのモタれに対する瑠星の対応が早く、すぐに内を締めきったからナムラクレアは外に切り返すしかなかった。結果そこで右ムチが入り、最後は内にヨレてしまった。
マッドクールが最初からまっすぐ走る馬なら、ナムラクレアはもっと早く外に持ち出している。前にいたのが右にモタれるマッドクールだったのは、ナムラにとって運が悪いと言えるし、文字通り『相手が悪かった』。
今回は馬場、そしてペースが勝負を大きく左右したと思っているんだけれど、細かい点で挙げるならこの部分だよ。競馬って難しいな。浜中、今夜は悔しくて眠れないんじゃないか。
自滅か、健闘か
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何とも言い難いのが3着だった黄ビクターザウィナーだ。
良く言えば、海外遠征で、初の左回り。しかも荒れた馬場。状態がMAXではない中でよく粘った、と言える。
逆に悪く言えば、そんなに速くないペースで逃げて、道中から内を空けて直線も外を空けたのはマッドクールに対するアシストでは、とも言えると思うんだよな。
☆日曜中京11R 高松宮記念
12.5-10.8-11.6-11.4-11.0-11.6
1:08.9 34.9-34.0
もう前述しているから今更細かくラップに触れないが、前半3F34.9なんていう1勝クラスのようなタイムで逃げて先行馬を楽にし、なおかつ内を空けた。これではマッドクールが絶好になる。そしてその後ろにいるナムラクレアも喜ぶ。
まー、ジョッキーが状態はMAXではないことを示唆していたあたり、これ以上速く逃げられなかった気もするがね。テイエムスパーダが無事にスタートを決めていたら、果たしてビクターザウィナーは残れていたのか疑問はある。
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黄ビクターザウィナーが内を外して逃げたことで、ちょっと影響を受けちゃったのが橙ウインカーネリアン。ビクターに釣られる形でより外に流されてしまっている。
もちろんこれまでの馬場を見ても外先行は悪くはないんだが、結果内ラチ沿いの馬がワンツーだったレースだけに、外に流されるのは決していいことではない。
初の1200でここまでやれれば十分とも言えるし、そもそもスローで後ろが差せない流れだったから残れたとも言える。4着とはいえ評価はそこまで高くない。
ただ気持ちが切れない1200自体はいいと思った。相変わらずゲートに課題があるから今後も突発的な出遅れをやってきそうだが、選択肢は広がった。
好スタートが決められれば函館スプリントSなんて良さそうなんだけど、今のままだと59になるのがね。間隔を過度に詰められず安田を目標にするなら出てこないと思うが、京王杯スプリングCは合ってる馬だと思う。
次以降を考える
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これだけ内に利のあるレースだけに、今後買うなら外追走組…になるはずなのだが、外を回っているのは今日で引退するメイケイエールやディヴィーナ、気性が難しいマテンロウオリオンと、次に向けて上げる層が少ない。
外の先行組である橙ママコチャは伸びきれず8着。予想に書いたがこの馬はもっと内目で立ち回れる馬場、枠の時に買いたい。
前走の阪神Cも今回も外枠。阪神Cは明らかにデキがイマイチで、今日は幾分マシになっていたが、パドック評に書いたようにもっと上のデキがある。
レース後川田が「やはり暖かくなってこないと本来の走りはできないのかなという印象」と話しているが、確かにそう思う。そう思うくらいパドックが上がってきていない。
以前連勝したのは夏だった。昨年も暑い時期に北九州記念2着からスプリンターズS勝ち。もう少し暖かくなってからだね。良馬場のキーンランドCで買いたいんだが、出てくれるかは知らん。スプリンターズの内枠で見直したい。
あとは桃ウインマーベル。外枠からなんとかインに入れようとしたが、入れず12着。今日の内有利馬場で16番はそもそも苦しい。しかもそんなに得意ではない道悪。
昨年の高松宮も道悪で大外。この馬は本当に運がない。その高松宮から参戦した京王杯スプリングCで一変したように、良馬場で前に壁を作れる枠なら違う。
阪神カップがめちゃくちゃいいデキで、今日は阪神カップほどではないにしろ、近いところまで上がってきていた。トラブルさえなければキーンランドCやスプリンターズSで買いたいところ。
阪神カップのデキならGIにも手が届いておかしくない。昨年夏からトラブルがあったり枠や天気が悪かったりが続いているから、本当に運だけ。運任せの馬はなかなかGI勝てないんだけどね。
話は前後するが、6着トウシンマカオはもっとやれる。オーシャンSで全然できてないのに勝ってしまうくらい能力が高い馬。
まー、スプリンターズSは近年内有利になりやすい状況。あまりインを器用に立ち回るタイプでもないから、条件が合致するGIがあるかというとないのだが。左回りよりは右回りのほうがいい。デキはもっと上がある。
10着ルガルももっと走れる。シルクロードSの数字は馬場差を計算してもストレイトガール級。今日は4コーナーでノメりかけていたあたり、もう少し綺麗な馬場のほうが良さそう。道悪もできるが、開催前半のほうがいいんだろうね。
今が成長期。今日のパドックは少し硬かったし、もう少し柔らかみが出て馬場がある程度綺麗ならスプリンターズでも楽しみな馬。
14着ソーダズリングはもう一度1200で見たい。ノメりかけていたし、今日は武さんが言うように馬場の問題だと思う。
本当はもっとペースが流れたところで追走力を見たかったんだが、スローで確認できなかったのが痛いな。この馬こそキーンランドCでいいと思う。良馬場なら楽しみ。短距離馬として作るんだろうし、今後はマイルになると怪しそう。
最近のスプリント戦線のレベルは高いのか
☆23年スプリンターズS
11.7-10.4-11.2-11.2-11.2-12.3
33.3-34.7 1:08.0
これは昨年のスプリンターズSのラップだ。触れたか、そもそも回顧をやったのか覚えていないが、確か低調と書いた記憶がある。
大して速い馬場ではなかったんだけど、それにしても1分8秒ジャストはちょっと遅い。極端に遅いわけではないが、少なくとも速くはない。
33.3で入って、ラスト1Fだけ急失速しての12.3も掛かり過ぎ。数字面では評価しがたいのが昨年のスプリンターズSだった。で、今年の高松宮が後傾。スプリントGIらしくない流れ。
別にいつもロードカナロア級がいるとは思っていない。日本競馬はスプリントのレベルが高くなる土壌がないから、レベルが上がり切らないのは仕方ない。ただそろそろ、核になる馬が出てきてほしいのが正直なところだ。
勝ち馬マッドクールは非常にいい素材で、昨年のスプリンターズSも数字面は低調とはいえトラブル明けだったから仕方ない部分がある。
今日は体重を一気に増やし540kg。体型的に元々太目に見えるところはあるが、それにしても気持ち大きかった。それでいてGIを勝てるくらいだから、もう少し絞れれば数字はより上がりそうではある。
何よりこの馬はその先が楽しみ。今の日本生産界が渇望しているのは非サンデー系、非キングマンボ系のスピードのある種馬。マッドクールはまさにあてはまる。いずれ種牡馬入りする時のために、ここでGIを勝ったのは大きいね。
モタれるところがあるから、逆に言えばもっと伸びしろはある。クリスチャンは硬い馬場は合わないと言い、レーンは緩い馬場は合わないと言う。結局どっちなんだと思うが(笑)、今日の感じだと硬いよりは柔らかめのほうがいいのかもね。
ナムラクレアは難しいな。勝つなら今日だった気もする。今日は内を立ち回れたが、道悪で馬場がバラけるのも追い風だった感じはあって、良馬場で馬群が固まると反応が遅れるところがある。
昨年のスプリンターズを取りこぼしたのも結局そういう面があるからで、改めてGIで勝つには全て揃わないといけないタイプだと感じる内容だった。
正直今回の調教はVTRを見る限りあまりいい感触を受けなかったのだが、それでもこれだけやれるということは、以前とは馬が変わってきたんだろうね。
スプリンターズSもある程度緩めの馬場になったほうがいいのでは。少なくとも良馬場の時計勝負、内伸びで勝てるイメージはない。どこかでGIを獲ってほしいが。
お母さんに一言
親不孝マスクは母の日に実母になんら連絡をしないのだが、これから母になる馬たちに少しだけ触れておこうと思う。
今後繁殖として期待しているのはディヴィーナ。ハルーワソングの繁殖能力は疑いようがない。
母親のヴィルシーナとは違うタイプの馬だったが、小さい馬格でよくここまで頑張った。大柄な種牡馬を付けて馬格がある子が生まれてくれば、面白い繁殖になると思う。
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例えばキタサンブラックなんかをつけると、グランヴィノスの更に攻めたバージョンみたいなことになる。さすがにここまでは攻めないか。ちょっと見たい配合だよ。
ロータスランドは慢性的な蹄の不安を乗り越えてよくここまで頑張ったと思う。まずはここまで蹄をケアしてきたスタッフさんたちにお疲れさまでしたと言いたい。
仮に蹄のトラブルがなければGI馬になれていた…かもしれないが、これはタラレバであって、世の中と競馬はそう簡単に行かないから難しい。
でももう少し内枠が当たりたかったよな。毎回外枠なんだもん。それでもヤスナリが完璧に立ち回ってきて、何度もインから見せ場を作ってきた。ヤスナリの技術、胆力をもっとも引き出せる馬だったとも言える。
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そもそもゴールドシップの繁殖相手として購買されているようなものだから、たぶん初年度からこれだろう。小林オーナーの夢の配合。
俺は競馬はある程度ドライに見ることにしているが、こういう夢のある配合は好きだよ。いい子が生まれてほしいね。蹄がいい子が生まれてほしい。
さて、そして今日引退レースを迎えたのがメイケイエールだ。
改めてメイケイエール引退前に過去の自分の回顧を見直したんだが、今振り返ってもなかなかひどいレースをしている(笑)
今でこそ笑うところがあるが、当時は本当に危ない存在だった。レースに出ないほうがいいのではないかと思ったほど。
確か当時マスクがレースに出しちゃいけない存在ではないかと書いた際に、なんで出してはいけないのかというご意見が結構来た覚えがある。
競馬は安全であることが前提で、その安全性を破壊する存在だったからね。たぶん今俺が3年前に戻ったとしても、明らかに抑えきれないこの馬を見て、事故を起こすのではという危惧を持つと思う。
ただ桜花賞の回顧の最後に、『能力が高いことは間違いないだけに、逆にここから競走馬として成立できるのか、能力を発揮できず引退してしまうのか、非常に興味深い』と書いたように、能力の高さ自体は間違いなかったからどこまで矯正できるのか楽しみにしている自分もいた。
結論から言うと、よくここまで収まる馬になったなと思う。調教でも大変そうだったが、当初が当初だっただけにね。少なくとも3歳時のような頭の上げ方をすることはなくなったし、乗ってる側は相当大変だろうけれど、見ている分には前よりマシになっている感覚を受けた。
ここまで行きつくのにスタッフさんたちがどれほど苦労したか。馬具も何度も変えて、正解を探し出す作業。答えが最初から分かるわけでもなく、試行を重ねていくしかない。気の遠くなる作業だったと思う。
もちろんGIを勝たせられなかった分、スタッフの皆さんの目標値まで達してはいないのかもしれないが、あの状況から重賞6勝馬として引退式までやる存在まで持って行ったのは間違いなくスタッフの皆さんの力によるものだ。
もちろんメイケイエールの能力の高いことが前提ではあるんだけれど、非常に学ぶことが多い一頭で、マスクも感謝の気持ちが大きい。
だってこの馬がいなければ折り返し手綱の有効性などについてもう一度考える機会もなかったんだから。勉強させてもらった。
あの走り方、体型からも本来はマイラーだったんだのではないか。気性の問題さえなければね。マイルならGIを獲れたかもしれないし、逆にこのレベルの気持ちの強さがあるから走った部分もあるからそこは何とも言い難いところ。
本質的にはスプリンターでないところを能力の高さだけである程度やれていたようなもので、ポテンシャルだけならGIを獲れる馬だったと思う。もちろんそれだけで勝てないからGIは難しい。
今後繁殖としては正直何とも言い難い。この一族だけに気性の難しい馬も結構出てくると思う。それでもその気性の激しさをレースにいいほうに生かせるような馬は少しは出てくるだろうし、走ってほしいね。
しかし改めて3年前の回顧を見たら、ちゃんと茶色が存在して結構矢印で使っているんだよな。茶色がいなくなったことに今更腹が立ってきた。
おいマイクロソフト、メイケイエールの子が回顧に出てくる頃には茶色を復活させるんだぞ。